脊髄性筋萎縮症(SMA)

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目次

《脊髄性筋萎縮症》はどんな病気?

脊髄性筋萎縮症は英名spinal muscular atrophyから頭文字をとってSMAと呼ばれることが多くあります。
SMAは、脊髄に存在する運動神経細胞である、脊髄前角細胞が病変するによって起こる神経原性の筋萎縮症です。
似た病変として、筋委縮性側索硬化症(通称ALS)があります。
SMAは体幹や四肢の筋力が徐々に低下し、進行性の筋萎縮病変の疾病です。

病型は、主に発症する年齢によって分けられていて、現在4種類あります。
I 型:重症型(別名:ウェルドニッヒ・ホフマンWerdnig-Hoffmann病)
発症期;生後0~6か月

II 型:中間型(別名:デュボビッツDubowitz病)
発症期;生後7~18か月

III 型:軽症型(別名:クーゲルベルグ・ウェランダーKugelberg-Welander病)と、
発症期;生後18か月以降

成人期に発症するIV型に分類されます。
発症期;青年期~成人期

《脊髄性筋萎縮症》の人はどれくらい?

日本では、I 型脊髄性筋萎縮症に乳児の段階で罹患する患者さんは10万に1~2人とされています。
米国のかたよりかかりにくいことが研究で分かっています。
出典;SMA FOUNDATION (海外の論文サイト)

《脊髄性筋萎縮症》の原因は?

主に小児期に発症するSMAは第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患ですが、成人発症のSMA IV型は遺伝子的に複数の成因の混在が考えられます。
大半のSMAはsurvival of motor neuron 1(SMN1)遺伝子の突然変異によって引き起こるとされています。
両親から受け継いだ2つのSMN1遺伝子の双方に突然変異が生じることにより、SMNタンパク質の産生が減少します。
SMNタンパク質の量が通常と比較して十分でないと、脊髄内の運動ニューロンが徐々に減少し、脳からの信号を筋肉へ受信できなくなります。

《脊髄性筋萎縮症》は遺伝する?

両親が共に突然変異したSMN1遺伝子を1対持っていた場合、1/4(25%)の確率で発症します。

《脊髄性筋萎縮症》の経過は?

I 型脊髄性筋萎縮症は多くの場合、本人の自覚よりも、親が子どもの年齢と比較した運動発達も遅れに気付いて発覚します。
子どもが年齢相応の標準な運動発達レベル(例;寝返り、上体起こし、自力での姿勢変更)に達していない、食べたり飲みこむ作業が上手くできない等といったことからも発覚するケースがあります。

また、I 型以降のSMAの場合、多くの場合、発症が発覚した年齢で病型が付けられます。

《脊髄性筋萎縮症》の治療法は?

現在根本的な治療は確立されていません。
日本をはじめ世界各国で治療薬の臨床試験が行われています。
I 型・Ⅱ型では授乳や嚥下が困難なことから、経管栄養(口から管で栄養を入れる管)や胃婁などが行われています。
呼吸器からの感染例が多く、幼児期以降に使用されることが多いです。
III型の患者さんでは、歩行機能をできるだけ保持できるよう、歩行支援などのリハビリテーションなどの対症療法がおこなわれています。

《脊髄性筋萎縮症》の日常生活での注意点

Ⅰ型・Ⅱ型の乳幼児では、呼吸器からのウィルスや菌の感染により、感染症を起こしやすいことから、人混みを避けるなどの対処が必要です。
また、食事の摂取での疲労が見られることから、軽微な変化に注意する必要があります。
Ⅱ型のお子さんは3歳から電動車いすを動かすことができるため、家族や友達との屋内や野外活動を一緒に体験することができます。

《脊髄性筋萎縮症》の最新情報

2019.11 Ⅰ型脊髄性筋萎縮症に対するヌシネルセン治療法の効果 (海外の論文サイト)

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