クッシング病

脳神経 神経 指定難病  クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 下垂体性TSH分泌亢進症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体前葉機能低下症 網膜色素変性症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症  皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD) 片側巨脳症 先天性大脳白質形成不全症 ドラベ症候群 指定難病
クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 網膜色素変性症 脊髄空洞症 下垂体前葉機能低下症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体性TSH分泌亢進症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD) 先天性大脳白質形成不全症 ドラベ症候群

目次

<クッシング病>はどんな病気?

🔹 定義

  • クッシング病(Cushing disease) は、脳の 下垂体前葉にできたACTH産生腺腫 が原因で、副腎を過剰に刺激し、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が慢性的に過剰分泌される病気です。
  • なお、コルチゾール過剰状態をまとめて クッシング症候群 と呼び、その中で下垂体腺腫が原因のものを「クッシング病」と区別します。

🔹 原因

  • 主因は ACTH産生下垂体腺腫(多くは微小腺腫<10mm>)。
  • 女性にやや多く、20〜40代に好発します。

🔹 主な症状(コルチゾール過剰による特徴)

外見の変化

  • 満月様顔貌(丸い顔)
  • 中心性肥満(体幹・顔に脂肪がつき、手足は細い)
  • 水牛様脂肪沈着(buffalo hump)(うなじ・背中に脂肪沈着)
  • 皮膚が薄くなり、赤紫色の皮膚線条(striae) が腹部・大腿部に出現

代謝異常

  • 高血糖・糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症

筋骨格系

  • 筋力低下(特に大腿の近位筋)
  • 骨粗鬆症、骨折

免疫・精神神経系

  • 易感染性
  • 気分障害(うつ、イライラ)、認知機能低下

女性特有の症状

  • 月経異常、無月経、多毛、にきび

🔹 診断

  • 血液・尿・唾液でコルチゾール高値を確認
  • デキサメタゾン抑制試験で抑制不良を確認
  • ACTH高値を確認し、下垂体性か副腎性か鑑別
  • MRIで下垂体腺腫を確認

🔹 まとめ

<クッシング病>は、

  • 下垂体のACTH産生腫瘍が原因で、
  • コルチゾールが過剰分泌される病気。
  • 顔や体型の特徴的な変化、代謝異常、筋力低下、骨粗鬆症 など全身に影響が出る。
  • 放置すると心血管疾患・感染症などで生命予後が悪化するため、早期診断と治療が重要。

<クッシング病>の人はどれくらい?

🔹 有病率・発症頻度

世界的データ

  • クッシング病は 希少疾患(まれな病気) に分類されます。
  • 世界での推定発症率は、
    • 年間100万人あたり1〜2人 程度(人口100万人に1〜2人/年)。
  • 有病率(患者として生存している人の割合)は、
    • 人口100万人あたり30〜40人 と報告されています。

日本でのデータ

  • 日本国内の疫学調査でも、人口100万人あたり約2人/年の発症率 が報告されています。
  • 男女比は 女性:男性 = 約3〜5:1 で、特に 20〜40歳代の女性 に多いです。

クッシング症候群全体との比較

  • コルチゾール過剰をきたす「クッシング症候群」全体の中で、
    • 下垂体腺腫による「クッシング病」は約60〜70% を占めます。
    • 他は、副腎腫瘍(約20〜25%)、異所性ACTH産生腫瘍(約10〜15%)など。

✅ まとめ

  • <クッシング病>は 人口100万人あたり30〜40人程度が存在する、きわめてまれな病気。
  • 発症率は年間100万人に1〜2人。
  • 患者の多くは 20〜40代女性
  • クッシング症候群全体の中で最も多い原因。

<クッシング病>の原因は?

🔹 クッシング病の原因

1️⃣ 直接の原因

  • 下垂体前葉にできた ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生腺腫 が原因。
    • この腫瘍が ACTH を過剰に分泌する → 副腎皮質が刺激される → コルチゾールが過剰に分泌される。
  • 下垂体腺腫の多くは 微小腺腫(直径10mm以下)
  • 腺腫自体は良性腫瘍がほとんど。

2️⃣ 分子レベルでの要因

近年の研究で以下のような 遺伝子変異やシグナル異常 が関与することがわかっています。

  • USP8遺伝子変異
    • クッシング病患者のACTH産生腺腫の30〜60%で報告。
    • EGFR(上皮成長因子受容体)シグナルが過剰に活性化し、ACTH産生が促進される。
  • USP48、BRAF、TP53 などの変異も一部症例で報告。

