皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)

脳神経 神経 指定難病  クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 下垂体性TSH分泌亢進症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体前葉機能低下症 網膜色素変性症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症  皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 指定難病
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目次

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>はどんな病気?

✅ 概要

  • CADASIL は英語 “Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarcts and Leukoencephalopathy” の略で、和訳すると「皮質下(=大脳深部白質)梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性の脳動脈(小血管)疾患」です。 難病情報センター+2alzheimers.org.uk+2
  • 遺伝性の疾患で、主に脳の細小血管(特に深部白質・被殻・尾状核近傍)にある動脈・細動脈が障害されることによって起こります。 NCBI+1
  • 発症は成人期(主に30〜50歳代)に多く、ミグレーン(片頭痛)・反復性の軽い脳梗塞(TIA/ラクナ梗塞)・進行性の白質変化・認知機能低下・血管性認知症へと至ることがあります。 ウィキペディア+1

🧬 原因・遺伝形式

  • 原因遺伝子は NOTCH3 遺伝子。主に19番染色体に位置しています。 国立循環器病研究センター+1
  • 遺伝形式は 常染色体優性(autosomal dominant)。つまり、変異を1コピー持つだけでも発症リスクがあります。 alzheimers.org.uk
  • 病態として、NOTCH3の変異が血管平滑筋細胞において異常を引き起こし、小血管の構造変化・線維化・血管壁の硬化を通して脳深部白質・小梗塞(ラクナ梗塞)等をもたらすと考えられています。 ウィキペディア+1

🧩 臨床症状

代表的な症状は以下です:

  • 若年〜中年期の 片頭痛(ミグレーン)。特に“前兆あり”のことが多い。 桑名眼科脳神経クリニック
  • 反復性の 脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)。通常、典型的な大きな梗塞ではなく、深部白質・被殻近傍での小梗塞(ラクナ梗塞)です。 NCBI
  • MRI上に白質病変(白質脳症)が早期から出現し、認知機能低下・歩行障害・言語障害・尿失禁などを伴う進行性の血管性認知症へ移行します。 UMIN SQUARE+1

🔍 診断のポイント

  • 家族歴(親・兄弟姉妹に似た症状があるか)を確認することが重要。
  • 脳MRIで、被殻・尾状核・前脳白質・内包後脚・外包付近に白質高信号(T2/FLAIR)やラクナ梗塞所見がある場合、CADASILが疑われます。 Radiopaedia
  • 遺伝子検査:NOTCH3遺伝子変異の有無を確認することで確定診断が可能です。 メドラインプラス
  • 指定難病として日本でも登録可能な疾患です。 難病情報センター

⚠️ 特徴・注意点

  • 典型的な血管リスク因子(高血圧、糖尿病、高脂血症)を持たない若年者に脳梗塞・白質変化が出現した場合に特に疑うべき疾患です。 桑名眼科脳神経クリニック
  • 表現型(症状の出方)・進行速度には個人差が大きいです。 Rare Diseases
  • 現時点で根治治療は確立しておらず、症状管理・血管リスク管理・遺伝カウンセリングが中心となります。 ウィキペディア

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の人はどれくらい?

📊 現在分かっている数値

  • これまでの報告では、成人人口あたり 約1.3〜4.1人/10 万(100,000)人 程度とされていました。 PubMed+2PMC+2
  • 最近の大規模な遺伝子データ解析では、変異を持つ可能性のある人(病型発症していない軽症例を含む)の割合が 1人/1,000人(つまり1000人に1人)程度 という報告もあります。 PMC+1
  • 日本国内では調査により、成人あたり 約1.20〜3.58人/10万(100,000)人 の有病率という推定値が報告されています。 Frontiers
  • 欧州のオーファネット(Orphanet)による評価では、「1/50,000〜1/25,000人(=2人〜4人/10万)」という範囲が示されています。 Orpha

✅ 補足・留意点

  • 上記数値は「確定診断された症例(症状出現&遺伝子検査済みなど)」をベースにしたものであり、無症候・軽症例・診断未至例を含めると実際の割合はさらに高い可能性があります。 PMC+1
  • 発症形態・検査体制・遺伝子検査普及率・民族・地域によって数値にかなりばらつきがあります。
  • この疾患は「若年〜中年での脳卒中・白質変化・片頭痛」など典型的症状が出ることが多いため、疑われる患者数より実際の診断数は少ないと考えられています。
  • 「NOTCH3変異を持つ人=すべてが典型的CADASILを発症するわけではない」ため、遺伝子キャリア数と発症者数との違いも考慮が必要です。

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の原因は?

