非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM)

指定難病
細胞 細胞間基質 肺胞 自己免疫性溶血性貧血 自己免疫性疾患 自己免疫性 核 ゴルジ体 水泡 水 細胞間隙 シェーグレン症候群 特発性血小板減少性紫斑病 腎症 血栓性血小板減少性紫斑病 原発性免疫不全症候群 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体) 先天性副腎皮質酵素欠損症 クリオピリン関連周期熱症候群 非典型溶血性尿毒症症候群 自己免疫性肝炎 TNF受容体関連周期性症候群 好酸球性消化管疾患 非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM)

目次

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>はどんな病気?

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(non-dystrophic myotonia, NDM)>は、
筋肉がこわばって「動かそうとしてもすぐに緩まない」症状(筋強直)を起こすが、筋肉が破壊されて萎縮することはほとんどない遺伝性疾患群です。
同じ「筋強直」を示す筋ジストロフィー系(例:筋強直性ジストロフィー)とは異なり、**筋の構造自体は保たれる(=非ジストロフィー性)**点が特徴です。


  1. 🧬 原因
  2. 🧠 症状の特徴
  3. 💉 治療
  4. 🧩 鑑別と診断
  5. 📊 予後
  6. 🧭 まとめ
  7. 🌏 世界全体での有病率(推定)
  8. 🇯🇵 日本での患者数(推定)
  9. 🧬 遺伝子型別の割合(世界データ)
  10. 🧩 診断率の上昇
  11. 📊 まとめ
  12. 🧬 基本の仕組み
  13. ⚙️ 主な原因遺伝子とその働き
  14. 🧩 タイプ別の病態機序
  15. 🧬 遺伝の仕方
  16. 💡 まとめ
  17. 🧬 遺伝の基本構造
  18. 🧩 遺伝形式(タイプ別)
  19. 🧠 優性と劣性の違いをイメージすると…
    1. ◎ 常染色体優性遺伝(Thomsen型、パラミオトニアなど)
    2. ◎ 常染色体劣性遺伝(Becker型)
  20. 🧬 突然変異による発症もある
  21. 🧫 遺伝子検査と家族への説明
  22. 🩺 まとめ
  23. 🧭 全体の経過の特徴
  24. 🧒〜👨‍🦳 病型別の経過
  25. 🧬 経過を左右する要因
  26. 💉 治療・リハビリによる改善経過
  27. ❤️‍🩹 精神面・社会生活
  28. 📊 まとめ
  29. 🧬 基本方針
  30. 💊 ① 薬物療法(主に症状緩和)
  31. 🧘‍♀️ ② 生活・リハビリ療法
  32. ❤️‍🩹 ③ 合併症・薬の副作用対策
  33. 🔬 ④ 新しい治療研究(2024〜2025年)
  34. 🩺 ⑤ 定期フォローの重要性
  35. 📊 まとめ
  36. 🧠 基本の考え方
  37. 🧊 ① 寒冷対策(最重要ポイント)
  38. 🏃‍♀️ ② 運動・身体の使い方
  39. 🧘‍♂️ ③ 生活リズムと疲労管理
  40. 🍚 ④ 食事・栄養
  41. 💊 ⑤ 薬・医療管理
  42. 🧑‍🤝‍🧑 ⑥ 学業・仕事・社会生活の工夫
  43. 🧩 ⑦ 心のケアとサポート
  44. ❤️‍🩹 まとめ

🧬 原因

筋細胞膜に存在する**イオンチャネル(電気信号の通り道)**をつくる遺伝子の変異が原因です。
この変異によって筋肉の興奮が長引き、収縮が終わっても弛緩できなくなります。

変異遺伝子タンパク質主な疾患名特徴
CLCN1クロライドチャネル先天性ミオトニー(トムゼン病・ベッカー病)発症は小児期〜青年期。寒冷や運動後にこわばり。
SCN4Aナトリウムチャネルパラミオトニー(パラミオトニア・コンジェニタ)寒さや反復運動で症状悪化。筋痛・硬直を伴う。

