特発性後天性全身性無汗症(AIGA)

特発性後天性全身性無汗症 指定難病
細胞 細胞間基質 肺胞 自己免疫性溶血性貧血 自己免疫性疾患 自己免疫性 核 ゴルジ体 水泡 水 細胞間隙 シェーグレン症候群 特発性血小板減少性紫斑病 腎症 血栓性血小板減少性紫斑病 原発性免疫不全症候群 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体) 先天性副腎皮質酵素欠損症 クリオピリン関連周期熱症候群 非典型溶血性尿毒症症候群 自己免疫性肝炎 TNF受容体関連周期性症候群 好酸球性消化管疾患 非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM) アトピー性脊髄炎 先天性核上性球麻痺 早期ミオクロニー脳症 難治頻回部分発作重積型急性脳炎 肥厚性皮膚骨膜症 類天疱瘡 特発性後天性全身性無汗症

目次

<特発性後天性全身性無汗症>はどんな病気?

**<特発性後天性全身性無汗症>**は、
それまで普通に汗をかいていた人が、原因不明で全身に汗をかけなくなる(または著しく減る)病気です。

医学的には
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA)
と呼ばれます。


🔹 どんな病気?

👉 一言でいうと

「汗が出ない体質に“後天的に”変わってしまう病気」


🔹 主な症状

  • 全身または広範囲で汗が出ない
  • 暑さに極端に弱くなる
  • 体温が上がりやすい
  • 強いほてり・頭痛
  • 運動や入浴で体調悪化
  • 代わりに「チクチク痛」やじんましん様発疹が出ることも

👉 重症だと熱中症リスクが高いです。


🔹 発症の特徴

  • 思春期~若年成人男性に比較的多い
  • ある日突然気づくことが多い
  • 「汗が出ないのに暑い」という違和感から受診

🔹 原因は?

「特発性」とある通り、明確な原因は不明ですが、

現在考えられているのは:

① 免疫異常

  • 汗腺や汗の神経伝達に対する自己免疫反応

② 神経伝達の異常

  • アセチルコリンに対する反応低下

③ コリン性蕁麻疹との関連

  • 一部はコリン性蕁麻疹を合併

🔹 何が起きているの?

汗腺そのものが壊れている場合もありますが、

多くは:

  • 汗腺は存在する
  • でも「刺激が伝わらない」または「反応しない」

という機能的障害が中心です。


🔹 命に関わる?

直接命を縮める病気ではありませんが、

⚠ 熱中症リスクが非常に高い
⚠ 夏場は特に注意


🔹 治療は?

  • ステロイド治療(早期ほど効果が期待される)
  • 免疫抑制療法
  • 暑熱回避
  • 生活管理

👉 早期治療で改善するケースもあります。


📝 まとめ

項目内容
発症後天的
原因不明(免疫異常説が有力)
症状全身の無汗・暑さ耐性低下
危険熱中症
治療ステロイドなど

<特発性後天性全身性無汗症>の人はどれくらい?

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA)
**非常にまれ(希少疾患)**です。


📊 推定頻度

正確な全国登録はありませんが、研究報告や症例集積から:

  • 発症率:人口100万人あたり数人程度/年
  • 日本国内では数百人規模以下と推定されることが多い

👉 皮膚科専門医でも「一生で数例」経験するレベルです。


🌏 地域差

  • 日本からの報告が比較的多い
  • 欧米では症例報告レベルが中心

※ 日本ではコリン性蕁麻疹との関連もあり、研究が進んでいます。


👤 年齢・性別の傾向

  • 思春期~若年成人男性にやや多い
  • 女性や高齢発症もありますが少なめ

🧾 体感的な希少度

疾患頻度感
水疱性類天疱瘡高齢者では比較的みられる
後天性表皮水疱症かなりまれ
AIGAさらにまれ

📌 なぜ正確な数がわからない?

  • 軽症例は未診断の可能性
  • 熱中症体質・自律神経失調と誤診されることも
  • 全国登録制度がない

📝 まとめ

  • 極めてまれ
  • 日本での報告が比較的多い
  • 推定:人口100万人あたり数人規模
  • 実数は過小評価の可能性あり

<特発性後天性全身性無汗症>の原因は?