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>(CADASIL:Cerebral Autosomal Dominant Arteriopathy with Subcortical Infarcts and Leukoencephalopathy)は、
NOTCH3遺伝子の異常によって起こる「遺伝性の脳小血管病(遺伝性脳動脈症)」です。
以下に、分子レベル・病理・臨床的視点から分かりやすく整理します。


🧬 原因遺伝子:NOTCH3(ノッチスリー)

  • 染色体位置:19番染色体(19p13.2–p13.1)に存在。
  • 機能:NOTCH3は、**脳の小血管の平滑筋細胞(VSMC)と周皮細胞(pericyte)**に発現しており、
    血管の構造維持・修復・細胞間シグナル伝達(Notchシグナル)に関与しています。
  • 変異のタイプ:多くは ミスセンス変異(1つのアミノ酸が別のものに置き換わる)
    特に「EGF(Epidermal Growth Factor)様リピートドメイン」にある
    システイン残基数の異常(+1または−1) が病的変化の本質です。

🧩 病態メカニズム(どのようにして病気になるか)

  1. NOTCH3変異タンパク質の異常蓄積
    • 変異したNOTCH3は構造が崩れやすく、**血管平滑筋細胞の膜に蓄積(Notch3ECD沈着)**します。
    • 電子顕微鏡でこの蓄積物は “GOM(Granular Osmiophilic Material)”=電子密度の高い顆粒状沈着物として確認されます。
  2. 小動脈の障害・線維化
    • GOMや変異タンパク質により平滑筋細胞が変性・消失。
    • その結果、血管壁の構造が乱れ、血管が硬く・狭くなり・反応性が低下
    • 慢性的な微小虚血が脳白質や皮質下に発生します。
  3. 脳白質障害とラクナ梗塞
    • 虚血によって白質のミエリン破壊・軸索変性が進行。
    • MRIで特徴的な白質高信号(T2/FLAIR)として現れます。
    • これが疾患名の「白質脳症(Leukoencephalopathy)」の本体です。
  4. 最終的な臨床像
    • 小梗塞(皮質下梗塞)の反復、進行性の認知機能低下、歩行障害、片頭痛、感情変化などが出現します。

🧠 病理学的特徴

病理(顕微鏡)で見られる典型的所見:

所見内容
GOM沈着血管平滑筋細胞周囲に顆粒状物質が沈着(NOTCH3ECD由来)
平滑筋細胞の変性・脱落血管の中膜が薄くなる・壊死様変化
内膜肥厚・線維化血管壁が厚くなり、内腔が狭窄
白質変性軸索・ミエリンの破壊による白質脱落
ラクナ(小)梗塞巣深部白質・被殻・尾状核・視床などに小梗塞多数

🔬 分子シグナルレベルでの進展(2020〜2025年研究)

  • TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)経路の異常活性化:血管リモデリング促進・線維化に関与。
  • 酸化ストレス・ミトコンドリア機能障害:平滑筋細胞死を促進。
  • Notch3ECD沈着による細胞間情報伝達障害:血流自動調節(neurovascular coupling)が崩壊。
  • 2024–2025年研究では、変異NOTCH3の蓄積が血管周囲の免疫細胞活性化を引き起こすことも示唆されています。

🧬 まとめ

項目内容
原因遺伝子NOTCH3(19p13.2–p13.1)
遺伝形式常染色体優性(1コピーで発症)
病態機序変異NOTCH3が血管平滑筋に沈着 → 血管硬化・虚血・白質障害
主な障害部位脳の小血管(深部白質・基底核・視床)
特徴的病理GOM沈着、血管平滑筋の変性
関連シグナルNotch経路、TGF-β経路、酸化ストレス経路
臨床的特徴片頭痛・再発性ラクナ梗塞・進行性白質脳症・認知障害

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>は遺伝する?

はい。
<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)>は、遺伝します。


🧬 遺伝の仕組み

  • 遺伝形式:常染色体優性遺伝(autosomal dominant
  • 原因遺伝子NOTCH3(19番染色体)

つまり、

  • 父または母のどちらかが変異したNOTCH3遺伝子を1つでも持っている場合、
  • 子どもに50%の確率で遺伝します。

👪 家系内の遺伝パターン

親の遺伝子状態子どもが発症する確率
親のどちらかが変異を持つ(発症者)約50%
両親が正常(変異なし)0%(新生変異を除く)
両親のどちらも変異あり(極めて稀)ほぼ100%(重症化の可能性)
  • この病気は性別に関係なく発症します(男女同率)。
  • 祖父母・叔父叔母・兄弟姉妹など、複数世代にわたって脳梗塞や認知症がみられることがあります。