🧠 症状の特徴

  • 筋強直(myotonia):握った手がすぐ開かない、階段で足が固まるなど。
  • 冷却や反復運動で増悪(特にパラミオトニー)。
  • **温まると軽快する(ウォームアップ現象)**があるタイプも(CLCN1変異型)。
  • 症状はあるが筋力低下や筋萎縮は軽度またはない
  • 一般に進行性ではなく、生涯を通じて安定している

💉 治療

根治療法はまだありませんが、症状を抑える薬生活工夫で多くの人が普通の生活を送れます。

分類内容
薬物療法メキシレチン(Na⁺チャネル遮断薬)が第一選択。
代替としてカルバマゼピン、フレカイニドなど。
生活管理寒冷を避ける、反復動作前に軽いウォームアップ運動をする。
リハビリストレッチや姿勢保持訓練で拘縮を防止。

🧩 鑑別と診断

  • 筋電図で「ミオトニック放電(音が鋸歯状に連続する放電)」が特徴的。
  • 血液検査のCK値は正常または軽度上昇。
  • 遺伝子検査で CLCN1 / SCN4A の変異を確認。

📊 予後

  • 進行性ではなく、寿命や知能に影響しません。
  • 症状は季節や体調で変動する。
  • 適切な薬・生活調整で、多くの人が通常の仕事・生活を継続可能。

🧭 まとめ

項目内容
病名非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM)
主原因CLCN1またはSCN4A遺伝子の変異
主症状筋強直(こわばり)、寒冷や反復運動で悪化
特徴筋肉が破壊・萎縮しない(非ジストロフィー)
治療メキシレチンなどの薬物療法+生活工夫
予後良好、進行性ではない

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の人はどれくらい?

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM:Non-dystrophic Myotonia)>は、筋疾患の中でも**かなりまれ(希少疾患)**なグループです。
ただし、**遺伝子検査技術の進歩(特に2020年代)**によって診断例が増えており、以前よりも患者数は正確に把握されるようになってきています。


🌏 世界全体での有病率(推定)

疾患タイプ世界での頻度(推定)備考
先天性ミオトニー(Thomsen型/Becker型)約 10万〜20万人に1人CLCN1遺伝子の変異。欧州北部にやや多い。
パラミオトニア・コンジェニタ(Paramyotonia congenita)約 50万人に1人SCN4A遺伝子の変異。寒冷で症状悪化。
全NDM(非ジストロフィー性ミオトニー)総計10万人に約1〜3人=筋疾患全体の中では1〜2%程度。

👉 世界的には、100万人あたり10〜30人ほど存在すると見積もられています。
※国や地域により遺伝子背景が異なるため、北欧・中欧ではやや多く、日本や東アジアでは稀です。


🇯🇵 日本での患者数(推定)

日本では、国立精神・神経医療研究センターや難病情報センターのデータからみると、
NDM全体の推定患者数は:

約300〜600人程度(全国)

と考えられています。
(※筋強直性ジストロフィーなど「ジストロフィー性」疾患と比べると1/20〜1/30の規模)

  • 男女比はほぼ同じ。
  • 発症年齢は小児期〜青年期が多い(平均発症10〜20歳前後)。
  • 家族性が明らかな例と、孤発例(突然変異)が半々程度。

🧬 遺伝子型別の割合(世界データ)

遺伝子型割合症状の傾向
CLCN1変異(先天性ミオトニー)約60〜70%手・脚のこわばり。ウォームアップで軽快。
SCN4A変異(パラミオトニー系)約30〜40%冷気・運動後に硬直や筋痛。
その他の稀少変異<5%ミオトニー+周期性四肢麻痺など混合型もあり。

🧩 診断率の上昇

  • 2010年代までは「原因不明の筋硬直」とされていたケースが多く、未診断の潜在患者が多いと考えられています。
  • 2020〜2025年にかけて、**次世代シークエンサー(NGS)**によるパネル検査が普及し、
    正確な診断率が世界的に倍増(約30%→60%以上)
  • 日本でも大学病院・神経難病センターでの遺伝子解析によって、軽症例の診断が増加中です。

📊 まとめ

項目概要
病気名非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM)
世界での頻度約10万人に1〜3人
日本での推定患者数約300〜600人
主な原因遺伝子CLCN1(約70%)、SCN4A(約30%)
男女差ほぼ同じ
発症年齢小児〜青年期が多い
備考進行性ではなく、寿命への影響は少ない

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の原因は?

