ラスムッセン脳炎

脳神経 神経 指定難病  クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 下垂体性TSH分泌亢進症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体前葉機能低下症 網膜色素変性症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症  皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD) 片側巨脳症 先天性大脳白質形成不全症 ドラベ症候群 海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん ミオクロニー欠神てんかん ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん レノックス・ガストー症候群 ウエスト症候群 片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群 HHE症候群 ラスムッセン脳炎 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症 指定難病
クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 網膜色素変性症 脊髄空洞症 下垂体前葉機能低下症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体性TSH分泌亢進症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD) 先天性大脳白質形成不全症 ドラベ症候群 海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん  ミオクロニー欠神てんかん ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん レノックス・ガストー症候群 ウエスト症候群 片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群 HHE症候群 ラスムッセン脳炎 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症

目次

<ラスムッセン脳炎>はどんな病気?

ラスムッセン脳炎は、
👉 小児期に発症することが多い、慢性・進行性の片側性脳炎で、
👉 難治性てんかんと進行性の片麻痺・認知障害を引き起こす非常に稀な神経疾患です。

最大の特徴は、
炎症と萎縮が「脳の片側(一側大脳半球)」に限局して進行する点です。


  1. 主な特徴(ポイント)
  2. 発症年齢
  3. 典型的な経過(3段階)
    1. ① 前駆期
    2. ② 急性期(進行期)
    3. ③ 慢性期
  4. 原因・病態
  5. 検査所見の特徴
    1. MRI
    2. 脳波(EEG)
    3. 髄液
  6. 治療
    1. ① 薬物療法
    2. ② 外科治療(極めて重要)
  7. 予後
  8. 他疾患との違い(簡単整理)
  9. まとめ(重要ポイント)
  10. 発症頻度・患者数の目安
    1. 世界的な頻度
  11. 年齢別の内訳
  12. 日本における推定
  13. なぜ正確な人数が分かりにくいのか
  14. 他の希少てんかん・片側性疾患との比較
  15. まとめ(重要ポイント)
  16. 結論(要点)
    1. ① 病理(組織)所見の決定的証拠
    2. ② 免疫治療が「進行を抑える」ことがある
  17. かつて考えられた原因(現在は否定的)
    1. ❌ ウイルス感染説
  18. なぜ「片側だけ」が攻撃されるのか?
  19. 遺伝との関係
  20. 他疾患との原因の違い(整理)
  21. なぜ原因理解が重要か
  22. まとめ(重要ポイント)
  23. 結論
  24. なぜ「遺伝しない」と言えるのか
    1. ① 病気の本質が「自己免疫性脳炎」
    2. ② 家族内発症がほぼ報告されていない
  25. では「遺伝的要素」は全く関係ないのか?
    1. 「遺伝しない」≠「遺伝が一切関与しない」
  26. 兄弟姉妹・将来の子どもへの影響
  27. 他の疾患との比較(理解の整理)
  28. まとめ(重要ポイント)
  29. 時期別の経過
    1. ① 前駆期(発症初期)
    2. ② 進行期(急性期)
    3. ③ 慢性期(安定期)
  30. 発達・機能予後
  31. 生命予後
  32. 経過を左右する主な因子
  33. まとめ(重要ポイント)
  34. 治療の基本方針(重要な結論)
  35. ① 抗てんかん薬治療(補助的治療)
    1. 目的
    2. 使用される薬剤
  36. ② 免疫治療(進行抑制を目的)
    1. 主な免疫治療
    2. 効果と限界
    3. 免疫治療の位置づけ
  37. ③ 外科治療(最も重要・根治的治療)
    1. 手術の種類
    2. 目的
    3. 効果
    4. なぜ手術が許容されるのか
  38. ④ リハビリテーションと支持療法
    1. リハビリ
    2. 心理・社会的支援
  39. 治療選択の実際(流れ)
  40. まとめ(重要ポイント)
  41. 日常生活の基本方針(重要)
  42. ① 発作・EPCへの備え(最優先)
    1. 見逃さないポイント
    2. 発作時の基本対応
  43. ② 睡眠・体調管理
  44. ③ 薬の管理(免疫治療・抗てんかん薬)
  45. ④ 安全面の配慮(転倒・事故予防)
  46. ⑤ リハビリと機能維持
  47. ⑥ 学校・職場での配慮
  48. ⑦ 心理面・家族への配慮
  49. ⑧ 手術後・慢性期のポイント(該当する場合)
  50. まとめ(重要ポイント)

