目次
<眼皮膚白皮症>はどんな病気?
<眼皮膚白皮症(がんひふはくひしょう)>は、先天的(生まれつき)に皮膚・毛髪・眼の色素(メラニン)が少ない、またはほとんど作られない遺伝性疾患です。
英語では Oculocutaneous Albinism(OCA) と呼ばれます。
- 1. どのような病気か
- 2. 主な症状
- 3. 知的発達について
- 4. 種類(代表的なもの)
- 5. 原因
- 6. 治療について
- 7. 生活上の注意点
- まとめ
- 世界での頻度
- 日本での頻度
- 地域差(参考)
- 保因者(キャリア)の頻度
- まとめ
- 1. 何が起きている病気か(核心)
- 2. 原因となる「遺伝子異常」
- 3. 遺伝形式(とても重要)
- 4. 後天的に起こることはある?
- 5. なぜ「視力障害」が起こるのか
- 6. 原因のまとめ(要点)
- <眼皮膚白皮症>は遺伝します
- 1. 遺伝形式:常染色体劣性遺伝
- 2. 両親が「保因者」の場合
- 3. 片親だけが患者の場合は?
- 4. 患者さん同士が結婚した場合
- 5. 後天的にうつることは?
- 6. 将来の妊娠・出産について
- まとめ(重要ポイント)
- 1. 全体像(結論)
- 2. 乳児期〜幼児期の経過
- 3. 学童期〜思春期の経過
- 4. 成人期の経過
- 5. 高齢期の経過
- 6. 型(OCAの種類)による違い
- 7. 経過観察で重要なポイント
- 8. 経過のまとめ(要点)
- 結論
- 1. なぜ根本治療がないのか
- 2. 眼に対する治療・管理(最重要)
- 3. 皮膚に対する治療・管理
- 4. 小児期に重要な支援
- 5. 遺伝子治療・新規治療の研究状況(2025年時点)
- 6. 治療法のまとめ(重要ポイント)
- 1. 紫外線対策(最重要)
- 2. 目の保護・見え方への配慮
- 3. 学校・職場での注意点(合理的配慮)
- 4. 生活全般での注意
- 5. 日常生活の注意点まとめ(要点)
1. どのような病気か
眼皮膚白皮症は、メラニン合成に関わる遺伝子の異常によって起こります。
メラニンは、
- 皮膚や髪の色を決める
- 紫外線から身体を守る
- 眼の正常な発達に関与する
といった重要な役割を担っています。
このメラニンが十分に作られないため、外見上の特徴と視機能の問題が生じます。
2. 主な症状
① 皮膚・毛髪
- 皮膚が非常に白い、または色素が薄い
- 髪の色が白〜淡い金色、薄茶色
- 日焼けしにくく、赤くなりやすい
- 紫外線による皮膚障害を受けやすい
② 眼(ここが非常に重要です)
- 視力低下(矯正しても1.0に達しないことが多い)
- 眼振(目が小刻みに揺れる)
- 斜視
- 羞明(まぶしさを強く感じる)
- 網膜・視神経の発達異常
※ 「白い=見た目の病気」ではなく、視覚障害を伴う疾患である点が重要です。
3. 知的発達について
- 通常、知的発達は正常です
- 学習面での困難は、視力低下が原因となることが多いです
4. 種類(代表的なもの)
眼皮膚白皮症には複数の型があります。
- OCA1:メラニンがほぼ作られない(重症型)
- OCA2:ある程度メラニンが作られる(比較的多い)
- OCA3 / OCA4:地域差あり、日本ではOCA4が比較的多い
※ 型によって皮膚や毛髪の色、視力の程度が異なります。
5. 原因
- 遺伝子変異が原因
- 多くは 常染色体劣性遺伝
- 両親が保因者の場合、25%の確率で発症
6. 治療について
根本治療
- 現時点で根本治療はありません
対症療法・支援
- 視力矯正(眼鏡・遮光レンズ)
- 斜視・眼振への眼科的フォロー
- 紫外線対策(帽子・日焼け止め・長袖)
- 定期的な皮膚科・眼科受診
- 必要に応じて視覚支援(拡大読書器など)
7. 生活上の注意点
- 紫外線対策は必須
- 皮膚がんリスクが一般より高いため、皮膚チェックが重要
- 視覚特性を理解した学校・職場環境の調整
まとめ
眼皮膚白皮症は
**「色が白い病気」ではなく、
『視覚障害と紫外線感受性を伴う遺伝性疾患』**です。
適切な医療フォローと環境調整により、
多くの方が社会生活を問題なく送ることが可能です
<眼皮膚白皮症>の人はどれくらい?
