目次
<色素性乾皮症>はどんな病気?
**色素性乾皮症(しきそせいかんぴしょう:Xeroderma Pigmentosum, XP)**は、
紫外線(太陽光)に対する耐性が極端に低い遺伝性の病気です。
皮膚や目が紫外線で強く傷つき、幼少期から重い日焼け・シミ・皮膚がんを起こしやすいことが特徴です。
- ■ 原因
- ■ 主な症状
- ■ どれくらいの頻度?
- ■ 治療法
- ■ 重要なポイント
- ■ 発症頻度(どれくらいいるか)
- ■ なぜ日本は多いのか
- ■ まとめ
- ■ 根本的な原因
- ■ 関係する遺伝子
- ■ 遺伝の仕組み
- ■ なぜ紫外線が問題になるのか
- ■ まとめ
- ■ 常染色体劣性遺伝とは
- ■ なぜ遺伝するのか
- ■ 家族に患者さんがいる場合
- ■ まとめ
- ■ 乳幼児期
- ■ 小児期
- ■ 思春期〜若年成人期
- ■ 成人期以降
- ■ 経過に影響する重要な要因
- ■ まとめ
- ■ 治療の基本方針
- ■ 研究段階の治療(まだ一般治療ではない)
- ■ まとめ
- ■ ① 紫外線対策(最重要)
- ■ ② 皮膚の観察と皮膚科受診
- ■ ③ 目の保護
- ■ ④ 神経症状がある場合の配慮(型による)
- ■ ⑤ 学校・職場での工夫
- ■ ⑥ 精神的・社会的ケア
- ■ まとめ
■ 原因
色素性乾皮症は、
👉 DNA修復機能の異常によって起こります。
本来、紫外線で傷ついたDNAは体内で修復されますが、
この病気ではその修復ができないため、
- 紫外線 → DNA損傷
- 修復できない → 細胞が壊れる・がん化
という状態になります。
遺伝形式は:
- 常染色体劣性遺伝
(両親が保因者で、子どもに発症するタイプ)
■ 主な症状
① 皮膚症状(乳幼児期から)
- 日光に当たると強い日焼け
- そばかす・シミが異常に増える
- 皮膚が乾燥・萎縮
- 若年で皮膚がん(基底細胞がん・扁平上皮がんなど)
② 眼の症状
- 強いまぶしさ(羞明)
- 結膜炎・角膜炎
- 視力低下
③ 神経症状(タイプによる)
- 知的発達の遅れ
- 難聴
- 歩行障害
※すべての患者さんに起こるわけではありません
■ どれくらいの頻度?
- 日本:約 2~3万人に1人
- 欧米:約100万人に1人
→ 日本は比較的多いとされています。
■ 治療法
現在、根本的に治す治療法はありません。
治療の中心は「紫外線を避けること」です。
基本対策
- 完全遮光(UVカット衣類・帽子・サングラス)
- 日焼け止めの徹底使用
- 室内のUV対策(窓フィルムなど)
医療的対応
- 皮膚がんの早期発見・切除
- 眼科的治療
- 神経症状へのリハビリ
■ 重要なポイント
色素性乾皮症は、
✔ 「日光=命に関わるダメージ」になる病気
✔ 早期診断・早期遮光が予後を大きく左右
✔ 日常生活の管理が治療そのもの
という特徴があります。
<色素性乾皮症>の人はどれくらい?
■ 発症頻度(どれくらいいるか)
◆ 日本
- 約 2~3万人に1人
- 推定患者数:約4,000人前後
日本は世界的に見て、色素性乾皮症の患者さんが比較的多い国とされています。
◆ 世界全体
- 欧米:約100万人に1人
- 北アフリカ・中東の一部地域:数千人に1人(近親婚が多い地域)
- 世界全体の推定患者数:数万人規模
■ なぜ日本は多いのか
日本では特定の遺伝子型(特に XP-A型)が多く、
これは「創始者効果」と呼ばれる現象によるものと考えられています。
■ まとめ
- 日本:2~3万人に1人(比較的多い)
- 欧米:100万人に1人(まれ)
- 地域差が非常に大きい遺伝病
- 皮膚科・小児科では「指定難病」に該当
<色素性乾皮症>の原因は?