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM:Non-dystrophic Myotonia)>の原因は、
筋肉を動かすための「電気信号の出入り口(イオンチャネル)」の遺伝子変異です。
この変異により筋肉が一度収縮すると「弛緩できずにこわばる(筋強直)」状態が生じます。
ただし、筋そのものが壊れるわけではないため、「非ジストロフィー(筋萎縮を伴わない)」と呼ばれます。


🧬 基本の仕組み

筋肉が動くには、神経からの信号で「筋細胞膜に電流(Na⁺やCl⁻の流れ)」が生じます。
この電流を正常に制御できないと、筋肉が過剰に興奮したままになり、こわばりが続きます。


⚙️ 主な原因遺伝子とその働き

遺伝子コードするタンパク質正常な働き変異で起こること
CLCN1クロライドチャネル(ClC-1)筋細胞が収縮後にすばやく電位を安定化させるクロライド流入が減少 → 興奮が長引く → 筋強直(=先天性ミオトニー)
SCN4Aナトリウムチャネル(Nav1.4)筋収縮を引き起こす電流を発生させるナトリウム流入が止まらず、過剰興奮 → 筋強直+冷感過敏(=パラミオトニア)

👉 どちらも「筋肉の電気的安定性」を担う遺伝子であり、
どちらかに変異が起こると筋が「スイッチONのまま戻らない」状態になります。


🧩 タイプ別の病態機序

病型原因遺伝子発症メカニズム症状の特徴
トムゼン病(Thomsen型)CLCN1(優性)クロライド流入低下 → 興奮過多軽症。ウォームアップで軽快。
ベッカー型(Becker型)CLCN1(劣性)同上(より重度)発症早く、筋こわばり強い。
パラミオトニア・コンジェニタSCN4A(優性)ナトリウムチャネルが閉じにくい寒冷・反復で悪化、筋痛を伴う。
ナトリウムチャネルミオトニーSCN4A(多様)開閉バランス異常時間とともに症状増減。

🧬 遺伝の仕方

  • 常染色体優性遺伝:1つの変異で発症(Thomsen型、パラミオトニアなど)
  • 常染色体劣性遺伝:両親から1つずつ変異を受け継ぐと発症(Becker型)
  • 突然変異:家族歴がなくても新生変異で発症する場合あり(約10〜20%)

💡 まとめ

項目内容
原因筋肉のイオンチャネル遺伝子(CLCN1またはSCN4A)の変異
病態電流がうまく制御できず、筋肉が弛緩できない
特徴筋力低下や筋萎縮は軽微またはなし(非ジストロフィー性)
遺伝形式常染色体優性または劣性遺伝
突然変異家族歴なしでも発症することがある

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>は遺伝する?

はい、<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM)>は遺伝性疾患です。
つまり、筋肉の電気的活動を調整する遺伝子(主に CLCN1 または SCN4A)に生まれつき変化(変異)があることで起こります。
この遺伝子変化が、**親から子に受け継がれる(遺伝する)**場合があります。


🧬 遺伝の基本構造

NDMでは、筋肉細胞膜の**イオンチャネル(電気信号の通り道)**をつくる遺伝子が関与します。

  • CLCN1遺伝子 → クロライドチャネル(ClC-1)
  • SCN4A遺伝子 → ナトリウムチャネル(Nav1.4)

このどちらかに異常があると、筋肉が興奮したあとにうまく弛緩できず、「こわばり(筋強直)」が続くようになります。


🧩 遺伝形式(タイプ別)

病型原因遺伝子遺伝形式特徴
先天性ミオトニー(トムゼン型)CLCN1常染色体優性遺伝親のどちらかが発症していることが多い。発症は軽め。
先天性ミオトニー(ベッカー型)CLCN1常染色体劣性遺伝両親が保因者(発症せず遺伝子だけ持つ)。発症は兄弟に現れる。
パラミオトニア・コンジェニタSCN4A常染色体優性遺伝親の片方から遺伝する。寒さで悪化。
ナトリウムチャネルミオトニーSCN4A常染色体優性遺伝発症の程度は家系内でもばらつく。

🧠 優性と劣性の違いをイメージすると…

◎ 常染色体優性遺伝(Thomsen型、パラミオトニアなど)

