遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(EIMFS)

遺伝子 ニューロン ゲノム 神経 指定難病 甲状腺ホルモン不応症 リンパ脈管筋腫症 先天性ミオパチー ブラウ症候群 コステロ症候群 CFC症候群 ルビンシュタイン・テイビ症候群 筋ジストロフィー 遺伝性周期性四肢麻痺 アイザックス症候群 ペリー症候群 メビウス症候群 先天性無痛無汗症 CIPA アレキサンダー病 限局性皮膚異形成 アイカルディ症候群 中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群 大田原症候群 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん EIMFS 指定難病

目次

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>はどんな病気?

**<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(Epilepsy of Infancy with Migrating Focal Seizures:EIMFS)>**は、乳児期早期に発症する極めて重症のてんかん性脳症です。
以前は **「乳児重症遊走性焦点てんかん」**とも呼ばれていました。

  • 発症時期:多くは生後6か月以内(新生児期〜乳児早期)
  • 主な発作:焦点発作(部分発作)が、時間とともに脳の別の部位へ次々と移動(遊走)
  • 脳波の特徴
    • 発作のたびに発作起始部位が変わる
    • 同時に複数焦点から発作が出ることもある
  • 重症度:非常に高く、薬剤抵抗性が強い

  1. 発作の特徴(最大のポイント)
    1. 「遊走性(migrating)」とは?
    2. 発作の症状例
  2. 原因
    1. 遺伝子異常が中心
      1. 代表的な原因遺伝子
  3. 経過と予後
  4. 診断
  5. 治療
    1. 薬物療法
    2. その他
  6. 他の重症てんかん性脳症との違い
  7. まとめ(重要ポイント)
  8. 📊 発症数・頻度の目安
    1. 🌍 世界的・地域別のデータ
  9. 📌 数字にするとこんな感じ
  10. 📌 日本における例
  11. ⚠️ どうして「はっきりした数」が少ないの?
  12. 📌 結論(頻度の感覚)
  13. ① 遺伝子異常(最も主要な原因)
    1. 🔑 代表的な原因遺伝子
    2. 遺伝子異常の特徴
  14. ② なぜ「遊走性」になるのか(病態の考え方)
  15. ③ 脳構造異常・代謝異常は?
  16. ④ 遺伝形式と再発リスク
  17. ⑤ 原因が重要な理由
  18. 他疾患との原因比較(整理)
  19. まとめ(重要ポイント)
  20. 結論から
  21. なぜ「遺伝しないことが多い」のか
    1. 🔹 新生突然変異(de novo 変異)
  22. 代表的な遺伝子と遺伝の考え方
    1. KCNT1 変異(最も多い)
    2. その他(SCN2A、SCN1A など)
  23. 兄弟姉妹への再発リスクは?
  24. 例外:まれに「遺伝する」ケース
  25. 「遺伝子異常」と「遺伝病」は違う
  26. 実際の臨床で必ず行われること
  27. まとめ(重要ポイント)
  28. 時期別の経過
    1. ① 発症期(新生児期〜生後6か月以内)
    2. ② 進行期(乳児期)
    3. ③ 幼児期以降(慢性期)
  29. 発達・機能予後
  30. 生命予後について
  31. 経過を左右する重要因子
  32. 他疾患との経過の違い(整理)
  33. まとめ(重要ポイント)
  34. ① 薬物療法(第一選択だが効果は限定的)
    1. 使用されることのある薬剤(例)
  35. ② 原因遺伝子に基づく治療(重要)
    1. ◆ KCNT1変異例:キニジン
  36. ③ ケトン食療法
  37. ④ 外科治療について
  38. ⑤ 支持療法・包括的ケア(極めて重要)
    1. 生活・医療管理
    2. 発達・福祉
  39. 治療の現実的な位置づけ
  40. まとめ(重要ポイント)
  41. 日常生活の基本方針
  42. ① 発作への備えと安全管理
    1. 発作時の基本対応
    2. 生活環境の工夫
  43. ② 呼吸・嚥下・栄養管理(最重要)
  44. ③ 感染症予防
  45. ④ 睡眠・生活リズム
  46. ⑤ 薬・治療の管理
  47. ⑥ リハビリ・姿勢ケア
  48. ⑦ ご家族への重要な配慮
  49. ⑧ 将来を見据えた準備
  50. まとめ(重要ポイント)

発作の特徴(最大のポイント)

「遊走性(migrating)」とは?