3️⃣ 関連要因

  • 多くは 散発的(偶発的) に起こるが、まれに遺伝性疾患と関連。
    • 例:多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1) に合併するケース。
  • 性別では女性に多い(約3〜5倍)。

4️⃣ 鑑別すべき「クッシング症候群」の原因

  • クッシング病は「クッシング症候群」の一部。コルチゾール過剰の原因は以下にも分けられる。
    • 副腎性(副腎腺腫・副腎癌)
    • 異所性ACTH産生腫瘍(肺小細胞癌、カルチノイドなど)
    • 医原性(ステロイド薬の長期使用)

✅ まとめ

  • クッシング病の直接原因は 下垂体のACTH産生腺腫
  • 分子レベルでは USP8遺伝子変異 が代表的。
  • ほとんどが偶発的に発生するが、一部は遺伝性疾患(MEN1など)と関わる。

<クッシング病>は遺伝する?

🔹 基本的な考え方

  • 多くのクッシング病は遺伝しません。
    • 原因の大多数は 散発的に起こる下垂体ACTH産生腺腫 です。
    • 家族内に同じ病気が繰り返し発症することはまれです。

🔹 遺伝が関与するまれなケース

一部の症例では、遺伝性腫瘍症候群の一部として発症することがあります。

  1. 多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)
    • MEN1遺伝子変異による常染色体優性遺伝。
    • 副甲状腺腫瘍、膵・消化管神経内分泌腫瘍とともに、下垂体腺腫(まれにACTH産生)が生じる。
  2. Carney complex(カーニー複合)
    • PRKAR1A遺伝子変異に関連。
    • 皮膚の色素斑、心臓粘液腫、内分泌腫瘍などを伴い、クッシング病を起こすこともある。
  3. 家族性孤発性下垂体腺腫(FIPA)
    • AIP遺伝子変異などが関与。
    • 下垂体腺腫が家族内で複数例みられることがある。ACTH産生腫瘍は少数だが報告あり。

🔹 遺伝子変異と散発例

  • クッシング病腫瘍では USP8変異 が多く見られますが、これは 腫瘍内の体細胞変異 であって、親から子へ受け継がれる「遺伝」ではありません。
  • したがって、患者本人がクッシング病になったからといって、子どもに必ず遺伝するわけではない という点が重要です。

✅ まとめ

  • クッシング病は 基本的に遺伝しない
  • ごく一部で MEN1、Carney complex、FIPA など遺伝性腫瘍症候群と関連する場合がある。
  • 多くの患者は 散発的な体細胞変異による下垂体腺腫 が原因。

<クッシング病>の経過は?

1️⃣ 発症初期

  • 下垂体に ACTH産生微小腺腫 ができても、最初は症状が目立ちにくく、
    • 「体重が増えやすい」「月経不順」「疲れやすい」程度で見過ごされることが多い。
  • 診断がつくまでに 数年〜10年以上かかることもある

2️⃣ 進行すると

  • コルチゾール過剰による特徴的な身体変化
    • 満月様顔貌、中心性肥満、水牛様脂肪沈着、皮膚線条。
  • 代謝異常
    • 高血圧、糖尿病、脂質異常症が進行。
  • 骨・筋肉への影響
    • 骨粗鬆症、骨折、筋力低下。
  • 精神神経症状
    • 気分変動、抑うつ、不眠、認知機能低下。
  • 免疫抑制
    • 感染症にかかりやすく、治りにくくなる。

3️⃣ 放置した場合の経過

  • 治療せずに放置すると、
    • 心筋梗塞、脳卒中、感染症などの合併症で 寿命が10〜15年短縮すると報告あり。
  • 特に 心血管系の合併症 が主要な死亡原因。

4️⃣ 治療後の経過

  • 手術(経蝶形骨洞手術)で腫瘍が摘出できれば、多くは寛解
    • コルチゾールが正常化すれば、心血管リスク・代謝異常も改善していく。
  • ただし、
    • すでに生じた骨粗鬆症や関節障害は完全には戻らないことがある。
    • 精神症状や外見の変化が長期間続くこともある。
  • 再発率は約10〜20%。長期のホルモン検査・MRIフォローが必須。

5️⃣ 長期予後

  • 適切な治療でコルチゾールを正常化すれば、寿命は健常人とほぼ同等に回復
  • ただし、診断の遅れや治療不十分の場合、心血管系合併症の影響が残りやすい。

✅ まとめ

  • クッシング病は ゆっくり進行するが、放置すると命に関わる病気
  • 放置 → 心血管疾患や感染症で予後不良。
  • 手術で治療すれば多くは改善し、予後も大幅に良くなるが、再発に注意して長期管理が必要

<クッシング病>の治療法は?