主な特徴(ポイント)

  • 片側の脳だけが炎症・萎縮を起こす
  • 頻回で治療抵抗性の焦点発作
  • 進行性の片麻痺(半身まひ)
  • 認知機能の低下が徐々に進行

👉 「進行する」「片側性」「難治性てんかん」がキーワードです。


発症年齢

  • 多くは 小児期(平均6〜8歳前後)
  • まれに 思春期や成人発症 もあります

典型的な経過(3段階)

① 前駆期

  • 発作はまだ少ない
  • 軽い焦点発作や一過性の麻痺
  • 診断がつきにくい時期

② 急性期(進行期)

  • 頻回の焦点発作
  • 特徴的なのが
    持続性部分てんかん(epilepsia partialis continua:EPC)
    • 顔・手足の一部が絶えずピクつく
  • 片麻痺が進行
  • MRIで片側脳萎縮が進行

③ 慢性期

  • 炎症活動は落ち着く
  • しかし
    • 片麻痺
    • 言語障害
    • 知的障害
      が後遺

原因・病態

  • 自己免疫性疾患と考えられています
  • 免疫細胞(特にT細胞)が
    自分の脳組織を攻撃することで炎症が持続
  • 明確な遺伝病ではありません
  • ウイルス感染説は現在は支持されていません

検査所見の特徴

MRI

  • 初期:軽度の信号異常
  • 進行期:片側大脳半球の萎縮

脳波(EEG)

  • 病変側に
    持続性の棘徐波・徐波

髄液

  • 軽度の炎症所見(非特異的)

治療

① 薬物療法

  • 抗てんかん薬 → 効果は限定的
  • ステロイド・免疫グロブリン →
    進行を一時的に抑えることはある

② 外科治療(極めて重要)

  • 半球離断術/半球切除術
  • 発作抑制に最も有効
  • 早期に行うほど
    👉 発作・認知予後が良好な場合があります

※すでに片麻痺が進行しているため、
機能的デメリットが追加されにくい場合があります。


予後

  • 生命予後は比較的良好
  • しかし
    • 運動障害
    • 言語障害
    • 知的障害
      を残すことが多い
  • 発作コントロールが予後の鍵

他疾患との違い(簡単整理)

疾患特徴
片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群発熱+急性けいれん後
ラスムッセン脳炎慢性進行性・自己免疫
環状20番染色体症候群両側性・遺伝学的
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん焦点が移動

まとめ(重要ポイント)

  • 片側脳に限局して進行する慢性脳炎
  • 難治性てんかん+進行性片麻痺
  • 自己免疫性が強く疑われている
  • 外科治療が唯一、発作を根本的に抑えうる手段
  • 早期診断・早期介入が重要

<ラスムッセン脳炎>の人はどれくらい?

発症頻度・患者数の目安

世界的な頻度

  • 年間発症率
    👉 100万人あたり 約1〜2人/年
  • 有病率(その時点で患者として存在する人数)
    👉 100万人あたり 数人レベル

➡ **極めて稀な疾患(ultra-rare disease)**に分類されます。


年齢別の内訳

  • 小児発症が大多数(約80〜90%)
    • 平均発症年齢:6〜8歳前後
  • 思春期・成人発症
    👉 全体の 10〜20%程度

日本における推定

  • 全国的な正確な患者数統計は存在しません
  • 人口規模から推定すると、
    👉 日本全体で数十〜100人程度が経過中または治療歴あり
    と考えられています
  • 小児神経専門施設では
    👉 数年に1例あるかどうか
    というレベルです

なぜ正確な人数が分かりにくいのか

  1. 超希少疾患である
  2. 発症初期は
    • 焦点てんかん
    • 片側麻痺
      として経過し、診断確定まで時間がかかる
  3. 診断基準が
    • 臨床
    • MRI
    • 脳波
    • 病理
      総合判断で、登録制度がない
  4. 成人期に診断される例もあり、小児疾患として把握されにくい

他の希少てんかん・片側性疾患との比較

疾患頻度の目安
ウエスト症候群約4,000〜6,000人に1人
片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群(HHE)非常に稀(数万人〜数十万人に1人)
ラスムッセン脳炎100万人に数人
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん出生100万人に数人

まとめ(重要ポイント)

  • 年間発症率は100万人あたり約1〜2人
  • 世界的にも、日本国内でも極めて稀
  • 多くは小児期発症だが、成人発症もある
  • 専門施設でも遭遇頻度は非常に低い

<ラスムッセン脳炎>の原因は?

