結節性多発動脈炎(PAN)

脳神経 神経 指定難病  クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 下垂体性TSH分泌亢進症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体前葉機能低下症 網膜色素変性症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症  皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD) 指定難病
クッシング病 下垂体性ADH分泌異常症 網膜色素変性症 脊髄空洞症 下垂体前葉機能低下症 下垂体性PRL分泌亢進症 下垂体性TSH分泌亢進症 マリネスコ・シェーグレン症候群 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 脊髄空洞症 脊髄髄膜瘤 遺伝性ジストニア 神経フェリチン症 脳表ヘモジデリン沈着症 禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症 神経細胞移動異常症 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症 HDLS 前頭側頭葉変性症 ビッカースタッフ脳幹脳炎 BBE 痙攣重積型(二相性)急性脳症(AESD)

目次

<結節性多発動脈炎>はどんな病気?

<結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa:PAN)>は、
中型から小型の動脈に炎症(血管炎)が起こる稀な全身性の自己免疫性疾患です。


1. 特徴

  • 主に 中動脈(筋型動脈) が障害されます(細小血管や毛細血管は通常関与しません)。
  • 炎症により血管壁が壊れ、血流障害・動脈瘤・血栓が生じ、結果としてさまざまな臓器がダメージを受けます。
  • 臓器の障害は多彩で、皮膚・末梢神経・消化管・腎臓・筋肉などに起こりやすいです。

2. 主な症状

  • 全身症状:発熱、体重減少、倦怠感
  • 皮膚症状:網状皮斑(livedo reticularis)、紫斑、皮下結節、潰瘍
  • 神経症状:多発単神経炎(しびれ、筋力低下)
  • 腎症状:高血圧、腎血管性虚血(ただし糸球体腎炎は基本的に伴わない)
  • 消化器症状:腹痛、吐血、下血(腸の虚血や穿孔のリスク)
  • 筋・関節症状:筋肉痛、関節痛

3. 原因・発症メカニズム

  • 多くは原因不明(特発性)。
  • 一部は B型肝炎ウイルス(HBV)感染に関連(特に過去の報告では多かったが、ワクチンや抗ウイルス療法の普及で減少)。
  • 免疫系が誤って自己の血管を攻撃し、血管壁に壊死性炎症(フィブリノイド壊死)が起こる。

4. 診断

  • 臨床症状、血液検査(炎症反応高値、HBVマーカーなど)、血管造影や生検(血管壁の壊死性血管炎の証明)によって診断。
  • 2022年のACR/EULAR分類基準が参考になる。

5. 治療

  • 免疫抑制療法が基本
    • ステロイド(プレドニゾロン)
    • 重症例や再発例はシクロホスファミド、アザチオプリンなどの免疫抑制薬を併用
  • HBV関連例では 抗ウイルス薬+短期の免疫抑制療法
  • 臓器障害に応じた支持療法

6. 予後

  • 早期診断・適切治療により生存率は向上(5年生存率は80%以上)。
  • 治療が遅れると臓器障害が進行し、生命予後に影響。

<結節性多発動脈炎>の人はどれくらい?

<結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa:PAN)>の患者数は非常に少なく、日本では年間新規発症は人口100万人あたり約1人未満とされる稀な疾患です。

  • 有病率(推定):日本全国では数百人〜千人程度と推測されています。
  • 発症年齢:多くは中高年(平均発症年齢50歳前後)、小児例もありますが稀です。
  • 性別比:男性にやや多いとされます(男女比およそ1.5:1程度)。

<結節性多発動脈炎>の原因は?

