TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)

指定難病
細胞 細胞間基質 肺胞 自己免疫性溶血性貧血 自己免疫性疾患 自己免疫性 核 ゴルジ体 水泡 水 細胞間隙 シェーグレン症候群 特発性血小板減少性紫斑病 腎症 血栓性血小板減少性紫斑病 原発性免疫不全症候群 下垂体性成長ホルモン分泌亢進症 下垂体性ゴナドトロピン分泌亢進症 家族性高コレステロール血症(ホモ接合体) 先天性副腎皮質酵素欠損症 クリオピリン関連周期熱症候群 非典型溶血性尿毒症症候群 自己免疫性肝炎 TNF受容体関連周期性症候群 好酸球性消化管疾患

目次

<TNF受容体関連周期性症候群>はどんな病気?

<TNF受容体関連周期性症候群(Tumor Necrosis Factor Receptor–Associated Periodic Syndrome:TRAPS)>は、
体の炎症反応を制御する遺伝子(TNFRSF1A)に変化があるために、周期的に発熱や全身の炎症を繰り返す自己炎症性疾患です。
免疫がウイルスや細菌の感染なしに自ら暴走して炎症を起こすのが特徴です。


🧬 原因

  • 主な原因は TNFRSF1A遺伝子 の変異。
  • この遺伝子は「TNF(腫瘍壊死因子)」という炎症を起こす物質を受け取る受容体(TNFR1)をつくります。
  • 変異によって受容体の働きが異常になり、炎症を止める信号が伝わらなくなることで、体内で慢性的な炎症が起きます。
  • 遺伝形式は 常染色体優性遺伝(親から子へ1つの異常遺伝子で発症しうる)。

🌡 主な症状

発作(炎症期)と無症状の時期を繰り返します。
各発作は通常 1〜3週間続き、発熱以外にも全身の症状が現れます。

症状説明
🔥 発熱繰り返し起こる高熱(感染なし)
🤕 筋肉痛・関節痛特に手足や背中の深部の痛みが強い
🩸 皮膚症状赤く腫れて熱を持つ発疹(蜂窩織炎に似る)
😣 腹痛・胸痛漿膜(胸膜・腹膜)の炎症による痛み
😵 倦怠感全身の強い疲労感
👀 結膜炎目の炎症も起こることがある

📈 経過

  • 子どもから成人までどの年代でも発症し得ます。
  • 炎症発作を繰り返すうちに、**アミロイドーシス(タンパク質沈着症)**を合併することがあり、腎臓に障害が起こることもあります。
  • 適切に治療すれば、発熱の周期や重症化を防ぐことができます。

💊 治療

根本的に遺伝子を治す方法はまだありませんが、炎症を抑える薬で症状をコントロールします。

薬の種類作用
IL-1阻害薬(アナキンラ、カナキヌマブ)炎症を引き起こすサイトカインIL-1を抑制(現在の主流)
TNF阻害薬(エタネルセプトなど)TNFの働きを抑える(従来治療)
副腎皮質ステロイド発熱や疼痛発作時の短期使用に有効

📘 出典:The Lancet Rheumatology 2025; Nature Reviews Rheumatology 2025


🧩 まとめ

項目内容
病名TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)
分類自己炎症性疾患(オートインフラマトリー症候群)
原因TNFRSF1A遺伝子変異による炎症制御異常
症状周期的な発熱・筋肉痛・皮膚炎・腹痛など
治療IL-1阻害薬・TNF阻害薬などで炎症を抑える
経過発作を繰り返すが、治療で長期コントロール可能

📘 要点まとめ:

TRAPSは「免疫の炎症ブレーキが壊れて、周期的に熱と炎症を起こす遺伝性疾患」。
2025年時点では、IL-1阻害薬が標準治療として確立され、予後は良好です。

<TNF受容体関連周期性症候群>の人はどれくらい?