1️⃣ 第一選択:手術療法

  • 経蝶形骨洞手術(TSS)
    • 鼻の奥から下垂体に到達して ACTH産生腺腫を摘出する方法。
    • 下垂体腺腫が小さい(微小腺腫)場合、治癒率は70〜90%
    • 再発例や腫瘍が大きい場合は治癒率が下がるため、追加治療が必要になることもある。

2️⃣ 薬物療法(手術が不可能/効果不十分な場合)

手術ができない場合、または再発例に使われる。

  • 副腎ステロイド合成阻害薬
    • メチラポン、ケトコナゾール、オシロドスタットなど。
    • コルチゾール産生を抑える。
  • 下垂体腫瘍に作用する薬
    • パシレオチド(ソマトスタチンアナログ):ACTH分泌を抑制。
    • カベルゴリン(ドパミン作動薬):一部の患者で有効。
  • グルココルチコイド受容体拮抗薬
    • ミフェプリストン:コルチゾール作用をブロック。

3️⃣ 放射線治療

  • 手術で取り切れない場合や再発例で用いられる。
  • 定位放射線治療(ガンマナイフなど) が多い。
  • 効果が出るまで数年かかるため、その間は薬物療法で補助する。
  • 晩期に 下垂体機能低下 を起こす可能性がある。

4️⃣ 両側副腎摘出(最終手段)

  • 他の治療が無効な場合、両側副腎を摘出してコルチゾール産生を遮断することがある。
  • ただし、ACTHが抑制されなくなり腫瘍が悪化する ネルソン症候群 を起こす可能性があるため慎重に選択。

5️⃣ 合併症への治療

  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症、精神症状などを並行して管理。
  • 感染予防や骨折予防も重要。

✅ まとめ

  • 第一選択は経蝶形骨洞手術での腫瘍摘出。
  • 不完全例・再発例には 薬物療法や放射線治療を組み合わせる。
  • 難治例では 両側副腎摘出が検討される。
  • 合併症管理を含めた 包括的治療 が必要。

<クッシング病>の日常生活の注意点

1️⃣ 定期的な通院と検査

  • 手術後や薬物療法中は、ホルモン(コルチゾール・ACTH)の定期測定が必須。
  • 再発率が10〜20%あるため、長期にわたるMRIと内分泌検査のフォローが必要。

2️⃣ 食生活の工夫

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症が合併しやすいため、生活習慣病対策が重要。
    • 塩分を控える(高血圧予防)。
    • 野菜・魚・食物繊維を多めに(糖尿病・脂質異常予防)。
    • 甘い物・脂っこい物・加工食品を控える。
  • 骨粗鬆症対策
    • カルシウム・ビタミンDをしっかり摂取。
    • アルコール・喫煙は骨密度低下を悪化させるため控える。

3️⃣ 運動・体力管理

  • 筋力低下が起こりやすいため、軽めの筋力トレーニングや有酸素運動を無理のない範囲で行う。
  • 骨が弱くなっているため、転倒予防(滑りにくい靴・手すりの活用)が大切。

4️⃣ 感染予防

  • コルチゾール過剰や治療薬の影響で免疫力が下がることがある。
    • 手洗い・うがい・マスクで感染予防。
    • 体調不良が長引くときは早めに受診。
    • ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)を検討。

5️⃣ 精神面・社会生活

  • 抑うつ・不安・記憶力低下などの精神症状が出ることがある。
    • 必要に応じて精神科や心療内科と連携。
    • 家族や周囲に病気の理解を得てサポートしてもらう。
  • 外見の変化(満月様顔貌・体型変化)による心理的負担が大きいため、カウンセリングや患者会も有効。

6️⃣ 薬の自己調整はしない

  • 副腎機能が抑制されることがあり、医師の指示なしに薬を中止・増減しない
  • 副腎不全を避けるため、手術後は一時的に副腎皮質ホルモン補充が必要な場合がある。

✅ まとめ

  • 再発予防と合併症管理のために定期通院が必須
  • 食事・運動で 高血圧・糖尿病・骨粗鬆症対策 を。
  • 感染予防と精神的サポートも大切。
  • 薬は必ず医師の指示通りに服用。

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