弾性線維性仮性黄色腫(PXE)

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目次

<弾性線維性仮性黄色腫>はどんな病気?

弾性線維性仮性黄色腫(だんせいせんいせい かせいおうしょくしゅ/Pseudoxanthoma elasticum:PXE)>は、皮膚・目・血管などに存在する「弾性線維」が変性し、石灰化してしまう遺伝性の全身性疾患です。

主に
👉 皮膚症状
👉 眼の異常
👉 血管・心臓の障害
の3つが特徴となります。


1. 原因

この病気は主に
ABCC6遺伝子の異常
によって起こります。

この遺伝子の異常により、
本来なら石灰化を防ぐ物質が不足し、
👉 弾性線維にカルシウムが沈着
👉 組織がもろくなる
という状態になります。


2. 皮膚の症状

比較的早期(思春期~若年成人)に現れます。

特徴:

  • 首、脇、肘、膝、股などに
    黄色っぽい小さなブツブツ
  • 皮膚が
    たるむ・しわしわになる
  • 触ると
    → ややゴムのような感触

見た目は「黄色腫」に似ますが、
コレステロールの病気とは別物です。


3. 眼の症状

網膜の「ブルッフ膜」が障害されます。

起こりうる症状:

  • 網膜出血
  • 脈絡膜新生血管
  • 視力低下
  • 中心暗点(見たいところが見えない)

進行すると
👉 失明リスク
もあります。


4. 血管・心臓の症状

血管の弾性線維が障害されるため:

  • 動脈硬化が起こりやすい
  • 若くても
    • 狭心症
    • 心筋梗塞
    • 脳梗塞
    • 消化管出血
      などのリスクが高くなります。

5. 遺伝形式

多くは
常染色体劣性遺伝
(両親から異常遺伝子を1つずつ受け取る)

まれに
✔ 優性遺伝型
もあります。


6. 治療法

現在のところ
👉 根本的に治す治療法はありません

そのため:

  • 皮膚:経過観察
  • 眼:定期検査・抗VEGF薬治療
  • 血管:動脈硬化予防(血圧・脂質管理)

といった
合併症の予防と早期発見が治療の中心です。


7. 日常生活の注意点

  • 定期的な
    • 皮膚科
    • 眼科
    • 循環器内科
      受診が重要
  • 喫煙は強く推奨されません
  • 血圧・脂質管理が重要
  • 急な視力低下、黒い影、胸痛、腹痛、下血があれば
    すぐ受診

まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>は
皮膚・目・血管の弾性線維が壊れ、石灰化する遺伝病で、
とくに
✔ 視力障害
✔ 心血管イベント
が重要な問題になります。

<弾性線維性仮性黄色腫>の人はどれくらい?

弾性線維性仮性黄色腫(PXE)>は、**比較的まれな遺伝性疾患(希少疾患)**です。


患者数・頻度

世界的な頻度

報告ではおおよそ
👉 2万5,000人に1人 ~ 10万人に1人
(1/25,000 ~ 1/100,000)
とされています。


日本での頻度

日本では正確な全国統計はありませんが、
👉 数百人程度と推定
されており、
👉 10万人に1人未満
の非常にまれな疾患と考えられています。


なぜばらつきがあるのか

頻度に幅がある理由は:

  • 軽症例が見逃されやすい
  • 皮膚症状だけで診断されない例がある
  • 遺伝子検査が普及していなかった時代の未把握例が多い

などによります。


性別・発症年齢

  • 女性にやや多い
  • 多くは
    👉 思春期~20代で皮膚症状が出現
    👉 眼症状は20~40代で出ることが多い

とされています。


まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>の人は

  • 世界では
    ✔ 約2.5万~10万人に1人
  • 日本では
    ✔ 数百人規模の希少疾患

というレベルです。

<弾性線維性仮性黄色腫>の原因は?

弾性線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum:PXE)>の原因は、遺伝子異常によって弾性線維が石灰化してしまうことです。


原因の本質

① 遺伝子の異常

多くの患者さんでは
👉 ABCC6(エービーシーシーシックス)遺伝子の変異
が原因となります。

この遺伝子は本来、
体内で石灰化(カルシウム沈着)を防ぐ物質の調節
に関与しています。


② 何が起こるのか

ABCC6遺伝子が正常に働かないと:

  • 石灰化を防ぐ物質(ピロリン酸など)が不足
  • 弾性線維にカルシウムが沈着
  • 弾性線維が
    → もろくなる
    → 断裂する
    → 機能を失う

という変化が起こります。

その結果:

  • 皮膚
  • 網膜
  • 血管

など、弾性線維を多く含む組織に障害が出ます。


遺伝形式

多くは
常染色体劣性遺伝
です。

つまり:

  • 両親がともに保因者
  • 子どもが発症する確率は
    👉 25%

まれに
✔ 優性遺伝型
も報告されています。


生活習慣や感染が原因?