  • ある時は右前頭葉、次は左側頭葉、さらに別の領域…
    👉 発作のスタート地点が固定されない
  • 同じ発作の中で、焦点が移動することもある
  • 1日に多数回起こることも珍しくありません

発作の症状例

  • 片側の手足・顔のけいれん
  • 目や頭の偏位
  • 無呼吸・チアノーゼ
  • 自律神経症状(心拍・呼吸の変化)

原因

遺伝子異常が中心

EIMFSは、遺伝子異常が原因となることが非常に多い疾患です。

代表的な原因遺伝子

  • KCNT1(最も代表的)
  • SCN2A
  • SCN1A
  • QARS1
  • SLC12A5 など

▶ 多くは**新生突然変異(de novo)**で、
 両親に同じ病気がなくても発症します。


経過と予後

  • 発作は極めて治療抵抗性
  • 発作が頻回なため、
    発達は早期から著しく障害されます
  • 重度の知的障害・運動障害を残すことが多い
  • 生命予後も厳しい症例がありますが、
    医療管理の進歩により長期生存例も増加しています

診断

以下を組み合わせて診断されます。

  • 臨床症状(遊走性焦点発作)
  • **長時間脳波(ビデオEEG)**による発作起始部位の変化確認
  • 遺伝学的検査(極めて重要)
  • MRI(初期は正常なことも多い)

治療

薬物療法

  • 多くの抗てんかん薬が効果不十分
  • KCNT1変異例ではキニジンが試みられることがあります
    (※効果は個人差あり、専門施設で慎重に使用)

その他

  • ケトン食療法
  • 支持療法・在宅医療
  • 原則としててんかん外科の適応はありません
    (焦点が固定されないため)

他の重症てんかん性脳症との違い

疾患発作の特徴
大田原症候群強直発作・SB脳波
早期ミオクロニー脳症ミオクロニー発作
EIMFS焦点発作が遊走
ウエスト症候群点頭てんかん

まとめ(重要ポイント)

  • 乳児期早期発症の最重症クラスのてんかん性脳症
  • 発作焦点が固定されず移動するのが最大の特徴
  • KCNT1を中心とした遺伝子異常が主因
  • 治療抵抗性が強く、包括的ケアが不可欠

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の人はどれくらい?

📊 発症数・頻度の目安

🌍 世界的・地域別のデータ

  • 英国の全国調査の報告では
    出生100万人あたり年間 2.6〜5.5人 の発症と推定されています。
    また、小児100万人あたりの有病率は 約1.1人 と評価されています。遺伝性疾患プラス+1
  • 別の推定値では
    小児全体での有病率が
    *約 0.11人/100,000(= 約1/900,000)
    という超低頻度の推定も報告されています。orpha.net

👉 どの推定も共通して言えるのは
➡ **非常に稀な疾患(超低頻度)**であることです。


📌 数字にするとこんな感じ

指標推定値
出生100万人あたりの年間発症率2.6〜5.5人 遺伝性疾患プラス
小児100万人あたりの有病人数1.1人 難病情報センター
全児童集団での推定有病率0.11/100,000人(約1/900,000) orpha.net

📌 日本における例

  • 日本でも症例報告として 1997〜2014年の論文・学会報告で37例が記録されています(全国統計ではない点に注意)。難病情報センター

⚠️ どうして「はっきりした数」が少ないの?

  • EIMFSは発症が早期(6か月未満)で重篤なため、
    新生児医療・専門医療施設での診断報告が中心であり、
    全国レベルの疫学データが不足しています。
  • 各国の医療制度や調査方法の違いもあり、
    数値に幅が出ています。

📌 結論(頻度の感覚)

💡 遊走性焦点発作を伴う乳児てんかんは極めてまれな病気

  • 誕生した百万に数人
  • 小児全体でも百万に1人前後
    という頻度で見られる疾患とされています。遺伝性疾患プラス+1

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の原因は?

① 遺伝子異常(最も主要な原因)

🔑 代表的な原因遺伝子

  • KCNT1(最頻・代表的)
  • SCN2A
  • SCN1A
  • SLC12A5
  • QARS1
  • BRAT1 など

👉 特に KCNT1変異は、EIMFSの最重要原因遺伝子として確立しています。


遺伝子異常の特徴

  • 多くは 新生突然変異(de novo)
    • 両親は無症状
    • 妊娠・出産・育て方の影響ではありません
  • 神経細胞の
    興奮性と抑制のバランスが破綻することで発作が起こります

② なぜ「遊走性」になるのか(病態の考え方)

EIMFSの最大の特徴である
**「発作焦点が移動する(遊走する)」**現象は、以下の機序で説明されます。

  • 原因遺伝子の異常により
    👉 脳全体の神経ネットワークが過剰に興奮しやすい状態
  • 特定の部位だけでなく
    👉 どの部位でも発作が始まり得る
  • その結果
    👉 発作のたびに焦点が変わる、または発作中に移動する

③ 脳構造異常・代謝異常は?