🧩 遺伝の特徴と例外

  1. 表現型のばらつき
     同じ遺伝子変異でも、ある人は30代で発症、別の人は60代まで無症状というように個人差が大きいです。
  2. 新生変異(de novo mutation)
     ごく稀に、親が正常でも本人に突然変異が起こり、家族歴なしで発症する場合があります。
  3. 軽症型キャリア
     一部の変異では、MRI上は白質変化があっても症状が軽い・または無症状の人もいます。

🧠 家族への影響と対策

  • 遺伝子検査で NOTCH3変異の有無 を確認することが確定診断につながります。
  • 遺伝カウンセリングを通じて、
     - 「子どもに伝わる確率」
     - 「発症年齢・重症度の予測」
     - 「検査を受けるタイミング」
     などを専門医と一緒に整理することが推奨されます。

💡 まとめ

項目内容
遺伝形式常染色体優性(親から子に50%で伝わる)
原因遺伝子NOTCH3
性別差なし(男女同率)
家族歴多世代にわたる脳卒中・認知症・片頭痛などが見られる
検査NOTCH3遺伝子検査で確定可能
例外新生変異や軽症型キャリアが存在する

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の経過は?

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)>の経過は、
**ゆっくりと進行する「遺伝性の脳小血管病」**として知られています。
以下に、臨床経過をわかりやすく段階的に整理します。


🩺 経過の全体像

CADASILは、遺伝的に血管がもろくなり、脳の深部(白質や基底核など)に
小さな梗塞(ラクナ梗塞)や白質障害が少しずつ蓄積していく病気です。

平均的な進行パターンは以下のようになります(※個人差があります):

病期年代の目安主な症状・特徴
前駆期(10〜30代)若年〜青年期・頭痛(片頭痛:前兆を伴うことが多い)
・ときに軽い気分変動や集中力低下
・MRIで白質病変が見つかる場合も
初期(30〜40代)成人初期・小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)が発生し始める
・手足のしびれ、軽い麻痺、言葉のもつれ(失語)
・記憶力・判断力の軽い低下
・片頭痛が持続する人も
中期(40〜50代)壮年期・再発性の脳梗塞で歩行障害・構音障害・感情変化が進行
・抑うつ・意欲低下・感情の不安定さが出やすい
・MRIでは白質高信号が側頭極・外包に広がる
後期(50〜70代)中高年期・進行性の認知機能低下(血管性認知症)
・嚥下障害、尿失禁、歩行不能、嚥下性肺炎など
・最終的に介助・介護が必要な状態になることも

🧠 病態の進行メカニズム

  1. NOTCH3変異による小血管障害 → 血管壁の平滑筋が変性し、血流が低下
  2. 慢性虚血による白質の損傷 → 神経線維(軸索)・ミエリンの破壊
  3. 小梗塞の反復 → 神経ネットワークの脱落と脳萎縮
  4. 認知・運動・情動の障害 が徐々に進行

MRIでみると、病変は初期から側頭極・外包・前頭葉白質に出現し、
経過とともに被殻・視床・脳幹・小脳白質へ広がっていきます。


🕒 進行速度の個人差

  • 同じ遺伝子変異を持っていても、
     発症年齢・症状の強さ・進行速度には大きな個人差があります。
  • 一般的には、初発(片頭痛・軽い脳梗塞)から10〜20年で認知症期へ移行する人が多いですが、
     60代でも軽症で生活できている例もあります。

⚠️ 経過を悪化させやすい要因

研究では以下の要因が進行を早める可能性が指摘されています:

悪化要因対応策
高血圧・糖尿病・高脂血症定期検査・薬物治療・減塩・体重管理
喫煙禁煙・受動喫煙の回避
睡眠不足・過労・強いストレス十分な休養・生活リズムの安定
感染・脱水・熱中症早期受診・水分補給

これらを管理することで、進行を「遅らせる」ことが期待されます。


👪 長期経過における生活への影響

  • 運動機能:杖・歩行器が必要になるケースが中年以降に増加。
  • 言語機能:構音障害(発音が不明瞭になる)が徐々に進行。
  • 感情面:抑うつ・易怒性・感情失禁(涙もろくなる)が現れることも。
  • 認知機能:記憶・判断力・注意力・遂行機能が低下。
  • 最晩期:寝たきりや嚥下性肺炎による合併症が主な死亡原因。

🧩 まとめ

項目内容
原因NOTCH3遺伝子変異による小血管障害
発症年齢30〜50代に多い
初期症状前兆を伴う片頭痛、軽い脳梗塞
進行脳白質病変 → 再発性小梗塞 → 認知・運動障害
進行期間10〜20年かけて徐々に進行
改善可能な因子血管リスク管理・禁煙・ストレス軽減
現在の治療根治なし、リハビリ・予防管理が中心

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の治療法は?