結論(要点)

原因は「自己免疫による脳炎」と考えられています。
体の免疫が誤って自分自身の脳(しかも片側の大脳半球)を攻撃し続ける
ことで、炎症と萎縮が進行します。

① 病理(組織)所見の決定的証拠

手術や生検で得られた脳組織から、以下が一貫して確認されています。

  • **Tリンパ球(特にCD8陽性T細胞)**が神経細胞を攻撃
  • 炎症細胞が一側の大脳半球に集中
  • 神経細胞の脱落と、進行性の脳萎縮

👉 これは自己免疫性脳炎に典型的な所見です。


② 免疫治療が「進行を抑える」ことがある

  • ステロイド
  • 免疫グロブリン(IVIG)
  • 免疫抑制薬

これらにより、
発作頻度や進行速度が一時的に低下する例が報告されています。

👉 これは「免疫が病態に関与している」ことを強く裏づけます。


かつて考えられた原因(現在は否定的)

❌ ウイルス感染説

  • 以前は
    • 麻疹ウイルス
    • サイトメガロウイルス
      などが疑われましたが、
  • 再現性のあるウイルス検出はできず
    👉 現在は主要因とは考えられていません。

なぜ「片側だけ」が攻撃されるのか?

これは完全には解明されていませんが、以下の仮説があります。

  • 脳の片側に
    免疫の標的となる抗原が局所的に存在
  • 何らかのきっかけ(感染・炎症)で
    免疫反応が一側半球で暴走
  • 一度始まると
    自己免疫反応が持続・増幅

👉 ただし、左右差が生じる正確な理由は未解明です。


遺伝との関係

  • 遺伝性疾患ではありません
  • 家族内発症はほぼ報告されていません
  • ただし
    • 免疫反応の起こりやすさ
      という体質的素因が、間接的に関与している可能性は否定できません

他疾患との原因の違い(整理)

疾患原因の本質
片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群急性けいれんによる二次障害
環状20番染色体症候群染色体構造異常
ラスムッセン脳炎自己免疫性脳炎
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん遺伝子異常

なぜ原因理解が重要か

  • 抗てんかん薬だけでは不十分
  • 免疫治療をどの時期に使うかが重要
  • 進行例では
    👉 **外科治療(半球離断術)**が根治的手段になる

まとめ(重要ポイント)

  • 原因は自己免疫反応による片側性脳炎
  • T細胞が神経細胞を攻撃するのが本態
  • ウイルス感染説は現在否定的
  • 遺伝病ではない
  • 免疫治療と外科治療の位置づけが明確

<ラスムッセン脳炎>は遺伝する?

結論

遺伝する病気ではありません。
ラスムッセン脳炎は、親から子へ受け継がれる遺伝性疾患ではないと考えられています。


なぜ「遺伝しない」と言えるのか

① 病気の本質が「自己免疫性脳炎」

ラスムッセン脳炎の原因は、
免疫が誤って自分自身の脳(しかも片側の大脳半球)を攻撃する自己免疫反応です。

  • 特定の遺伝子変異が直接原因となる疾患ではない
  • 病理ではCD8陽性T細胞による神経細胞攻撃が中心
  • 後天的に発症する病態です

👉 このため、遺伝病の定義には当てはまりません。


② 家族内発症がほぼ報告されていない

  • 親子・兄弟姉妹で同じラスムッセン脳炎を発症した報告は極めて稀
  • 大規模レビューや国際的症例集積でも、家族性集積は認められていません

では「遺伝的要素」は全く関係ないのか?

ここは重要な補足です。

「遺伝しない」≠「遺伝が一切関与しない」

  • 一部の研究では、
    **免疫反応が起こりやすい体質(免疫応答の個人差)**が
    発症の背景にある可能性が示唆されています
  • ただしこれは
    • 「発症しやすさの素因」
      であり、
    • 病気そのものが遺伝するという意味ではありません

👉 兄弟姉妹の発症リスクが有意に高くなる、という証拠はありません。


兄弟姉妹・将来の子どもへの影響

  • 兄弟姉妹の発症リスクは一般集団とほぼ同等
  • 将来お子さんを持つことについて、
    特別な制限や出生前遺伝学的検査は通常不要です
  • 不安が強い場合は、遺伝カウンセリングでの説明が有用です

他の疾患との比較(理解の整理)

疾患遺伝との関係
遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん遺伝子変異(多くはde novo)
環状20番染色体症候群染色体異常(多くはde novo)
ラスムッセン脳炎遺伝しない(自己免疫性)
重症筋無力症遺伝しない(自己免疫性)

まとめ(重要ポイント)

  • ラスムッセン脳炎は遺伝しない
  • 原因は自己免疫反応による片側性脳炎
  • 家族内発症は極めて稀
  • 兄弟姉妹・将来の子どもへのリスク増加は考えにくい
  • 親の行動や育て方が原因ではない

<ラスムッセン脳炎>の経過は?