<色素性乾皮症(XP)>の原因は、
紫外線で傷ついたDNAを修復する仕組みが生まれつきうまく働かないことです。
■ 根本的な原因
人の体には本来、
紫外線(UV)によって傷ついたDNAを修復する
「ヌクレオチド除去修復(NER)」という機構があります。
しかし色素性乾皮症では、
- このDNA修復に関わる遺伝子に異常がある
- 紫外線で壊れたDNAを修復できない
- 傷ついた細胞がそのまま残る
- 皮膚細胞ががん化しやすくなる
という状態になります。
■ 関係する遺伝子
原因となる遺伝子には複数あり、代表的なものは:
- XPA
- XPB(ERCC3)
- XPC
- XPD(ERCC2)
- XPE(DDB2)
- XPF(ERCC4)
- XPG(ERCC5)
などです。
これらはすべて
👉 DNA修復に必要な遺伝子です。
■ 遺伝の仕組み
色素性乾皮症は:
- 常染色体劣性遺伝
です。
つまり、
- 両親は症状のない「保因者」のことが多い
- 両親とも保因者の場合
→ 子どもが発症する確率は 25%
となります。
■ なぜ紫外線が問題になるのか
紫外線はDNAに
- ピリミジンダイマー
という特殊な損傷を作ります。
通常:
紫外線 → DNA損傷 → 修復 → 問題なし
XP:
紫外線 → DNA損傷 → 修復できない
→ 細胞死・突然変異
→ 皮膚がん・角膜障害・老化様変化
となります。
■ まとめ
色素性乾皮症の原因は:
✔ DNA修復遺伝子の先天的異常
✔ 紫外線によるDNA損傷を修復できない
✔ その結果、皮膚・眼・神経に障害が起こる
✔ 常染色体劣性遺伝
という病気です。
<色素性乾皮症>は遺伝する?
はい、<色素性乾皮症>は遺伝する病気です。
この病気は
**常染色体劣性遺伝(じょうせんしょくたいれっせい いでん)**という形式で遺伝します。
■ 常染色体劣性遺伝とは
両親それぞれが
「異常な遺伝子を1つずつ持つ保因者」の場合に、
- 子どもが発症する確率:25%(4人に1人)
- 保因者になる確率:50%
- まったく遺伝子異常を持たない確率:25%
となります。
※両親は多くの場合、症状がありません。
■ なぜ遺伝するのか
色素性乾皮症では、
紫外線で傷ついたDNAを修復するための遺伝子
(XPA、XPC、ERCC2 など)に異常があります。
この異常が生まれつきあると、
- 紫外線によるDNA損傷を修復できない
- 皮膚や目が強く障害される
- 皮膚がんが非常に起こりやすくなる
という状態になります。
■ 家族に患者さんがいる場合
- 兄弟姉妹:発症している可能性があります
- 将来の子ども:配偶者が保因者かどうかでリスクが変わります
そのため、
遺伝カウンセリングや
遺伝子検査が行われることがあります。
■ まとめ
色素性乾皮症は:
✔ 遺伝する病気である
✔ 常染色体劣性遺伝
✔ 両親が保因者の場合、子どもが発症する確率は25%
✔ 多くの両親は症状がない
✔ 将来設計には遺伝カウンセリングが有用
という特徴があります。
<色素性乾皮症>の経過は?
<色素性乾皮症(XP)>の**経過(時間とともにどう進むか)は、
紫外線への曝露量と病型(遺伝子型)**によって大きく左右されます。
共通点としては、幼少期から症状が始まり、適切な遮光ができない場合は進行性です。
■ 乳幼児期
- 日光に当たると
・強い日焼け
・赤くただれる
・水ぶくれ
など、通常よりも極端な日光過敏を示します。 - 早い場合は1歳前後から
そばかす様の色素沈着が出現します。
■ 小児期
- 顔・手など露出部に
・そばかす
・シミ
・皮膚の乾燥・萎縮
が目立つようになります。 - 目に
・まぶしさ(羞明)
・結膜炎・角膜炎
が出ることがあります。 - 病型によっては
・聴力低下
・発達の遅れ
など神経症状が現れ始めます。
■ 思春期〜若年成人期
- 適切な遮光ができていない場合、
👉 10代~20代で皮膚がんが発生することがあります。 - 出現しやすい皮膚がん
・基底細胞がん
・扁平上皮がん
・悪性黒色腫 - 目の障害が進行すると
・角膜混濁
・視力低下
を生じます。 - 神経症状がある型では
・歩行障害
・認知機能低下
が進行することがあります。
■ 成人期以降
- 皮膚がんを繰り返し発症する可能性があります。
- 神経症状のある型では
日常生活動作に支障が出ることがあります。 - ただし、
幼少期から徹底した紫外線対策を行っている場合は、
・皮膚がんの発症を大きく減らせる
・寿命も一般人口に近づく
ことが分かっています。
■ 経過に影響する重要な要因
- 遮光の徹底度(最重要)
- 遺伝子型(XP-A型など)
- 皮膚がんの早期発見・治療
- 眼・神経症状の有無
■ まとめ
色素性乾皮症の経過は:
✔ 乳幼児期から日光過敏
✔ 小児期に色素沈着・眼症状
✔ 若年で皮膚がんのリスク
✔ 型によって神経症状が進行
✔ しかし、遮光管理で予後は大きく改善
という特徴があります。
<色素性乾皮症>の治療法は?