親:Aa(A=変異あり、a=正常)
↓
子どもは50%の確率でAを受け継ぐ → 発症
  • 親が発症していることが多い。
  • 1つの異常遺伝子で病気が起こる。

◎ 常染色体劣性遺伝(Becker型)

親:Aa(どちらも保因者)
↓
子どもが両方のAを受け継ぐ(AA)と発症 → 25%の確率
  • 両親は発症しないが、子どもが発症する可能性あり。

🧬 突然変異による発症もある

  • 家族に誰も同じ病気がいなくても、**遺伝子の“新生突然変異”**によって発症することがあります。
  • これは全体の約10〜20%程度
  • その場合でも、本人の子どもには変異が受け継がれる可能性があります(遺伝性は次世代から発生)。

🧫 遺伝子検査と家族への説明

  • CLCN1やSCN4A変異は遺伝子検査で確定診断が可能です。
  • 家族内に発症者がいる場合は、**保因者検査(carrier test)**を行うことで、発症リスクを確認できます。
  • 妊娠や結婚を考える段階では、遺伝カウンセリングを受けると安心です。

🩺 まとめ

項目内容
遺伝性あり(CLCN1またはSCN4A遺伝子の変異)
遺伝形式優性または劣性遺伝(タイプによる)
家族歴なしでも発症?あり(突然変異型)
発症率親が発症している場合、子どもは50%前後で発症の可能性
遺伝子検査診断・家族カウンセリングの指標になる

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の経過は?

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM:Non-dystrophic Myotonia)>は、
**進行性ではない(=悪化していかない)**タイプの筋疾患です。
つまり「筋肉が徐々に壊れていくタイプ(=筋ジストロフィー)」とは違い、
一生を通じて症状は安定しており、寿命にも影響しないのが大きな特徴です。


🧭 全体の経過の特徴

項目内容
発症時期多くは小児期〜青年期(5〜20歳)ごろに初発。
初期症状手足のこわばり、動作開始時に動かしにくい感じ。
進行進行はきわめて緩やか、または停止。筋萎縮はほとんど起こらない。
症状の変動寒さ・疲労・ストレス・薬剤などで一時的に悪化することあり。
長期経過年齢を重ねても筋肉の破壊や寝たきりになることは基本的にない。
寿命一般人と同程度。命に関わる合併症は極めて少ない。

🧒〜👨‍🦳 病型別の経過

病型原因遺伝子経過の特徴備考
トムゼン型先天性ミオトニー(優性CLCN1)CLCN1軽症。ウォームアップで改善。寒冷や疲労で一時的に悪化するが安定。運動や生活に支障は少ない。
ベッカー型先天性ミオトニー(劣性CLCN1)CLCN1やや重度。筋強直が強く、歩行や手の動作がゆっくりになることも。進行は非常に緩やか。
パラミオトニア・コンジェニタSCN4A寒冷・反復動作で悪化するが、筋肉障害は進まない。冬や運動後に症状が増強。
ナトリウムチャネルミオトニーSCN4A発作的に筋強直が出るが、期間が限られる。生活調整で安定。

🧬 経過を左右する要因

要因症状への影響
寒冷(冷気)筋のこわばりを悪化させやすい。冬場に注意。
疲労・睡眠不足一時的に筋強直が強く出ることがある。
薬剤(例:β遮断薬など)一部の薬が症状を悪化させることがある。医師に要相談。
リハビリ・ウォームアップ症状を軽くし、日常動作をスムーズに保てる。

💉 治療・リハビリによる改善経過

  • **メキシレチン(Na⁺チャネル遮断薬)**を使用すると、多くの患者で
    数日〜数週間以内に筋強直が明らかに改善します。
  • リハビリ・ストレッチ・温熱療法を継続すると、
    拘縮や姿勢悪化を防ぎ、症状がより安定。
  • 長期的には、日常生活に支障が少ない状態を保てる人がほとんどです。

❤️‍🩹 精神面・社会生活

  • 幼少期に「動きが遅い」「寒いと固まる」などで誤解されることがありますが、
    理解が進めば学業・仕事・運動も十分に両立可能。
  • メンタルケアや社会的サポートが重要なケースもあります(特に学童期)。

📊 まとめ

項目内容
進行性なし(症状は安定)
寿命正常と同じ
筋力低下軽度またはなし
症状の変動寒冷・疲労・ストレスで一時的に増悪
改善要素ウォームアップ・温熱・メキシレチンなどの治療
社会生活通常の就学・就労が可能

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の治療法は?