いいえ。
この病気は:

  • 食事
  • 運動
  • 感染症
  • 育て方

が原因で起こる病気ではありません。

👉 生まれつきの遺伝子の問題による病気です。


まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>の原因は
ABCC6遺伝子の異常により、弾性線維が石灰化して壊れることです。

その結果:

  • 皮膚
  • 血管

に症状が出る、遺伝性の全身疾患となります。

<弾性線維性仮性黄色腫>は遺伝する?

はい、
弾性線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum:PXE)>は
遺伝する病気です。


遺伝形式

① 主に「常染色体劣性遺伝」

最も多いタイプです。

これは:

  • 両親が
    👉 病気を発症していない
    👉 しかし「原因遺伝子を1つずつ持つ保因者」
  • 子どもが
    👉 両方から異常遺伝子を受け取ると発症

という形式です。

発症確率

両親が保因者の場合:

  • 発症する確率:25%
  • 保因者になる確率:50%
  • まったく遺伝子異常を持たない確率:25%

② まれに「常染色体優性遺伝」

少数ですが、

  • 親がPXEを発症している場合
  • 子どもに遺伝する確率:50%

という型も報告されています。


原因遺伝子

主に
👉 ABCC6遺伝子
の変異によって起こります。

この遺伝子異常は:

  • 生まれつき存在します
  • 生活習慣や育て方が原因ではありません

家族に患者がいない場合でも起こる?

はい、起こります。

理由として:

  • 両親とも
    👉 無症状の保因者である場合
  • 初めて患者として見つかるケースも多い

ためです。


まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>は:

  • 遺伝する病気である
  • 多くは
    ✔ 常染色体劣性遺伝
  • まれに
    ✔ 常染色体優性遺伝
  • 原因は
    ✔ ABCC6遺伝子変異

という特徴があります。

<弾性線維性仮性黄色腫>の経過は?

弾性線維性仮性黄色腫(PXE)>の経過は、
ゆっくり進行する慢性疾患であり、主に
皮膚 → 眼 → 血管系
の順で症状が現れていくことが多いのが特徴です。


1. 発症の時期

多くの場合:

  • 思春期~20代:皮膚症状が出現
  • 20~40代:眼の症状が出現
  • 中年以降:血管・心臓・脳などの合併症リスクが上昇

という経過をたどります。

ただし、
✔ 個人差が非常に大きい
✔ 軽症のまま一生を過ごす方もいる
という点が重要です。


2. 皮膚症状の経過

  • 首・わき・ひじ・ひざなどに
    → 黄色い小丘疹が出現
  • 徐々に
    → 皮膚がたるむ
    → しわ状になる
  • 基本的に
    👉 生命予後には直接影響しません
  • 見た目の変化は
    👉 年単位でゆっくり進行します

3. 眼症状の経過(重要)

網膜の「ブルッフ膜」が障害されます。

初期:

  • 自覚症状なし
  • 眼底検査で
    アンジオイドストリークス

進行すると:

  • 網膜出血
  • 脈絡膜新生血管
  • 視力低下
  • 中心暗点

放置すると:
👉 不可逆的な視力障害や失明
につながることがあります。

現在は
抗VEGF薬の眼内注射により、
視力低下を抑えられる例が増えています。


4. 血管・内臓の経過

血管の弾性線維が障害されるため:

  • 若年でも動脈硬化が進みやすい
  • 起こりうる合併症:
    • 狭心症
    • 心筋梗塞
    • 脳梗塞
    • 消化管出血

これらは
👉 生命予後に影響する可能性があります


5. 寿命への影響

適切な管理が行われれば:

  • 多くの患者さんは
    👉 一般の方とほぼ同等の寿命
    と考えられています。

ただし:

  • 視力障害
  • 心血管イベント

が重なると
👉 生活の質(QOL)が低下する可能性があります。


6. 経過を左右する要因

予後に影響するのは:

  • 眼合併症の早期発見
  • 血圧・脂質・血糖の管理
  • 喫煙の有無
  • 定期通院の有無

です。


まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>の経過は:

  • ゆっくり進行する
  • 初期は皮膚症状
  • 次に眼症状
  • その後、血管系合併症
  • 早期発見と管理で
    👉 失明や重い合併症を防げる
  • 寿命
    👉 適切管理でほぼ通常と同等

といえます。

<弾性線維性仮性黄色腫>の治療法は?