  • 明らかな脳構造異常は少ない
    • MRIは初期に正常なことが多い
  • 代謝異常が原因となることは稀
    • <早期ミオクロニー脳症>とは大きな違い

👉 **EIMFSは「機能的(遺伝子由来)てんかん性脳症」**と理解されます。


④ 遺伝形式と再発リスク

項目特徴
遺伝形式多くは新生突然変異
両親が保因者まれ
兄弟姉妹の再発非常に低い(ただし0ではない)
例外親のモザイク変異

※そのため、遺伝学的検査とカウンセリングが重要です。


⑤ 原因が重要な理由

原因遺伝子の特定は、以下に直結します。

  • 治療選択
    • 例:KCNT1変異 → キニジン使用の検討
  • 予後の見通し
  • 家族への再発リスク説明
  • 将来の研究・臨床試験への参加可否

他疾患との原因比較(整理)

疾患主な原因
大田原症候群構造異常・遺伝子異常
早期ミオクロニー脳症代謝異常が多い
EIMFS遺伝子異常が中心
ウエスト症候群多因子

まとめ(重要ポイント)

  • EIMFSの主因は遺伝子異常
  • 中でも KCNT1 が最重要
  • 多くは 新生突然変異で親の責任ではない
  • 脳構造異常・代謝異常は少数
  • 原因特定が 治療・予後・家族計画の鍵

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>は遺伝する?

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(EIMFS)>は遺伝するのかについて、現在の医学的理解を結論→理由→例外の順で整理してご説明します。


結論から

👉 ほとんどの場合、遺伝しません。
ただし、**「原因は遺伝子異常だが、家族内で受け継がれるケースはまれ」**という、少し特殊な位置づけの病気です。


なぜ「遺伝しないことが多い」のか

EIMFSの原因は遺伝子異常が中心ですが、その多くは👇

🔹 新生突然変異(de novo 変異)

  • 両親には存在しない遺伝子変異が
    受精後・胎児期に偶然生じる
  • 両親は健康・無症状
  • 妊娠中の行動や育て方が原因ではありません

👉 EIMFSの大多数がこのタイプです。


代表的な遺伝子と遺伝の考え方

KCNT1 変異(最も多い)

  • ほぼすべてが de novo
  • 家族内再発は極めて稀

その他(SCN2A、SCN1A など)

  • 多くは de novo
  • 家族性はごく少数

兄弟姉妹への再発リスクは?

状況再発リスク
de novo変異(典型例)1%未満
親の生殖細胞モザイク0ではない(低率)
家族性遺伝(例外)個別評価が必要

👉 そのため、**「基本的には再発しないが、ゼロとは言い切れない」**という説明になります。


例外:まれに「遺伝する」ケース

ごく一部で、以下が報告されています。

  • 親のモザイク変異
    • 親は無症状
    • 精子・卵子の一部だけに変異が存在
  • 常染色体劣性遺伝の関連遺伝子
    • EIMFS様の表現型をとる非常に稀なケース

※ これらは例外的です。


「遺伝子異常」と「遺伝病」は違う

ここはとても重要です。

  • ✔ 遺伝子異常が原因 → 事実
  • ✖ 親から受け継いだ遺伝病 → 多くは違う

👉 **「偶然起きた遺伝子の変化」**が原因であり、
👉 親の責任ではありません。


実際の臨床で必ず行われること

  • 遺伝学的検査(原因遺伝子の特定)
  • 遺伝カウンセリング
    • 再発リスクの正確な説明
    • 将来の妊娠・出産についての医学的判断

まとめ(重要ポイント)

  • EIMFSは
    「遺伝子異常が原因だが、遺伝することはほとんどない」
  • 多くは 新生突然変異
  • 兄弟姉妹への再発リスクは非常に低い
  • 親の行動・妊娠中の生活が原因ではない
  • 正確な評価には遺伝子診断+遺伝カウンセリングが必須

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の経過は?