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM:Non-dystrophic Myotonia)>の治療は、
「筋肉のこわばり(筋強直)を和らげ、生活の質を保つ」ことが目的です。
筋肉が壊れる病気ではないため、適切な薬と生活工夫で普通の生活が可能になります。


🧬 基本方針

NDMは進行しない疾患なので、
①薬で筋強直を軽くする②寒冷・疲労などの誘因を避ける
という2本柱で管理します。


💊 ① 薬物療法(主に症状緩和)

分類薬の名前主な作用機序効果・特徴
Na⁺チャネル遮断薬(第一選択)メキシレチン(mexiletine)筋膜の過剰な電気興奮を抑えるもっとも有効。数日で筋強直の改善。副作用:胃部不快・不整脈注意。
Na⁺チャネル遮断薬(代替)フレカイニド、ランジオロール、カーベジロールなどメキシレチンが使えない場合の代替作用は似るが効果はやや弱い。
抗てんかん薬カルバマゼピン、フェニトイン、ラモトリギンNa⁺チャネルを穏やかに抑制軽症例や小児例で使用。
K⁺チャネル開口薬(実験段階)ダントロレン、アセタゾラミドなど筋膜の再分極促進特殊型で補助的に使用されることも。

🩺 2025年の新情報:

  • 欧州では2024〜2025年に、**メキシレチン徐放剤(1日1回タイプ)**が治験段階を終え、胃への副作用が少なくなった新剤型が登場しています。
  • 日本でも、個人輸入や特定臨床研究で使われることがあり、承認準備が進行中。

🧘‍♀️ ② 生活・リハビリ療法

分野対応ポイント
寒冷対策冬場や冷房下では手袋・保温具を使用寒冷刺激は症状を悪化させる最大因子。
ウォームアップ動作前にゆっくり関節を動かす「ウォームアップ現象」でこわばりを減らす。
運動療法ストレッチ中心、過剰な筋トレは禁止筋を疲弊させず柔軟性を維持。
入浴・温熱温浴で筋肉を温める血流改善と筋緊張緩和に有効。
栄養・水分ミネラルバランスを保つカリウム・カルシウム・ナトリウムの極端な偏りを避ける。

❤️‍🩹 ③ 合併症・薬の副作用対策

  • メキシレチンは心臓に影響(不整脈)を及ぼすことがあるため、
    投与前に心電図(QT間隔)チェック
    が必須です。
  • 長期使用では肝機能・胃粘膜障害に注意。
  • 妊娠・授乳中の使用は専門医と相談。

🔬 ④ 新しい治療研究(2024〜2025年)

研究テーマ内容状況(2025年時点)
Nav1.4チャネル選択的阻害薬(抗ミオトニー薬)SCN4A変異に対して特異的に作用する分子第Ⅱ相試験進行中(欧米)
RNA干渉(RNAi)療法変異チャネル遺伝子の発現を減らすマウスモデルで効果確認。臨床前段階。
CRISPR/Cas9修復療法CLCN1変異を遺伝子レベルで修正2025年、in vitro実験で部分的成功(論文報告あり)。

🩺 ⑤ 定期フォローの重要性

  • 年1回程度、神経内科・筋疾患専門外来で経過観察。
  • 心電図・肝機能・筋電図などの検査を継続。
  • 症状の強さや生活環境に応じて薬用量を微調整。

📊 まとめ

項目内容
主治療薬メキシレチン(第一選択)
補助療法フレカイニド、カルバマゼピンなど
生活管理寒冷・疲労・ストレスを避ける、温熱・ストレッチ
進行性なし(安定した経過)
治療目標筋強直の軽減、生活動作の改善、QOLの維持
研究動向遺伝子・RNA治療が臨床前〜第Ⅱ相段階に進行中