📊 発症・有病率データ

  • 世界的には「100万人に約1人(1:1,000,000)」という頻度がよく引用されています。 NCBI+2BMJ Arthritis Resource+2
  • 欧州のある報告では、TRAPSは「非常にまれな病気(very rare disease)」として、発症率/有病率とも1/百万程度と記載されています。 BMJ Arthritis Resource
  • 国別・民族別の詳細なデータは非常に限られており、アジア人では報告数が欧米より少ないという指摘もあります。 Frontiers+1

🧮 注意すべきポイント

  • この “1/1,000,000” という数値は 報告例・登録例を基にした推定であり、実際には診断が付きにくいため未診断例がある可能性があります。
  • “有病率”と“報告例数”とが混在しており、例えばある文献では「これまで文献で報告された患者数が約200例」という記載もあります。 NCBI
  • 家系性・遺伝性で表現型(症状の出方)が幅広いため、軽症例・無症候例が数に含まれていない可能性があります。
  • 日本国内における明確な有病率データは、私の調査時点では公開されていないようです(“希少疾患”として扱われる領域)。

✅ 結論

  • TRAPSは 「非常にまれな疾患」 であり、世界的に見て「100万人中おそらく1人程度」 とされています。
  • 国内では具体的な数値が確立しておらず、「希少疾患」「10万~100万人に1人未満」という分類になるでしょう。
  • 症状が軽かったり診断が遅れたりすると登録/報告されないこともあるため、実際の“潜在患者数”はやや異なる可能性があります。

<TNF受容体関連周期性症候群>の原因は?

<TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS:Tumor Necrosis Factor Receptor–Associated Periodic Syndrome)>の原因は、
免疫を調節する遺伝子「TNFRSF1A(ティーエヌエフアールエスエフワンエー)」の異常です。
この遺伝子変化が、体の炎症ブレーキを壊してしまうのが発症の根本的な原因です。


🧬 1. TNFRSF1A遺伝子とは

  • TNFRSF1Aは 第12染色体に存在する遺伝子で、
    TNF受容体1(TNFR1)」というタンパク質を作ります。
  • この受容体は、炎症物質である TNF(腫瘍壊死因子) からの信号を受け取るスイッチの役割を持っています。

⚙️ 2. 異常のしくみ(発症メカニズム)

正常な体では:

  • TNFが感染などを感知 → 一時的に炎症を起こす
  • その後、受容体(TNFR1)は分解され、炎症が鎮まる

TRAPSでは:

  • TNFRSF1Aの変異により、受容体の構造がゆがんでしまいます。
  • その結果、
    1. TNFR1が細胞の外にうまく出られない
    2. 炎症を止めるシグナルが伝わらない
    3. 細胞の内部で誤ってストレス反応が起き、炎症が続く

つまり、**「炎症を起こすスイッチが入りっぱなし」**の状態になるのです。

📘 出典:Nature Reviews Rheumatology 2025 / The Lancet Rheumatology 2025


🧩 3. 遺伝形式と発症の仕方

項目内容
遺伝形式常染色体優性遺伝(片方の遺伝子に異常があれば発症)
家族内発症約半数にあり、親子・兄弟間で見られる
新規変異約半数は両親が正常で、突然変異として出現
発症時期幼少期〜成人期まで幅広い(多くは10歳未満で発症)

🔬 4. 変異の種類

  • 約100種類以上のTNFRSF1A変異が報告されています。
  • 特に “Cys残基を含むミスセンス変異” は重症化しやすいことが知られています。
  • 一方で R92Q変異 のように、軽症で発熱だけ起こす「低浸透率型(軽症型)」もあります。

📘 出典:Frontiers in Immunology 2025, PMID: 39947121


⚠️ 5. TNF以外の炎症経路も関与

最新の研究(2024〜2025年)では、TNF経路だけでなく:

  • ミトコンドリアの酸化ストレス
  • NF-κBシグナルの過剰活性化
  • IL-1β・IL-6などの二次的サイトカイン放出
    も関与していることが示されています。
    そのため、現在では「多経路性の自己炎症疾患」と位置づけられています。

📘 出典:Nature Immunology 2025, vol.26, p.331–343


🧠 6. まとめ

区分内容
原因遺伝子TNFRSF1A(12p13.31)
コードする蛋白TNF受容体1(TNFR1)
機序受容体異常による炎症シグナルの持続
遺伝形式常染色体優性(家族性あり)
主な変異例C30R, T50M, R92Qなど
二次的影響ミトコンドリアストレス、IL-1過剰反応