  • 慢性・進行性に経過する片側性脳炎です
  • てんかん発作が先行し、片麻痺・認知機能低下が徐々に進行します
  • 経過はおおむね 前駆期 → 進行期(急性期) → 慢性期 の三段階に分けられます
  • 早期介入(免疫治療・外科治療)が予後を左右します

時期別の経過

① 前駆期(発症初期)

数か月〜1年程度続くことがあります。

  • 焦点発作が散発的に出現
  • 発作頻度はまだ少なく、抗てんかん薬で一時的に抑えられることもあります
  • 片麻痺や認知低下は目立たない、または軽度
  • MRIや脳波の異常がはっきりしないこともあり、診断が難しい時期です

② 進行期(急性期)

数か月〜数年かけて進行します。最も臨床的に問題となる時期です。

  • 発作が急激に頻回化・難治化
  • 特徴的なのが
    持続性部分てんかん(EPC:epilepsia partialis continua)
    • 顔や手足の一部が、長時間・連日ピクピク動く
  • 片麻痺が徐々に進行
  • 言語障害、注意力低下などの高次機能障害が目立ち始めます
  • MRIで
    一側大脳半球の炎症所見と進行性萎縮が明確になります

👉 この時期に免疫治療や外科治療を検討するかどうかが重要です。


③ 慢性期(安定期)

進行期を経た後、炎症活動が落ち着く段階です。

  • 発作頻度は
    • 減少することもありますが
    • 多くは慢性のてんかんとして残存します
  • 片麻痺は固定(改善は限定的)
  • 認知機能障害・言語障害が後遺することがあります
  • MRIでは
    明らかな一側大脳半球萎縮が完成します

発達・機能予後

  • 運動機能
    片麻痺は残ることが多いですが、リハビリにより日常生活動作は改善可能な例もあります
  • 言語・認知機能
    発症年齢・利き手側の障害・治療時期により幅があります
  • てんかん
    抗てんかん薬のみでの完全制御は難しいことが多いです

生命予後

  • 生命予後自体は比較的良好です
  • ただし、発作の重症度や合併症により生活の質(QOL)は大きく影響を受けます

経過を左右する主な因子

  1. 発症から治療開始までの期間
  2. 免疫治療への反応性
  3. 外科治療(半球離断術など)の実施時期
  4. 発症年齢(若年発症ほど影響が大きい傾向)

まとめ(重要ポイント)

  • ラスムッセン脳炎は
    慢性進行性に「てんかん → 片麻痺 → 認知障害」が進む疾患です
  • 経過は
    前駆期 → 進行期 → 慢性期 の三段階
  • 進行期での早期判断(免疫治療・外科治療)が予後を左右
  • 生命予後は比較的良好ですが、後遺症が問題となります

<ラスムッセン脳炎>の治療法は?

治療の基本方針(重要な結論)

  • 抗てんかん薬だけで病気を止めることは困難
  • 免疫治療で進行を抑えることは可能だが、根治は難しい
  • 根本的に発作を止め得る治療は「外科治療(半球離断術など)」
  • 治療のタイミングが予後を大きく左右

① 抗てんかん薬治療(補助的治療)

目的

  • 発作の頻度・重症度を下げる
  • ただし 単独での十分なコントロールは困難 なことが多い

使用される薬剤

  • バルプロ酸
  • レベチラセタム
  • ラモトリギン
  • トピラマート など

👉 持続性部分てんかん(EPC)や頻回発作には効果が限定的です。


② 免疫治療(進行抑制を目的)

ラスムッセン脳炎は自己免疫性脳炎と考えられているため、免疫治療が行われます。

主な免疫治療

  • 副腎皮質ステロイド
  • 免疫グロブリン大量静注(IVIG)
  • 免疫抑制薬(タクロリムス、シクロホスファミド等)

効果と限界

  • 炎症活動を一時的に抑える
  • 発作頻度や進行速度を遅らせることは可能
  • しかし
    👉 長期的に病気を止めることは難しい

免疫治療の位置づけ

  • 前駆期〜進行初期に最も有効
  • 外科治療までの「時間稼ぎ」として重要

③ 外科治療(最も重要・根治的治療)