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(Epilepsy of Infancy with Migrating Focal Seizures:EIMFS)>の経過について、発症から長期予後までを時期別に、臨床で知られている典型像を整理してご説明します。

  • 発症は極めて早期(生後6か月以内が多い)
  • 発作は急速に頻回化・難治化
  • 発達は早期から大きく障害される
  • 長期にわたり重症経過をたどることが多い

EIMFSは、**「時間とともに自然に落ち着くタイプのてんかんではない」**ことが重要です。


時期別の経過

① 発症期(新生児期〜生後6か月以内)

  • 焦点発作で発症
    • 片側の手足・顔のけいれん
    • 眼球偏位、無呼吸、チアノーゼなど
  • 発作の焦点が毎回変わる(遊走性)
  • 1日に多数回起こることも多い
  • 抗てんかん薬への反応は乏しい
  • MRIは初期に正常なことも多い

👉 この時点で、EIMFS特有の難治性が明確になります。


② 進行期(乳児期)

  • 発作頻度がさらに増加・持続
  • 複数焦点が同時に活動することもある
  • 発作間欠期にも脳波異常が持続
  • 発達の遅れが明確化
    • 首すわり・寝返りが困難
    • 反応性・視線の合いにくさ

👉 発作活動そのものが脳発達を妨げる段階です。


③ 幼児期以降(慢性期)

  • 発作は引き続き難治性で持続することが多い
  • 発作型が変化・多様化することもある
  • 重度の知的障害・運動障害が固定化
  • 摂食・嚥下障害、呼吸トラブルを合併しやすい
  • 医療的ケア(経管栄養・吸引など)が必要になることがあります

発達・機能予後

  • 知的発達:重度障害がほぼ必発
  • 運動機能:座位・歩行獲得が困難な例が多い
  • 言語:有意な発語の獲得はまれ
  • 行動・自律神経:不安定になりやすい

※ただし、個人差は存在し、原因遺伝子や医療介入の質で幅があります。


生命予後について

  • 乳幼児期に重篤な経過をたどる例もあります
  • 一方で、医療管理の進歩により長期生存例は増加
  • 生命予後は
    • 発作コントロール
    • 呼吸・感染管理
      に大きく左右されます

経過を左右する重要因子

  1. 原因遺伝子(特にKCNT1かどうか)
  2. 発作頻度と持続期間
  3. 早期の包括的医療介入
  4. 呼吸・栄養・感染対策
  5. 在宅医療・福祉支援の導入時期

他疾患との経過の違い(整理)

疾患経過の特徴
大田原症候群他症候群へ移行しやすい
早期ミオクロニー脳症代謝性原因で重篤
EIMFS難治発作が長期に持続
ウエスト症候群治療で改善する例あり

まとめ(重要ポイント)

  • EIMFSは
    乳児期早期に始まり、長期にわたり重症経過をとるてんかん性脳症
  • 発作は遊走性・難治性
  • 発達障害は早期から重度
  • 医療・在宅・福祉を含めた長期的なチームケアが不可欠

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の治療法は?

EIMFSは極めて治療抵抗性が強い疾患です。
治療の目標は次の3点に集約されます。

  1. 発作頻度・重症度をできる限り下げる
  2. 原因遺伝子に基づいた治療(precision medicine)を検討
  3. 呼吸・栄養・発達を守る包括的ケアを行う

※「発作を完全に止める」ことは難しい場合が多いのが現実です。


① 薬物療法(第一選択だが効果は限定的)

多くの抗てんかん薬が十分な効果を示しにくいのが特徴です。

使用されることのある薬剤(例)

  • バルプロ酸
  • レベチラセタム
  • フェニトイン
  • ベンゾジアゼピン系薬剤
  • トピラマート

👉 単剤での有効例は少なく、併用療法が一般的です。


② 原因遺伝子に基づく治療(重要)

◆ KCNT1変異例:キニジン

  • KCNT1関連EIMFSでは、
    **キニジン(抗不整脈薬)**が試みられることがあります
  • 一部症例で発作頻度の有意な減少が報告
  • ただし
    • 効果には個人差
    • 不整脈リスクがあるため専門施設で厳重管理が必須

👉 遺伝子診断が治療選択に直結する代表例です。


③ ケトン食療法

  • 薬剤抵抗性てんかんとして試みられることが多い
  • 一部で
    発作減少や全身状態の改善がみられる例あり
  • 乳児では
    専門施設での栄養・代謝管理が必須