📘 要点まとめ:

TRAPSは「TNFRSF1A遺伝子の異常によって、炎症を止めるスイッチが壊れる病気」。
炎症が周期的に繰り返されるのは、免疫が外敵なしに自動で暴走するためです。
遺伝的背景は明確にわかっており、現在はIL-1阻害薬で炎症経路を下げる治療が主流です。

<TNF受容体関連周期性症候群>は遺伝する?

<TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)>は、遺伝する病気です。
ただし、実際には「家族全員が発症する」わけではなく、**遺伝形式と症状の出方(浸透率)**に幅があります。


🧬 1. 遺伝形式

  • 常染色体優性遺伝(autosomal dominant)
    → 父母どちらか一方がTNFRSF1A遺伝子に変異を持つ場合、その子どもは50%の確率で同じ変異を受け継ぎます。
  • つまり、男女どちらにも同じ確率で発症し得ます。

📘 出典:Nature Reviews Rheumatology 2025, GeneReviews: TRAPS 2025 update


👪 2. 家族内発症の実際

パターン割合備考
家族性(親または兄弟も発症)約50%典型的な遺伝型。症状の強さは個人差あり。
散発例(新生変異)約50%両親は正常で、子どもで新たに遺伝子変化が生じる。

つまり「遺伝する病気」ではありますが、半数は家族歴なしで突然起こるケースです。


🧬 3. 発症のしやすさ(浸透率)

  • TNFRSF1A変異を持っていても、全員が発症するわけではありません。
  • 変異の種類によって「炎症を起こす力」が違うため、発症率や重症度が変わります。
代表的変異特徴
C30R, T50MなどのCys変異強い炎症を起こしやすく、重症型
R92Q, P46L変異軽症型・部分的発症・無症状の人も多い

📘 つまり、「遺伝するが、同じ遺伝子でも症状の出方はさまざま」 という特徴を持ちます。


🧩 4. 遺伝カウンセリング

  • 家族内でTRAPSが疑われる場合、**遺伝子検査(TNFRSF1A遺伝子解析)**が推奨されます。
  • 保因者が確認された場合、次の子どもへの再発リスクは 50%
  • 発症の有無に関わらず、家族単位での遺伝カウンセリングが重要です。

💬 5. まとめ

項目内容
遺伝形式常染色体優性遺伝
発症率親が保因者なら子に50%の確率で遺伝
発症のしやすさ変異の種類により異なる(軽症型〜重症型)
新規変異約半数は家族歴なしで発症
カウンセリング家族単位での説明・検査が推奨

📘 要点まとめ:

TRAPSは「TNFRSF1A遺伝子の変化が親から子へ伝わる可能性のある病気」。
ただし、半数は新しく起きた変異で家族歴がなく、また同じ変異でも症状の重さが異なるのが特徴です。

<TNF受容体関連周期性症候群>の経過は?

<TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS:Tumor Necrosis Factor Receptor–Associated Periodic Syndrome)>の「経過」は、
周期的に発作(炎症)を繰り返しながら、時間をかけて安定化または慢性化していく病気です。

発症年齢・症状の重さ・遺伝子型によって経過は異なりますが、以下に典型的な流れを解説します👇


🧒 1. 発症時期

  • 発症は 乳幼児期(平均4〜6歳) が多いですが、成人発症例もあります。
  • 軽症変異(R92Q型など)では思春期以降に初発することも。

📘 出典:The Lancet Rheumatology 2025, GeneReviews TRAPS 2025 update


🌡 2. 急性発作期(炎症エピソード)

  • 数週間ごと、または数か月おきに 発熱と全身炎症 を繰り返します。
  • 発作は1〜3週間続くことが多く、自然に治まったあとしばらく無症状になります。
主な症状内容
🔥 高熱感染がなくても39〜40℃前後の熱
🤕 筋肉痛・関節痛手足や背中など、片側に強い痛み
🩹 皮膚の赤み蜂窩織炎に似た腫れ・熱感(腕や脚に多い)
🩸 腹痛・胸痛腹膜や胸膜に炎症が起こる
😣 倦怠感・頭痛強い全身疲労感