<結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa:PAN)>の原因は、
現在も完全には解明されていませんが、研究から次のような要因が関与すると考えられています。


1. 免疫異常による血管炎
  • 中型〜小型動脈の血管壁に炎症(血管炎)が起こる自己免疫反応が中心。
  • 免疫細胞や炎症性サイトカインが血管を傷つけ、血管壁が壊れて瘤(動脈瘤)や閉塞を起こします。

2. 感染症との関連
  • 特にB型肝炎ウイルス(HBV)感染との関係が有名。
    • 以前はPAN患者の10〜30%がHBV感染陽性とされましたが、ワクチン普及により現在は数%未満に減少。
    • これは免疫複合体(ウイルス抗原+抗体)が血管壁に沈着して炎症を起こす「III型アレルギー反応」の一種と考えられます。
  • 稀にC型肝炎やHIVなどとの関連も報告。

3. 遺伝・体質的要因
  • 家族性発症は非常に稀で、明確な遺伝子異常は少ないですが、免疫反応の過剰さ自己免疫疾患のなりやすさに関わるHLA型などが関与する可能性が指摘されています。

4. その他の誘因
  • 特定薬剤(例:一部の抗生物質、免疫チェックポイント阻害薬など)による薬剤性PANの報告。
  • 悪性腫瘍(特に造血器腫瘍)に伴う二次性PAN。

<結節性多発動脈炎>は遺伝する?

<結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa, PAN)>は、
遺伝性の病気ではありません

遺伝との関係
  • 大部分の症例は後天的に発症し、遺伝子変異の家族内集積は報告されていません。
  • 家族性に発症するPANは極めて稀で、ほとんどが環境因子や免疫反応に関連します。
  • まれに「ADA2欠損症(DADA2)」のような遺伝性疾患がPAN様の症状を呈することがありますが、これは遺伝性PANとは別枠として扱われます。
発症の主な要因
  • 感染:B型肝炎ウイルス(HBV)感染が古くから有名(特に成人例)。
  • 免疫異常:自己免疫反応によって中小動脈の血管壁に炎症が起きる。
  • 環境・誘因:薬剤、ウイルス感染、免疫チェックポイント阻害薬の使用など。

つまり、一般的なPANは親から子に直接遺伝する病気ではなく、感染や免疫反応の異常によって発症します。

<結節性多発動脈炎>の経過は?

<結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa, PAN)>の経過は、
病気の重症度・発症部位・治療開始のタイミングによってかなり異なりますが、典型的な流れは以下のようになります。


1. 発症初期

  • 全身症状(発熱、倦怠感、体重減少)が先行することが多い
  • その後、**皮膚(紫斑、潰瘍)や末梢神経(しびれ、麻痺)、消化管(腹痛、出血)、腎臓(高血圧、腎機能低下)**など多臓器の症状が出現
  • 血管炎は中型動脈を中心に多発的に起き、病変部で動脈瘤や狭窄が生じる

2. 進行期

  • 臓器虚血や出血による急性障害が出やすく、特に消化管穿孔や腎不全は致命的になることもある
  • 未治療の場合、病勢は数か月〜数年かけて悪化
  • 古典的PANは**B型肝炎ウイルス関連型(HBV-PAN)**と自己免疫型で経過が異なる
    • HBV型は急性経過で重症化しやすい
    • 自己免疫型は比較的亜急性〜慢性経過をとる

3. 治療後の経過

  • 早期にステロイドや免疫抑制薬を開始すれば、寛解が得られる可能性が高い
  • 一度寛解しても、再発率は10〜30%程度とされ、長期経過観察が必要
  • 慢性期に末梢神経障害や皮膚瘢痕などの後遺症が残ることもある

4. 予後

  • ステロイド・免疫抑制療法がなかった時代は**5年生存率が約13%**と非常に悪かった
  • 現在は治療により**5年生存率は約80〜90%**まで改善
  • ただし重症臓器障害(心、腎、消化管)がある場合や治療抵抗例は予後が不良

<結節性多発動脈炎>の治療法は?