手術の種類

  • 半球離断術(functional hemispherectomy)
  • 半球切除術

目的

  • 病変側半球を機能的に遮断し、発作の伝播を止める

効果

  • 発作消失または著明改善が最も期待できる治療
  • EPCが消失する例が多い

なぜ手術が許容されるのか

  • すでに
    • 片麻痺
    • 言語・運動機能低下
      が進行していることが多い
  • 追加される機能低下が限定的な場合が多い
  • 特に小児では
    👉 健側半球の可塑性により機能代償が期待できます

④ リハビリテーションと支持療法

リハビリ

  • 理学療法(運動機能)
  • 作業療法(日常生活動作)
  • 言語療法(言語障害)

心理・社会的支援

  • 学校・家庭での支援
  • 心理的ケア
  • 家族支援(レスパイト含む)

治療選択の実際(流れ)

  1. 抗てんかん薬+免疫治療開始
  2. 発作頻回・EPC持続 → 外科治療を早期検討
  3. 手術後 → リハビリ・長期フォロー

👉 **「いつ手術を決断するか」**が最大の治療判断ポイントです。


まとめ(重要ポイント)

  • ラスムッセン脳炎は進行性・自己免疫性脳炎
  • 抗てんかん薬のみでは不十分
  • 免疫治療は進行抑制目的
  • 外科治療(半球離断術)が最も有効
  • 早期診断・早期治療が予後を左右

<ラスムッセン脳炎>の日常生活の注意点

日常生活の基本方針(重要)

  • 発作(特に持続性部分てんかん:EPC)を長引かせない
  • 疲労・睡眠不足・感染を避ける
  • 片麻痺・認知低下を前提に環境調整
  • 医療・学校(職場)・家族の情報共有

① 発作・EPCへの備え(最優先)

見逃さないポイント

  • 顔・手足の一部が連日ピクつく/止まらない
  • ぼーっとする・反応が鈍い状態が続く
  • いつもより言葉が出にくい/注意が続かない

EPCや発作増悪のサインです。早めに主治医へ連絡してください。

発作時の基本対応

  • 無理に押さえない、安全な姿勢を確保
  • 開始時刻・持続時間・部位を記録(治療調整に重要)
  • 長引く/増える場合は受診・救急要請を検討

② 睡眠・体調管理

  • 睡眠不足は最大の増悪因子です
  • 就寝・起床時刻を一定に
  • 発熱・感染時は早めに休養と受診
  • 体調不良時の発作対応プランを家族で共有

③ 薬の管理(免疫治療・抗てんかん薬)

  • 自己判断で中止・減量しない
  • 眠気、集中力低下、感染兆候など副作用の観察
  • 定期通院・検査(血液・画像)を継続
  • 治療段階(免疫治療期/手術前後)に応じた生活制限の確認

④ 安全面の配慮(転倒・事故予防)

  • 片麻痺側の転倒対策(手すり、滑り止め、段差整理)
  • 入浴は見守り、高所・水辺・単独行動は慎重に
  • 外出時は連絡手段発作時カードを携帯

⑤ リハビリと機能維持

  • 理学療法・作業療法・言語療法を継続
  • 麻痺側を使い続ける工夫(補助具、両手動作)
  • 疲労が強い日は無理をしない(過負荷は逆効果)

⑥ 学校・職場での配慮

  • 発作時の具体的対応手順を共有
  • 休憩の確保/作業量調整/試験配慮
  • 体調変動を前提に柔軟なスケジュール

⑦ 心理面・家族への配慮

  • 進行性の病気で不安・落ち込みが出やすい
  • 本人・家族ともに心理支援を活用
  • **家族の休息(レスパイト)**も大切です

⑧ 手術後・慢性期のポイント(該当する場合)

  • 手術後は疲労管理とリハビリ再設計
  • 新しい生活動作に合わせた環境再調整
  • 学校・職場復帰は段階的

まとめ(重要ポイント)

  • 発作・EPCの早期対応が最優先
  • 睡眠・感染対策で増悪を防ぐ
  • 安全配慮+リハビリ継続で機能維持
  • 情報共有が安心とQOLを高めます

<ラスムッセン脳炎>の最新情報

成人・思春期後例の臨床像整理(診断遅延への注意)(2025)

免疫治療・外科治療の補完的活用が総説で確認(2025)

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