弾性線維性仮性黄色腫(Pseudoxanthoma elasticum:PXE)>の治療は、
現時点では病気そのものを根本的に治す方法は確立していません。

そのため治療の基本方針は、
👉 合併症を予防すること
👉 症状を早期に見つけて治療すること
です。


1. 皮膚症状に対する治療

皮膚の変化自体は命に関わることは少なく、

  • 基本:経過観察
  • 美容的に問題が大きい場合:
    • レーザー治療
    • 皮膚切除術

が検討されることもありますが、
👉 再発する可能性が高いため慎重に判断されます。


2. 眼の合併症に対する治療(最重要)

視力を守るために最も重要な治療です。

脈絡膜新生血管・網膜出血がある場合:

  • 抗VEGF薬の硝子体内注射
    (ラニビズマブ、アフリベルセプトなど)

これにより:

  • 出血を抑える
  • 視力低下の進行を防ぐ
    ことが可能になっています。

※現在では
👉 失明リスクを大きく下げられるようになっています。


3. 血管・心血管合併症への対策

動脈硬化を進めないことが重要です。

  • 高血圧 → 降圧薬
  • 脂質異常症 → スタチンなど
  • 糖尿病 → 血糖管理
  • 狭心症・心筋梗塞 → 循環器治療

加えて:

  • 禁煙
  • 適正体重の維持
  • 塩分・脂質の管理

が治療の一部となります。


4. 出血リスクへの注意

PXEでは血管がもろくなるため:

  • 消化管出血
  • 網膜出血

を起こしやすくなります。

そのため:

  • 外傷に注意
  • 必要以上の抗凝固薬・抗血小板薬は慎重使用
    (※医師の判断が必須)

が重要です。


5. 研究段階の治療(2025年時点)

現在、以下の治療法が研究中です。

① マグネシウム補充

  • 石灰化を抑える可能性
  • 動物実験や小規模研究あり
  • 標準治療には未到達

② ビスホスホネート(エチドロネート)

  • 石灰化抑制作用を利用
  • 一部臨床試験で進行抑制効果が報告
  • 長期安全性は検討中

③ 遺伝子治療・分子標的治療

  • ABCC6遺伝子機能の補正を目指す
  • 現在は基礎研究段階

👉 いずれも
日常診療で使える治療ではありません。


6. 治療の中心は「定期フォロー」

実際の治療の柱は:

  • 皮膚科
  • 眼科
  • 循環器内科

による
✔ 定期検査
✔ 早期発見
✔ 早期介入

です。


まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>の治療は:

  • 根治療法:❌ なし
  • 現実的治療:
    • 眼:抗VEGF薬
    • 血管:動脈硬化管理
    • 皮膚:原則経過観察
  • 研究中:
    • マグネシウム
    • ビスホスホネート
    • 遺伝子治療

という構成になります。

<弾性線維性仮性黄色腫>の日常生活の注意点

弾性線維性仮性黄色腫(PXE)>では、
血管・眼・皮膚の合併症を防ぐことが日常生活で最も重要になります。

① 眼に関する注意点(最重要)

■ 定期検査

  • 眼科を定期受診(最低でも年1回以上)
  • 眼底検査・OCT検査などで
    → 出血や新生血管を早期発見します

■ すぐ受診すべき症状

以下があれば緊急受診が必要です:

  • 急な視力低下
  • 見たいところが歪む
  • 黒い点・影が見える
  • 視野の一部が欠ける

👉 放置すると不可逆的な視力障害につながります。


② 血管・心臓・脳を守る生活習慣

PXEでは血管がもろく、
若年でも動脈硬化や出血を起こしやすくなります。

■ 必須事項

  • 禁煙(最重要)
  • 血圧・血糖・脂質を正常範囲に保つ
  • 塩分・脂質を控えめにした食事
  • 適正体重の維持

■ 運動について

  • ウォーキングなどの
    軽〜中等度の有酸素運動は推奨
  • ただし:
    • 重い物を持つ
    • 強くいきむ
    • 衝撃の強いスポーツ
      (ラグビー、格闘技など)は
      👉 出血リスクがあり、避けるのが望ましいです。

③ 出血・外傷への注意

血管が裂けやすいため:

  • 転倒や強打を避ける
  • 眼を強くこすらない
  • コンタクトレンズは慎重に使用
  • 消化管出血(黒い便・血便)に注意

④ 薬に関する注意

以下は必ず主治医に相談が必要です:

  • 抗凝固薬・抗血小板薬
    (ワーファリン、アスピリンなど)
  • サプリメントの大量摂取
    (特にカルシウム系)

👉 出血や石灰化を悪化させる可能性があります。


⑤ 皮膚のケア

  • 皮膚を強く引っ張らない
  • 摩擦を避ける
  • 紫外線対策(乾燥・劣化を防ぐ)
  • 見た目で悩む場合は皮膚科に相談可能

⑥ 妊娠・出産に関する注意

  • 妊娠希望時は
    👉 眼科・内科と事前相談が望ましい
  • 妊娠中は
    • 血圧上昇
    • 眼底出血
      に注意が必要です

⑦ 定期フォローの目安

理想的には:

  • 眼科:年1回以上
  • 内科・循環器内科:年1回以上
  • 皮膚科:必要に応じて

まとめ

<弾性線維性仮性黄色腫>の日常生活で重要なのは:

✔ 視力を守る
✔ 血管を守る
✔ 出血を防ぐ
✔ 定期検査を続ける

具体的には:

  • 禁煙
  • 血圧・脂質管理
  • 激しい運動を避ける
  • 視力異常は即受診
  • 眼科・内科の定期通院

が非常に重要です。

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