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)>の治療は、
根本的に遺伝子異常を治す方法はまだ確立されていません
そのため、現在は主に「進行を遅らせる」「合併症を防ぐ」「生活の質を保つ」ための対症療法と予防的管理が中心です。

以下に、臨床的・研究的な治療法を体系的にまとめます。


🧬 1. 根治療法(原因治療)

❌ 現時点で確立された根治療法はなし

  • NOTCH3遺伝子の異常そのものを修正する治療はまだ研究段階。
  • 遺伝子治療・RNA干渉療法・抗線維化薬の基礎研究は進行中ですが、2025年時点では臨床試験段階に入っていません

💉 2. 脳梗塞予防(再発予防)

CADASILの脳梗塞は小血管障害(ラクナ梗塞)型であり、
一般的な「心原性脳梗塞」や「アテローム血栓性脳梗塞」と異なります。

✅ 有効とされる対策

対策説明
血圧・血糖・脂質の管理高血圧・糖尿病・脂質異常があると進行が早まる。厳格な管理が重要。
禁煙・減塩・運動喫煙は血管障害を増悪させる最大の危険因子。
十分な睡眠と水分補給脳血流低下・脱水で症状が悪化しやすいため注意。

⚠️ 注意:抗血小板薬の使い方

  • 一般的な脳梗塞予防で使う アスピリンやシロスタゾール などは、「出血性リスク」と「虚血性再発リスク」を比較して慎重に判断します。
  • 一部報告では「明確な予防効果は限定的」「出血性合併症を増やす可能性」もあるため、一律には推奨されません
  • 医師の指示のもとで、他のリスク(高血圧や心疾患)を踏まえて個別判断が必要です。

🧠 3. 片頭痛・頭痛発作の治療

CADASIL患者の30〜40%に前兆を伴う片頭痛がみられます。

治療内容
アセトアミノフェン最も安全で第一選択。
NSAIDs(ロキソニンなど)過度な使用は脳血管を収縮させるリスクがあり、慎重に使用。
トリプタン系薬(スマトリプタンなど)脳血管収縮作用があるため原則禁忌(脳虚血を悪化させる可能性)。
予防薬(抗てんかん薬・β遮断薬など)発作頻度が多い場合に使用検討。

🧩 4. 認知・精神症状の治療

  • 認知機能低下が進むと血管性認知症様の症状(記憶力低下、判断力鈍化、感情失禁など)が出現します。
  • 現時点では 症状緩和目的の薬物療法+リハビリ が中心です。
症状対応策
記憶・集中低下アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジルなど)を使用する例もありますが、効果は限定的。
うつ・意欲低下SSRIなどの抗うつ薬を慎重に使用。
感情失禁心理療法・家族支援が有効。

🦵 5. 運動・歩行障害への対応

  • 再発性脳梗塞や白質病変の進行で、手足のこわばり(痙性麻痺)・歩行障害が進行します。
  • 早期からのリハビリテーションが最も有効な介入手段です。
対策内容
理学療法バランス・筋力維持、転倒予防訓練。
作業療法着替え・調理など日常動作維持。
言語療法構音・嚥下訓練(言葉が出にくい・むせやすい人に)。
補助具の導入杖・歩行器・段差補助バーなど。

❤️ 6. 精神的サポートと家族支援

  • 家族に遺伝する可能性が高いため、遺伝カウンセリングが非常に重要です。
  • 「将来の発症リスク」「検査のタイミング」「家族計画」を含め、専門家と話し合うことで心理的負担を軽減できます。
  • 支援団体(例:CADASIL Japan・難病情報センター)を活用すると、生活支援制度や最新研究情報が得られます。

💡 まとめ(2025年時点)

分類現在の位置づけ
原因治療なし(遺伝子・分子標的療法は前臨床段階)
進行抑制血管リスク管理、禁煙、規則正しい生活
片頭痛アセトアミノフェン・抗てんかん薬などを慎重使用
脳梗塞予防血圧・血糖コントロール、抗血小板薬は慎重適用
認知・運動障害リハビリ・支持療法・環境調整
心理・遺伝支援遺伝カウンセリング・家族教育が中心

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の日常生活の注意点

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)>の日常生活では、
「病気の進行を遅らせる」「再発を防ぐ」「生活の質を保つ」ことを目的に、
生活習慣・環境・精神面の3方向からの工夫がとても重要です。