<結節性多発動脈炎(Polyarteritis Nodosa:PAN)>の治療法は、血管炎による臓器障害を早期に抑えることが最優先となります。重症度や合併症の有無によって治療内容は変わりますが、基本的な方針は以下の通りです。


1. 急性期治療(炎症抑制)

目的:血管の炎症を鎮め、臓器障害の進行を防ぐ

ステロイド療法
  • **プレドニゾロン(prednisolone)**が第一選択
  • 初期は高用量(例:0.5~1 mg/kg/日)を投与し、症状や炎症マーカー改善に応じて漸減
  • 重症例(中枢神経障害、心筋障害、腎不全など)ではメチルプレドニゾロン大量静注パルス療法(1 g/日 ×3日間)を行うこともある

2. 免疫抑制薬の併用

ステロイドだけでは不十分な場合や再燃例、重症例では追加します。

  • シクロホスファミド(cyclophosphamide)
    重症多臓器障害例に有効、静注パルスまたは内服
  • アザチオプリン(azathioprine)
    維持療法やステロイド減量目的
  • メトトレキサート(methotrexate)
    軽~中等症例やステロイド依存例に使用可能

3. 感染症対策(特にB型肝炎関連PAN)

  • B型肝炎ウイルス感染が原因のPANでは、免疫抑制薬の使用に注意が必要
  • 抗ウイルス薬(エンテカビル、テノフォビルなど)を併用
  • ステロイドはできるだけ短期間にとどめ、免疫抑制よりも抗ウイルス+血漿交換療法を優先することもある

4. 血漿交換療法(Plasma Exchange)

  • 特にB型肝炎関連PANで急性期の重症例に行う
  • 血中の免疫複合体や炎症性物質を除去し、血管障害を軽減

5. 支持療法

  • 高血圧管理(降圧薬)
  • 腎保護(腎機能低下例では透析も考慮)
  • 感染予防(免疫抑制薬使用中は予防接種やPneumocystis jirovecii予防)
  • 血栓予防(血管炎により血栓リスクが高まる場合)

6. 治療期間と予後

  • 治療期間は6か月〜1年以上(再発防止とステロイド離脱を目標)
  • 適切な治療で5年生存率は80〜90%以上
  • ただし中枢神経、心臓、消化管壊死などを伴う重症例は予後不良

<結節性多発動脈炎>の日常生活の注意点

<結節性多発動脈炎(PAN)>の日常生活の注意点は、病気の活動性や治療内容(特にステロイド・免疫抑制薬の使用)に応じて変わりますが、基本的には以下のポイントが重要です。


1. 感染予防

  • 免疫抑制薬・ステロイドにより感染リスクが上がるため、手洗い・うがい・人混みの回避が大切です。
  • インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなど、主治医が許可する予防接種を計画的に受けること。
  • 発熱・咳・膿のある皮疹などがあれば早めに受診。

2. 治療薬の副作用管理

  • ステロイド長期使用 → 骨粗鬆症・高血糖・高血圧などを起こしやすい
    • カルシウム・ビタミンDの摂取、適度な運動、定期骨密度測定
  • 免疫抑制薬 → 肝機能・腎機能の定期検査、口内炎や倦怠感の早期対応
  • 薬は自己判断で中止せず、症状が落ち着いても医師の指示に従って漸減

3. 心血管・腎臓のケア

  • PANは中〜小動脈炎のため、高血圧や腎障害が起こりやすい
    血圧測定の習慣化、減塩食、腎機能検査の定期受診
  • 動脈瘤や血栓のリスクもあるため、急な腹痛・胸痛・神経症状に注意

4. 体力と生活リズムの維持

  • 疲労やストレスで再燃しやすい
    → 十分な睡眠・規則正しい生活
  • 急激な運動負荷は避け、ウォーキングやストレッチなど軽い運動から始める

5. 栄養管理

  • 炎症・薬の副作用に対応するため、バランスの良い食事
  • ステロイドで食欲増進が起こりやすいため、体重増加防止の工夫も必要
  • 高血糖予防のため糖質過多に注意

6. 再燃のサインを見逃さない

  • 発熱、皮疹の再出現、筋肉痛、しびれ、体重減少、血尿などは再燃の可能性
  • 些細でも変化があれば早めに主治医へ報告

7. 定期的な医療フォロー

  • 血液検査(炎症マーカー、臓器機能)、尿検査、画像検査などで経過を把握
  • 長期的には心臓・腎臓・神経機能の評価も継続

<結節性多発動脈炎>の最新情報

一次性PAN(非B型肝炎関連)の治療:ACR/VF 2021ガイドライン

HBV関連PANの治療

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