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の日常生活の注意点

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群(NDM:Non-dystrophic Myotonia)>は、
進行しない病気であり、正しい生活習慣を意識すればほとんどの方が通常の生活・仕事・学業を続けることができます。
ここでは、日常生活で特に気をつけるべき点を、分野ごとに整理して説明します。


🧠 基本の考え方

NDMは、筋肉のこわばり(筋強直)を悪化させる要因を避けることで症状を安定させられます。
生活のキーワードは、

「冷やさない・無理しない・ゆっくり動く」


🧊 ① 寒冷対策(最重要ポイント)

状況注意点対策例
冬・冷房下寒さで筋肉がこわばりやすくなるカイロ、手袋、ネックウォーマー、温かい服装
入浴後・朝起きた直後体温低下でこわばりやすい入浴後はすぐに保温、朝は軽いストレッチから
冷たい飲食物筋収縮や咽頭筋のこわばりを起こすことも冷水やアイスの摂取は控えめに

❄️ 特に「冷気に当たったあと急に動く」「冷たい水で洗い物をする」などは発作のきっかけになります。


🏃‍♀️ ② 運動・身体の使い方

内容注意点コツ
ウォームアップ運動急に動くと筋が固まるゆっくり関節を回し、軽いストレッチから動作開始
ウォームアップ現象の活用反復運動を続けると筋強直が軽くなることが多い階段を上がる・手を握る動作などを数回繰り返す
筋トレ・激しい運動過剰な負荷は逆効果負荷をかけすぎず、ストレッチ中心でOK
リハビリ・ストレッチ拘縮・姿勢悪化を防ぐ専門家に指導を受けて「筋を伸ばす運動」を習慣化

🧘‍♂️ ③ 生活リズムと疲労管理

項目注意点・対策
睡眠不足筋の再生や代謝に悪影響。7時間以上を目安に確保。
過労・ストレス自律神経の乱れで筋の興奮性が上昇。リラックス法を取り入れる。
温浴・温熱療法就寝前の入浴で体温を上げてから眠ると筋のこわばりを軽減。

🍚 ④ 食事・栄養

項目ポイント
バランスの取れた食事特定の栄養制限は不要。たんぱく質・ミネラル・ビタミンを均等に。
水分摂取脱水は筋興奮を悪化させるため、こまめに水分をとる。
アルコール・カフェイン大量摂取で神経・筋興奮が増すことがあるため控えめに。

💊 ⑤ 薬・医療管理

項目内容
定期通院メキシレチンなどの服薬管理・心電図・肝機能チェック。
併用薬一部の薬(β遮断薬、リドカイン、利尿薬など)は筋強直を悪化させることがあるため、必ず主治医に相談。
風邪薬・市販薬成分によっては筋反応を変化させるものもあるので注意。

🧑‍🤝‍🧑 ⑥ 学業・仕事・社会生活の工夫

シーン対応例
学校・職場での理解寒い教室や冷房の直風を避ける、周囲に病気を簡潔に説明しておく。
長時間の同じ姿勢デスクワーク中は1時間に1回立って軽い運動。
書字・PC作業手の筋強直が出やすい人は、手を温めながら少しずつ動かす。
運転長距離運転前にはストレッチ。寒冷下では車内を温めてから操作。

🧩 ⑦ 心のケアとサポート

  • 病気は進行しないため、過度な不安を抱かずに長期安定を目指すことが大切です。
  • 同じ病気の仲間やサポート団体(例:日本筋疾患ネットワークなど)を利用すると、生活の工夫が共有できます。
  • 周囲の理解を得ることで、仕事や学業もストレスなく続けられます。

❤️‍🩹 まとめ

項目具体的な注意点
冷え対策温かい服装・カイロ・冷房の風を避ける
運動ゆっくり動き始める、過負荷禁止
生活リズム睡眠7時間・ストレス軽減
栄養バランスの良い食事、水分を十分に
薬の管理定期検査・薬の飲み忘れ防止
社会生活無理せず調整、周囲への理解を得る
進行性なし(症状は安定)

<非ジストロフィー性ミオトニー症候群>の最新情報

メキシレチンが握力弛緩時間等の客観指標を有意に短縮する可能性(2025)

NDM成人患者を対象としたメキシレチン対プラセボのクロスオーバーなど、症状重症度スコアや筋電図所見の改善を示す研究(2025)

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