以下に、医療ガイドラインと患者支援団体の情報をもとに整理しました。


🩺 1. 血管を守る生活管理が最優先

CADASILは遺伝性の小血管病ですが、後天的な血管リスクを減らすことで進行を遅らせることができます。

項目注意点
血圧管理高血圧は進行を早める最大要因。家庭血圧も記録。120/80mmHg前後を目標。
禁煙・受動喫煙の回避ニコチンは小血管を収縮させる。発症・再発リスクを大幅に上げる。
食生活減塩(1日6g未満)、野菜・魚中心、飽和脂肪酸を控える。地中海食が推奨。
水分摂取脳梗塞予防のため、脱水を避ける(1日1.5〜2Lを目安に)。特に夏・発熱時に注意。
運動軽いウォーキング・ストレッチを週3〜5回。激しい無酸素運動は避ける。
アルコール適量(1日ビール350ml程度まで)。過剰摂取は脳出血リスクを上げる。

🧠 2. 脳梗塞・白質病変の進行を防ぐ工夫

状況対応方法
睡眠不足・過労睡眠7時間以上を確保。夜更かし・連続勤務を避ける。
ストレス過多急激な血圧上昇を防ぐため、リラックス法(深呼吸・瞑想・音楽)を習慣化。
発熱・感染症時体内脱水・血圧変動が危険。早めに医師受診。
気温差急な寒暖差で血圧が変動。入浴時・冬季の温度管理に注意。
薬の服用トリプタン系頭痛薬や血管収縮薬は使用禁止(脳血流を悪化させる)。医師に「CADASIL患者」であることを必ず伝える。

🗣️ 3. 認知・言語・感情の変化への配慮

進行すると記憶・注意力・情動の変化が起こるため、家族・職場での支援体制が大切です。

症状生活上の工夫
記憶力・注意力低下予定をスマホ・紙カレンダーに記入。ToDoリストや音声リマインダーを活用。
感情の起伏(涙もろさ・怒りやすさ)否定せず受け止める。感情変化は病気の一部と理解。
言葉が出にくい・構音障害ゆっくり話す・ジェスチャーや文字を併用。
思考の遅させかさず時間をかける。周囲がペースを合わせる。

🦵 4. 運動・転倒対策

ラクナ梗塞による麻痺・ふらつきが出る場合があります。
転倒・骨折を防ぐことが生活維持のカギです。

対策内容
理学療法(PT)バランス訓練・歩行訓練で筋力維持。
住宅環境整備手すり設置、滑り止めマット、段差解消。
補助具杖・歩行器・屋内靴などを早期導入。
疲労時の転倒予防無理に歩かず休憩。通勤・買い物は混雑を避ける。

💊 5. 服薬・通院のポイント

  • **抗血小板薬(アスピリン等)**は、虚血・出血リスクを見ながら医師が個別判断します。
  • 降圧薬・脂質異常症薬は高いエビデンスをもつ進行抑制手段です。
  • 定期的な **MRI(1〜2年ごと)**で白質病変・新しい梗塞の有無を確認。

❤️ 6. 家族・職場・社会的支援

  • CADASILは遺伝性疾患のため、家族にもリスクがある可能性があります。
    → 専門医で遺伝カウンセリングを受けると安心です。
  • 家族内で「病気の理解を共有」しておくことで、感情変化や認知低下への対応が円滑になります。
  • 難病情報センターや地域包括支援センターで、医療費助成・介護保険・福祉用具補助を受けられることがあります。

🧩 日常チェックリスト(月1回など)

チェック項目内容
血圧・体重記録して増減を確認(目標:BP<130/80)
睡眠・疲労週に2日以上寝不足が続いていないか?
歩行・ふらつき転倒・つまずき・手足のこわばりの変化は?
記憶・気分忘れっぽさ・気分の落ち込みは?
水分摂取1日1.5〜2L飲めているか?
通院・服薬処方通りに服薬し、定期MRIを受けているか?

☀️ まとめ

分類内容
病気の特徴遺伝性の脳小血管病(NOTCH3変異)
生活の基本血圧・喫煙・ストレスを徹底管理
片頭痛対策トリプタン禁忌、アセトアミノフェン中心
感情・認知焦らずゆっくり対応、周囲がサポート
転倒予防リハビリ・住宅改修・補助具活用
家族対応遺伝カウンセリングと心理支援を併用

<皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症>の最新情報

NOTCH3アゴニスト抗体:前臨床で血管障害を救済(2025)

アドレノメデュリン(AM)ペプチドの医師主導第2相試験(2025)

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