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA) は、
「後天的に」「全身で」「原因が特定できない」無汗状態になる病気です。


🔹 原因の本質

👉 結論

はっきりした単一原因はまだ確定していません。
ただし、現在もっとも有力なのは:

自己免疫による汗腺機能障害

です。


🔹 現在考えられている3つのメカニズム

① 免疫異常(最有力)

  • 汗腺やその周囲にリンパ球浸潤がみられる例がある
  • ステロイド治療が有効なことがある
  • 自己抗体の関与が示唆されている

👉 「汗腺が免疫に攻撃されている可能性」


② 神経伝達の異常

汗は自律神経(交感神経)によって出ます。

  • 神経終末からアセチルコリンが放出
  • 汗腺が反応して発汗

AIGAでは:

  • アセチルコリン受容体の反応低下
  • 神経―汗腺間の信号障害

が疑われています。

👉 汗腺はあるのに“反応しない”ケースが多い。


③ コリン性蕁麻疹との関連

AIGA患者の一部は:

  • コリン性蕁麻疹を合併
  • 発汗刺激時にチクチク痛や小膨疹が出る

これは:

  • アセチルコリンへの異常反応
  • 免疫的過敏反応

と関連すると考えられています。


🔹 何が「特発性」なの?

無汗症には:

  • 糖尿病性神経障害
  • 皮膚疾患
  • 薬剤性
  • 先天性無汗症

など明確な原因があるタイプもあります。

それらをすべて除外して
👉 原因不明の場合に「特発性」と診断されます。


🔹 まとめ

要素内容
原因確定まだ不明
有力説自己免疫
機序汗腺機能障害/神経伝達障害
合併コリン性蕁麻疹

👉 一番重要なのは

汗腺が壊れている場合と、機能が止まっている場合がある
という点です。

前者は改善しにくく、
後者は早期治療で改善することがあります。

<特発性後天性全身性無汗症>は遺伝する?

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA) は――

👉 基本的に遺伝しません。


🔹 なぜ遺伝しないと言えるの?

  • 「後天性」=生まれつきではない
  • 遺伝子異常が原因と確定していない
  • 家族内発症の報告はほとんどない
  • 思春期~若年成人期に突然発症することが多い

つまり、

✔ 先天性無汗症とは別
✔ 遺伝病とは分類されていない


🔹 例外はある?

現時点で

  • 特定の遺伝子変異が原因と確立したタイプはない
  • ただし「自己免疫になりやすい体質(HLAなど)」は理論上関係する可能性はある

でもそれは

👉 「無汗症が遺伝する」という意味ではありません。


🔹 先天性無汗症との違い(重要)

疾患遺伝する?発症時期
先天性無汗症する出生時
AIGAしない後天的

📝 まとめ

  • AIGAは基本的に遺伝しない
  • 子どもに直接遺伝する心配は通常ない
  • 先天性無汗症とは別の病気
  • 現在は自己免疫説が有力

<特発性後天性全身性無汗症>の経過は?

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA) は、
発症後の経過に個人差が大きい病気です。


🔹 典型的な経過パターン

① 突然発症

  • 思春期~若年成人に多い
  • 「汗が急に出なくなった」と自覚
  • 暑さに極端に弱くなる

② 数か月以内の経過

多くのケースで:

  • 無汗状態が持続
  • 暑熱で悪化
  • コリン性蕁麻疹様症状を伴うことあり
  • 運動や入浴がつらくなる

③ 治療介入による変化

● 早期にステロイド治療を開始した場合

  • 改善する例あり
  • 部分的に発汗が回復することがある

● 治療が遅れた場合

  • 無汗が固定化することがある
  • 回復率が下がる傾向

④ 長期経過

大きく3パターンに分かれます:

経過タイプ特徴
改善型数年以内に回復
部分回復型一部のみ発汗回復
慢性固定型長期間持続

🔹 再発は?

  • 一度改善しても再発することあり
  • 感染・ストレス・体調変化が誘因になることがある

🔹 危険性

この病気で一番怖いのは:

熱中症

  • 特に夏場
  • 運動時
  • 高温環境下

発汗できないため、体温が急上昇しやすい。


🔹 寿命への影響

  • 病気そのものが寿命を縮めることは通常ない
  • ただし重度無汗で熱中症を繰り返すと危険

📝 まとめ

  • 発症は急性~亜急性
  • 早期治療で改善例あり
  • 慢性化する例もある
  • 最大のリスクは熱中症
  • 予後は個人差が大きい

<特発性後天性全身性無汗症>の治療法は?