<眼皮膚白皮症(Oculocutaneous Albinism:OCA)>の方がどれくらいいるかについて、疫学データに基づいて整理します。
世界での頻度
- 約1万~2万人に1人
- 割合にすると 0.005~0.01%
これは OCA1~OCA4 などすべての型を合計した頻度です。
日本での頻度
- 約2万人に1人前後
- 人口規模から推定すると
約6,000~7,000人程度の患者さんがいると考えられています
※ 日本では OCA4型 が比較的多いことが特徴です。
地域差(参考)
眼皮膚白皮症は、地域や集団によって頻度が大きく異なります。
- 欧州・日本・北米:約1/15,000~1/20,000
- サハラ以南アフリカ:約1/1,000~1/5,000
- 特定の集団ではさらに高頻度な地域もあります
保因者(キャリア)の頻度
多くの眼皮膚白皮症は常染色体劣性遺伝です。
- 保因者:約 1/70~1/100人
- 両親が保因者の場合
- 25%:発症
- 50%:保因者
- 25%:影響なし
まとめ
- 世界:1~2万人に1人
- 日本:約2万人に1人
- 日本の患者数推定:6,000~7,000人
- 保因者:70~100人に1人
<眼皮膚白皮症>の原因は?
<眼皮膚白皮症>の原因は、メラニン(色素)を作る仕組みに関わる遺伝子の異常です。
1. 何が起きている病気か(核心)
眼皮膚白皮症では本来、
チロシン →(酵素反応)→ メラニン生成
という流れで作られるはずのメラニン合成経路が、
遺伝子変異によってうまく働かなくなっています。
その結果:
- 皮膚・毛髪・虹彩の色が薄くなる
- 眼の発達(網膜・視神経)が不完全になる
という症状が生じます。
2. 原因となる「遺伝子異常」
眼皮膚白皮症は1つの病気名ですが、原因遺伝子は複数あります。
主な原因遺伝子と型
| 型 | 原因遺伝子 | 特徴 |
|---|---|---|
| OCA1 | TYR | メラニンがほぼ作られない(重症) |
| OCA2 | OCA2 | ある程度色素が作られる |
| OCA3 | TYRP1 | 主にアフリカ系で多い |
| OCA4 | SLC45A2 | 日本人で比較的多い |
※ いずれもメラニン合成・輸送に必須な遺伝子です。
3. 遺伝形式(とても重要)
■ 多くは「常染色体劣性遺伝」
- 両親は見た目・健康ともに正常
- しかし、それぞれが変異遺伝子を1つずつ保有(保因者)
この場合:
- 25%:発症
- 50%:保因者
- 25%:影響なし
※「突然生まれたように見える」ため、
家族歴がなくても発症します
4. 後天的に起こることはある?
👉 ありません
眼皮膚白皮症は:
- 生まれつき(先天性)
- 感染症・薬・生活習慣が原因になることはない
という点が明確に分かっています。
5. なぜ「視力障害」が起こるのか
メラニンは色を付けるだけでなく、
- 網膜中心窩の形成
- 視神経の交叉の制御
にも関与しています。
そのため:
- 色素が少ない → 眼の構造そのものが完全に作られない
- 結果として
- 視力低下
- 眼振
- 斜視
が生じます。
6. 原因のまとめ(要点)
- 原因:メラニン合成関連遺伝子の変異
- 遺伝形式:常染色体劣性
- 後天性:❌ なし
- 知的障害:❌ 原則なし
- 視力障害:⭕ 発達段階の異常による
<眼皮膚白皮症>は遺伝する?
<眼皮膚白皮症>は遺伝します
ただし、遺伝のしかたには特徴があります。
1. 遺伝形式:常染色体劣性遺伝
眼皮膚白皮症のほとんどは
常染色体劣性遺伝です。
これはどういう意味かというと:
- 原因となる遺伝子は 性別に関係ない染色体にある
- 両親から1つずつ異常遺伝子を受け取った場合にのみ発症する
という形式です。
2. 両親が「保因者」の場合
両親は多くの場合、
- 外見も健康も正常
- ただし、異常遺伝子を1つだけ持つ保因者
この場合、子どもに起こる確率は以下の通りです。
- 25%:眼皮膚白皮症を発症
- 50%:保因者(症状なし)
- 25%:遺伝子異常なし
👉 家族歴がなくても突然生まれるように見える理由は、ここにあります。
3. 片親だけが患者の場合は?
① もう一方が「保因者でない」場合
- 子どもは 発症しません
- ただし 全員が保因者になります
② もう一方が「保因者」の場合
- 50%:発症
- 50%:保因者
4. 患者さん同士が結婚した場合
(※ 同じ型・同じ遺伝子の場合)
- 原則100%、子どもも発症します
※ ただし、原因遺伝子が異なる型同士の場合は発症しないこともあります
(そのため、遺伝子検査が重要になります)
5. 後天的にうつることは?
- 感染することはありません
- 生活習慣や環境が原因になることもありません
👉 必ず生まれつきの遺伝性疾患です。
6. 将来の妊娠・出産について
- 遺伝カウンセリングを受けることで
- 発症リスク
- 検査方法
- 妊娠前・出生前検査の選択肢
を丁寧に説明してもらえます。
まとめ(重要ポイント)
- 遺伝する:はい
- 遺伝形式:常染色体劣性
- 家族歴がなくても起こる:はい
- 感染・後天性:いいえ
<眼皮膚白皮症>の経過は?