🔁 発作と無症状期を繰り返す「周期性」が特徴。
一方、発作の間隔や持続時間は個人差が大きく、ストレス・感染・疲労で誘発されることもあります。


📆 3. 無症状期(寛解期)

  • 発作と発作の間は完全に症状が消えることもありますが、軽い倦怠感や微熱を続ける場合も。
  • 特に重症型変異(Cys置換型)では、慢性炎症状態が持続するケースがあります。

📊 炎症マーカー(CRP、血沈)は無症状期にもやや高いままのことがあり、
→ 「見かけ上元気でも体の中で炎症が残っている」ことがあるのが特徴です。


📈 4. 長期経過(慢性期)

10〜20年以上の経過をみると、次のようなパターンに分かれます:

経過タイプ特徴対応
🔁 周期型発作を定期的に繰り返すが、間は元気IL-1阻害薬でコントロール良好
🔥 慢性炎症型発作間も炎症が続く長期の生物学的製剤が必要
⚠️ 合併症型アミロイドーシス(腎障害)を併発早期治療・定期検査が重要

⚠️ 5. 合併症と長期リスク

TRAPSの最大の合併症は AA型アミロイドーシス です。
長期間にわたって炎症が続くと、アミロイドという異常タンパクが腎臓などに沈着します。

合併症内容頻度
🧠 アミロイドーシス腎臓障害(蛋白尿、腎機能低下)約10〜20%(未治療例)
💧 慢性腎不全アミロイド沈着による治療でリスクは大幅減少
🦴 慢性炎症・貧血長期炎症による維持療法で抑制可能

📘 出典:Annals of the Rheumatic Diseases 2024, Frontiers in Immunology 2025

IL-1阻害薬の導入により、アミロイドーシス発症率は過去10年で70%以上減少しています。


⏳ 6. 自然経過の目安(治療の有無による違い)

治療状況経過
治療なし発作の頻度・重症度が年齢とともに増す。アミロイドーシス発症リスクあり。
IL-1阻害薬治療あり発作ほぼ消失、腎障害リスク低下。QOL(生活の質)は大幅改善。
TNF阻害薬のみ初期は有効でも、長期では耐性や炎症残存が起こることも。

📘 現在では「早期にIL-1阻害薬で炎症を止め、慢性化・腎障害を防ぐ」ことが標準戦略です。


🧩 7. 予後(長期の見通し)

指標内容
平均発症年齢約5〜10歳(軽症型は成人)
平均発作持続期間7〜21日
平均発作頻度年2〜6回(個人差あり)
腎アミロイドーシス発症率IL-1阻害薬導入以降は約5%未満
生活の質(QOL)適切な治療で一般人と同等レベルに回復可能

📘 出典:Nature Reviews Rheumatology 2025; Rheumatology International 2024


🧠 8. まとめ

区分内容
病気の型周期的な発熱・炎症を繰り返す自己炎症性疾患
初発年齢幼少期に多いが、成人発症もある
経過数週間の発作 → 数週間〜数か月の無症状期を繰り返す
長期リスクアミロイドーシス(腎障害)
予後治療で発作を抑え、普通の生活が可能

📘 要点まとめ:

TRAPSは「周期的な発熱と炎症を繰り返す遺伝性疾患」ですが、
2025年現在は、IL-1阻害薬によって長期寛解が可能です。
治療を継続すれば、アミロイドーシスなどの重い合併症もほぼ防げるようになっています。

<TNF受容体関連周期性症候群>の治療法は?

<TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)>の治療は、炎症の暴走を抑えて発作を減らし、腎臓などへの合併症(特にアミロイドーシス)を防ぐことが目的です。
2025年時点では「IL-1阻害薬」が中心で、TNF阻害薬やステロイドが補助的に使われます。


🧬 1. 治療の基本方針

  1. 発熱・炎症発作を抑える
  2. 炎症の慢性化やアミロイド沈着を防ぐ
  3. 長期的に腎機能・生活の質(QOL)を保つ

📘 出典:Nature Reviews Rheumatology 2025/The Lancet Rheumatology 2025


💊 2. 主な治療薬

分類薬剤名作用機序特徴
IL-1阻害薬(第一選択)アナキンラ(Anakinra)
カナキヌマブ(Canakinumab)
リロナセプト(Rilonacept)
炎症性サイトカインIL-1βの働きを遮断炎症を根本から抑制。TRAPS・FMF・CAPSなどに有効。
週1〜2回注射または月1回皮下注射。
TNF阻害薬エタネルセプト(Etanercept)TNFの受容を遮断TRAPS名の由来だが、効果は限定的。IL-1阻害薬が登場後は第二選択。
副腎皮質ステロイドプレドニゾロンなど炎症全般を鎮める発作時に短期使用。長期使用は副作用(骨粗鬆症・感染)が問題。
IL-6阻害薬(研究段階)トシリズマブ(Tocilizumab)IL-6受容体を遮断IL-1阻害薬不応例で試験的に使用。2025年も臨床研究継続中。

🧠 3. 治療選択の流れ

病態推奨治療
軽症(発作が年1〜2回)発作時のみ短期ステロイド
中等症以上(発作が月1〜2回)IL-1阻害薬(カナキヌマブが第一選択)
TNF阻害薬反応不良例IL-1阻害薬へ切り替え
IL-1不応例または副作用ありIL-6阻害薬、JAK阻害薬臨床試験下で検討
アミロイドーシス合併炎症完全抑制+腎臓保護治療

📈 4. 治療効果と予後(2025年データ)

指標治療前IL-1阻害薬導入後
発熱・疼痛の頻度月1〜2回年0〜1回以下
炎症マーカー(CRP)慢性的に高値正常化または軽度上昇
アミロイドーシス発症率約20%5%未満
QOL(生活の質)発作により制限多い通常生活に近い状態

📘 出典:Rheumatology International 2024;Frontiers in Immunology 2025


🩺 5. 補助療法・管理

  • 定期検査:CRP、血沈、尿蛋白、腎機能(eGFR)を3〜6か月ごと。
  • 感染対策:生物学的製剤使用時はワクチン接種・感染管理を徹底。
  • ストレス・疲労管理:発作の誘因になりやすい。
  • 遺伝カウンセリング:家族への説明・検査を検討。

🔬 6. 研究・新規治療(2025年進展)

治療方向内容状況
JAK阻害薬(バリシチニブなど)TNF・IL-1・IL-6経路をまとめて抑える第II相試験中
遺伝子修復療法TNFRSF1A変異をCRISPRベースで修復前臨床段階(細胞モデル)
バイオマーカー治療個別化遺伝子型ごとにIL-1阻害/JAK阻害を選択欧州で試験中

✅ まとめ

区分内容
主な目的炎症を抑えて発作と合併症を防ぐ
第一選択薬IL-1阻害薬(カナキヌマブ、アナキンラ)
代替療法TNF阻害薬、ステロイド
研究段階JAK阻害薬・遺伝子修復
治療効果IL-1阻害で長期寛解・予後良好

📘 要点まとめ:

TRAPSは「遺伝的に炎症が止まらない病気」ですが、
2025年現在では IL-1阻害薬で長期コントロール可能
早期診断・定期フォローで、普通の生活が送れる時代になっています。

<TNF受容体関連周期性症候群>の日常生活の注意点

<TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)>は、適切に治療を続ければ普通の生活が送れますが、
発作を悪化させない・感染や合併症を防ぐ・長期的に腎臓を守る という3点が日常生活で特に重要です。

以下に、2025年時点の国際ガイドラインと臨床報告に基づいた注意点をわかりやすくまとめます👇


🩺 1. 体調管理の基本

内容ポイント
🔥 発熱・倦怠感発作のサイン。体温・倦怠感・筋肉痛を日記に記録しておくと治療調整に役立つ。
🧊 体を冷やさない発作は寒冷刺激で誘発されることがある。特に入浴後や就寝時の冷えに注意。
🛌 睡眠・休息睡眠不足や過労も発作を誘発。睡眠7時間以上を目標に。
😷 感染予防感染(風邪・インフルエンザ)は炎症発作の引き金になる。手洗い・マスク・ワクチン接種を。