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA) の治療は、
👉 早期に炎症・免疫異常を抑えること
👉 熱中症を防ぐ生活管理 が柱です。


🔹 ① 第一選択:ステロイド治療(最重要)

● ステロイドパルス療法

  • メチルプレドニゾロン点滴を数日間
  • 早期ほど効果が期待される

● 内服ステロイド

  • パルス後の維持療法
  • 徐々に減量

👉 早期開始で発汗が回復する例あり。


🔹 ② 免疫抑制療法(難治例)

  • シクロスポリン
  • アザチオプリン
  • その他免疫調整薬

※ 症例ごとに選択。


🔹 ③ コリン性蕁麻疹合併例

  • 抗ヒスタミン薬
  • 抗ロイコトリエン薬
  • 必要に応じてステロイド

🔹 ④ 対症療法(非常に重要)

● 暑熱対策

  • 冷房・除湿の徹底
  • 冷却ベスト
  • 首元・脇の冷却
  • こまめな水分・電解質補給

● 運動制限

  • 真夏の屋外活動を避ける
  • 入浴温度を下げる

👉 生活管理が命を守ります。


🔹 ⑤ 治療のポイント

重要事項理由
早期治療回復率が上がる
遅れると固定化汗腺機能が戻らないことあり
熱中症予防最大のリスク

🔹 治療反応の傾向

  • 発症から数か月以内 → 改善率高め
  • 長期経過例 → 改善しにくい
  • 部分的に汗が戻るケースも多い

📝 まとめ

  • 第一選択はステロイド
  • 免疫異常を抑えるのが目的
  • 生活管理が極めて重要
  • 早期介入が鍵

<特発性後天性全身性無汗症>の日常生活の注意点

<特発性後天性全身性無汗症>
Acquired idiopathic generalized anhidrosis(AIGA) では、
最大のリスクは 熱中症 です。

汗が出ない=体温を下げられない、ということなので
👉 「体温を上げない生活設計」 が何より重要になります。


🔹 ① 暑熱対策(最重要)

✔ 室温管理

  • 室温 25℃前後を目安に冷房使用
  • 湿度は50%前後
  • 風通しを良くする

✔ 外出時間を選ぶ

  • 真昼(11~15時)を避ける
  • 夏場の屋外活動は最小限

🔹 ② 冷却を習慣化

  • 冷却ベストや冷感タオル
  • 首・脇・鼠径部を冷やす
  • 携帯扇風機の活用
  • 外出時は保冷剤携帯

👉 「暑くなってから冷やす」では遅いこともあります。


🔹 ③ 水分・電解質補給

  • のどが渇く前に飲む
  • スポーツドリンクや経口補水液
  • アルコールは脱水を招くため注意

🔹 ④ 入浴・運動の工夫

  • 入浴はぬるめ(38℃前後)
  • 長時間の入浴を避ける
  • 激しい運動は避ける
  • 軽いストレッチ程度にとどめる

🔹 ⑤ 服装の工夫

  • 通気性の良い素材(綿など)
  • ゆったりした服
  • 黒など熱を吸収しやすい色は避ける

🔹 ⑥ 体調変化に敏感になる

⚠ こんな症状が出たらすぐ冷却

  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 動悸
  • 強いほてり

👉 早期冷却で重症化を防げます。


🔹 ⑦ 学校・職場への共有

  • 「汗が出ない体質」であることを伝える
  • 夏場の配慮(冷房、屋外作業回避)を相談

🔹 ⑧ やってはいけないこと

  • 我慢して暑い環境に居続ける
  • 水分を控える
  • 自己判断でステロイドを中断
  • 無理なトレーニング

📝 まとめ

重要度内容
★★★★★冷却と室温管理
★★★★★水分・電解質補給
★★★★☆外出時間の調整
★★★☆☆服装の工夫

この病気は
👉 「症状よりも環境との戦い」 という側面が強いです。

<特発性後天性全身性無汗症>の最新情報

ステロイドパルス後に症状が改善した症例が報告(2025)

抗mucin 7抗体陽性を伴うAIGA症例が報告、現時点では「診断に必須の検査」ではありませんが、AIGAの一部で免疫学的な手がかりになり得る(2025)

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