<色素性乾皮症(XP)>の治療法についてご説明いたします。
結論から申し上げますと、
現在、病気そのものを根本的に治す治療法はありません。
治療の中心は、
👉 **紫外線を徹底的に避けること(遮光)**と
👉 合併症(皮膚がん・眼障害など)の早期発見と治療
です。
■ 治療の基本方針
① 紫外線対策(最も重要)
これは治療そのものといえるほど重要です。
- UVカット衣類(長袖・帽子・手袋)
- サングラス・フェイスガード
- 日焼け止め(SPF・PAの高いもの)
- 窓のUVカットフィルム
- 外出時間の調整(昼間を避ける)
➡ これにより
皮膚がんの発症リスクを大幅に下げ、予後を改善できます。
② 皮膚がん・前がん病変の治療
定期的な皮膚科受診が必要です。
- 手術による切除
- 液体窒素療法
- 外用抗がん剤(5-FUなど)
- 光線力学療法(PDT)
➡ 「早期発見・早期治療」が生命予後に直結します。
③ 眼の治療
紫外線による角膜・結膜障害に対して:
- 点眼薬(抗炎症薬・人工涙液)
- 角膜保護
- 必要に応じて手術
➡ 視力低下の予防が目的です。
④ 神経症状への対応(型による)
神経症状がある型(XP-Aなど)では:
- リハビリテーション
- 聴力補助(補聴器など)
- 発達支援・生活支援
➡ 進行を完全に止める治療は現時点ではありません。
■ 研究段階の治療(まだ一般治療ではない)
現在、研究段階として:
- 遺伝子治療
- DNA修復酵素の外用療法
- 分子標的治療
などが検討されていますが、
日常診療として確立した治療法ではありません。
■ まとめ
色素性乾皮症の治療は:
✔ 根治療法はない
✔ 紫外線対策が最重要
✔ 皮膚がんの早期発見・治療
✔ 眼・神経症状への対症療法
✔ 生活管理そのものが治療
という病気です。
<色素性乾皮症>の日常生活の注意点
<色素性乾皮症(XP)>の日常生活で最も重要な注意点は、
**「紫外線をできる限り浴びない生活を徹底すること」**です。
これは予防ではなく、治療そのものといえるほど重要です。
以下、具体的にご説明いたします。
■ ① 紫外線対策(最重要)
外出時
- 長袖・長ズボン・手袋の着用
- つばの広い帽子、フェイスガード
- UVカット機能付きサングラス
- 日焼け止めをこまめに塗り直す
- 可能なら日中の外出を避ける(夕方・夜間中心)
室内でも注意
- 窓にUVカットフィルムを貼る
- 蛍光灯やLEDでもUVが出ることがあるため、対策照明を使用
- 車内もUV対策(フロント・側面ガラス)
➡ 紫外線は「少量でも蓄積」するため、
完全遮光を目標に生活設計することが重要です。
■ ② 皮膚の観察と皮膚科受診
- 新しいシミ・できものが出ていないか毎日チェック
- 傷が治りにくい場合はすぐ受診
- 定期的な皮膚科フォロー(数か月ごと)
➡ 皮膚がんの早期発見が命に直結します。
■ ③ 目の保護
- サングラスの常時使用
- まぶしさや充血があれば早めに眼科受診
- ドライアイ対策(人工涙液など)
➡ 角膜障害・視力低下の予防が目的です。
■ ④ 神経症状がある場合の配慮(型による)
- 定期的な聴力検査
- 歩行やバランスのリハビリ
- 発達支援・学習支援
➡ 進行を遅らせ、生活の質を保つことが目的です。
■ ⑤ 学校・職場での工夫
- 教室や職場の照明・窓のUV対策
- 外活動の免除・時間調整
- 通学・通勤時間の変更
- 周囲への病気の説明と理解
➡ 環境調整が極めて重要です。
■ ⑥ 精神的・社会的ケア
- 見た目の変化による心理的負担への支援
- 家族・学校・職場の理解
- 患者会・支援団体の活用
➡ 長期管理の病気のため、心のケアも不可欠です。
■ まとめ
色素性乾皮症の日常生活の注意点は:
✔ 紫外線を極限まで避ける
✔ 皮膚・目の異常を早期発見
✔ 定期通院を継続
✔ 生活環境を病気に合わせて調整
✔ 心理面・社会面の支援も大切
という点に集約されます。