④ 外科治療について

  • EIMFSでは
    **発作焦点が固定されない(遊走性)**ため
    👉 てんかん外科の適応は原則ありません
  • 迷走神経刺激療法(VNS)も
    乳児期では適応が限られ、効果は限定的

⑤ 支持療法・包括的ケア(極めて重要)

発作治療と同じ、あるいはそれ以上に重要です。

生活・医療管理

  • 呼吸管理(無呼吸・誤嚥対策)
  • 栄養管理(経管栄養・胃ろうなど)
  • 感染症予防
  • 睡眠・体位管理
  • 発作時対応の共有(家庭・保育・医療)

発達・福祉

  • リハビリ(拘縮予防・姿勢保持)
  • 在宅医療・訪問看護
  • レスパイトケア
  • 家族への心理的支援

治療の現実的な位置づけ

  • 発作完全抑制は困難なことが多い
  • しかし
    • 発作頻度の軽減
    • 呼吸・栄養状態の安定
    • 合併症予防
      により、生活の質と生命予後は大きく変わります

まとめ(重要ポイント)

  • EIMFSは最重症クラスの難治性てんかん
  • 薬物療法は基本だが効果は限定的
  • KCNT1変異例ではキニジンが重要な選択肢
  • 外科治療は原則適応外
  • 支持療法と家族ケアが治療の中心

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の日常生活の注意点

日常生活の基本方針

  • 発作は予測不能・頻回で起こり得る前提で環境を整える
  • 「発作を完全に止める」よりも、事故・誤嚥・低酸素などの二次被害を防ぐことを最優先
  • 医療(小児神経)・看護・福祉を早期からチームで活用する

① 発作への備えと安全管理

発作時の基本対応

  • 無理に体を押さえつけない
  • **横向き(回復体位)**にして気道を確保
  • 口の中に物を入れない
  • 発作の開始時刻・持続時間・様子を記録(治療調整に重要)

生活環境の工夫

  • ベッド周囲は柔らかい素材、転落防止柵を使用
  • 家具の角はクッションで保護
  • 入浴・移動・高所では必ず見守り
  • 発作が多い時間帯は一人にしない配置を意識

② 呼吸・嚥下・栄養管理(最重要)

  • 無呼吸、チアノーゼ、誤嚥のリスクが高い
  • 食事形態は嚥下評価(ST)に基づき調整
  • 経管栄養・胃ろうは安全と成長を守る医療手段
  • 痰・唾液が多い場合は吸引方法の指導を受ける

誤嚥性肺炎の予防が生命予後に直結します。


③ 感染症予防

  • 発熱や感染で発作が増悪しやすい
  • 手洗い・換気・人混み回避など基本対策
  • 発熱時は早めに医療機関へ連絡(発作増加・脱水に注意)

④ 睡眠・生活リズム

  • 睡眠不足は発作誘発要因
  • 昼夜逆転があっても、眠れる時間の確保を優先
  • 無理な生活リズム矯正は不要なことも多い

⑤ 薬・治療の管理

  • 自己判断で中止・増減しない
  • 眠気、呼吸抑制、肝機能など副作用の観察
  • 遺伝子型に基づく治療(例:KCNT1変異での特別な薬剤)は
    専門施設の指示を厳守

⑥ リハビリ・姿勢ケア

  • 目的は「発達促進」より
    拘縮予防・姿勢保持・快適さの維持
  • 体位変換・ポジショニングを定期的に
  • 理学療法・作業療法を無理のない頻度で継続

⑦ ご家族への重要な配慮

  • ご家族のせいではありません
  • 24時間の緊張が続きやすいため
    • 訪問看護
    • レスパイト(短期入院・一時預かり)
    • 福祉サービス
      早めに導入することが重要
  • 介護者の休息は、ご本人の安全にも直結します

⑧ 将来を見据えた準備

  • 病状は長期に及ぶことが多い
  • 医療費助成・障害福祉サービスの早期申請・更新
  • 在宅医療・緩和的ケアの導入時期を主治医と相談

まとめ(重要ポイント)

  • 発作は完全に防げなくても、事故・誤嚥・感染は防げる
  • 呼吸・栄養・感染管理が日常生活の最優先
  • 医療・看護・福祉をチームで活用
  • ご家族のケアも治療の一部

<遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん>の最新情報

“Precision medicine(精密医療)”の流れがさらに加速(2025)

KCNT1(機能獲得型:GoF)に対する“標的治療”としてのフルオキセチン(SSRI)(2025)

タイトルとURLをコピーしました