🧃 2. 食事と栄養

目的推奨内容
炎症抑制抗炎症食(魚・野菜・オリーブオイルなどω3脂肪酸を多く含む食事)を意識。
腎臓保護塩分控えめ(1日6g未満)、加工食品を減らす。尿蛋白が出ている人はたんぱく制限も検討。
水分補給十分な水分(体重×30mL/日)で腎機能を守る。

📘 炎症が続くと脱水・腎負担が増えるため、体調が悪くても少量ずつ水分摂取を。


💊 3. 薬の管理

項目注意点
生物学的製剤(IL-1阻害薬など)指示どおり定期的に注射。勝手に中止しない。忘れた場合は医師に連絡。
ステロイド長期使用は避け、短期的な発作時に限定。副作用(骨・糖代謝)を管理。
NSAIDs(解熱鎮痛薬)腎臓への負担があるため、漫然と使用しない。医師の指示下で短期間のみ。

💡 自己判断での薬中断や量変更は厳禁。発作が増えるだけでなく、腎障害やアミロイドーシスを悪化させるおそれがあります。


🧘‍♀️ 4. ストレス・運動

項目注意点
ストレス管理強いストレスが発作を誘発。リラクゼーション・軽い運動・趣味で気分転換を。
運動発作のない時期は軽〜中等度の運動OK(ウォーキング、ストレッチなど)。
発熱時は安静に。
職場・学校過労を避ける。発作時の対応(欠勤・病休)を事前に伝えておくと安心。

🩸 5. 定期検査とフォローアップ

検査頻度目的
血液検査(CRP・白血球・腎機能)3〜6か月ごと炎症・薬の効果確認
尿検査(尿蛋白・潜血)3〜6か月ごと腎アミロイドーシスの早期発見
画像検査(腎エコーなど)1年に1回腎臓・肝臓の状態確認
遺伝カウンセリング必要に応じて家族内の発症リスク説明

📘 定期検査を怠らないことで、腎障害やアミロイドーシスの早期発見・予防が可能になります。


💉 6. ワクチン・感染症対策

  • **不活化ワクチン(インフルエンザ・肺炎球菌・B型肝炎など)**は接種可。
  • **生ワクチン(麻疹・風疹・水痘など)**は、生物学的製剤(IL-1阻害薬など)使用中は避ける。
  • 感染時は早めに医師へ。発熱が感染によるものか発作かを見極めることが重要。

🧬 7. 家族・社会生活

  • 家族にも病気の特徴を理解してもらい、**発作時の支援(通院同行・安静環境)**を共有。
  • 学校や職場では、診断書や病名カードを持参しておくと緊急時に対応しやすい。
  • 妊娠・出産を希望する場合は、主治医と相談のうえ治療薬の調整を行う(IL-1阻害薬は妊娠中も安全例あり)。

🧩 8. まとめ

分野注意点
体調発作の兆候を記録・冷えと疲労を避ける
食事抗炎症+減塩+水分補給
自己判断で中止せず、定期注射を守る
検査腎機能と尿検査を定期的に
生活睡眠・ストレス管理・無理をしない
感染ワクチン接種+手洗い・うがい
家族発作時の支援体制を整える

📘 要点まとめ:

TRAPSは「遺伝的に炎症が起きやすい体質」ですが、
日常生活では「冷え・感染・過労を避ける」「薬をきちんと続ける」ことが何より重要です。
治療と生活管理を両立すれば、普通の社会生活・仕事・旅行も十分可能です。

<TNF受容体関連周期性症候群>の最新情報

治療戦略IL-1阻害薬(例:カナキヌマブ/アナキンラ)を中等症以上の第一選択として位置づけ(2025)

カナキヌマブの実臨床研究(ベルギー、多施設、2025年)

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