<眼皮膚白皮症(Oculocutaneous Albinism:OCA)>の**経過(時間とともにどうなるか)**は、
**命に関わる進行性疾患ではなく、症状は基本的に「生涯一定」**という点が大きな特徴です。
以下、年齢ごとの経過と注意点を整理します。
1. 全体像(結論)
- 生まれつきの疾患
- 症状は進行しない
- 適切な管理により生活の質は安定
- ただし
- 視力
- 紫外線による皮膚障害
は生涯フォローが必要です
2. 乳児期〜幼児期の経過
出生直後
- 皮膚・毛髪の色が非常に薄いことで気づかれることが多い
- 眼振(目の揺れ)が数か月以内に出現
乳幼児期
- 視力低下が明らかになる
- 斜視がみられることがある
- 羞明(まぶしさ)を強く訴えることが多い
👉 この時期に診断されるケースが最も多いです。
3. 学童期〜思春期の経過
視機能
- 視力は幼少期にある程度決まり、その後は大きく変化しません
- 多くの場合:
- 矯正視力:0.1~0.5程度
- 1.0以上になることは稀
発達・知能
- 知的発達は正常
- 学習上の困難は、主に視覚的制限によるもの
皮膚
- 日焼けしやすい
- しみ・そばかすが出やすくなる
4. 成人期の経過
視力
- 進行性の悪化はありません
- 眼振・斜視も基本的に安定
皮膚
- 紫外線曝露の蓄積により
- 日光角化症
- 皮膚がん
のリスクが上昇します
👉 成人期以降は皮膚管理が特に重要になります。
5. 高齢期の経過
- 一般的な加齢変化(白内障など)は起こり得る
- ただし
- 眼皮膚白皮症そのものが悪化する
- 寿命が短くなる
といったことはありません。
6. 型(OCAの種類)による違い
- OCA1:色素がほぼ増えず、生涯淡色
- OCA2・OCA4:成長とともに多少色素が増えることあり
※ 見た目は変化しても、視力の本質的改善は期待しにくいです。
7. 経過観察で重要なポイント
定期フォロー
- 眼科:視力・斜視・眼振
- 皮膚科:紫外線障害・皮膚がんチェック
生活上の工夫
- 紫外線対策(必須)
- 遮光眼鏡・拡大読書器
- 学校・職場での合理的配慮
8. 経過のまとめ(要点)
- 発症時期:出生時から
- 進行性:❌ なし
- 視力:幼少期に決まり、その後は安定
- 寿命:一般と同等
- 長期管理:眼と皮膚が重要
<眼皮膚白皮症>の治療法は?
結論
現時点で、病気そのものを治す根本治療はありません。
そのため治療は、症状を軽減し、生活の質(QOL)を保つための対症療法・支援が中心になります。
1. なぜ根本治療がないのか
眼皮膚白皮症は、
- 生まれつきの遺伝子異常
- 発達段階での眼の構造形成異常
が原因です。
一度形成された
- 網膜中心窩
- 視神経の配線
は、後から正常化することができないため、
成人後に「色素を増やす」「視力を回復させる」治療は困難です。
2. 眼に対する治療・管理(最重要)
① 視力矯正
- 眼鏡・コンタクトレンズ
- 完全な正常視力にはならないことが多いですが、最大限の視力を引き出す目的で行います
② 遮光対策
- 遮光眼鏡・サングラス
- 帽子の着用
👉 羞明(まぶしさ)を軽減
③ 斜視の治療
- 必要に応じて斜視手術
- 視力改善というより、眼位・見た目・生活のしやすさの改善が目的
④ 眼振への対応
- 根治は困難
- 姿勢調整・眼鏡・場合により手術で症状緩和
3. 皮膚に対する治療・管理
① 紫外線対策(必須)
- 日焼け止め(SPF・PA高値)
- 長袖・帽子・日傘
- 屋外活動の時間帯調整
② 皮膚科での定期チェック
- 日光角化症
- 皮膚がんの早期発見
👉 予防と早期発見が治療そのものになります。
4. 小児期に重要な支援
- 早期の眼科フォロー
- 視覚補助具(拡大読書器、タブレット等)
- 学校での合理的配慮
- 前席配置
- 拡大教材
- 試験時間延長
👉 早期介入が将来のQOLを大きく左右します
5. 遺伝子治療・新規治療の研究状況(2025年時点)
- 遺伝子治療:研究段階
- 動物実験・基礎研究レベルが中心
- 現時点で臨床応用されている治療はありません
※ 将来的な可能性はありますが、現実的にはまだ時間が必要です。
6. 治療法のまとめ(重要ポイント)
- 根本治療:❌ なし
- 治療の柱:
- 眼科的管理
- 紫外線対策
- 視覚・生活支援
- 早期対応:⭕ 非常に重要
- 寿命への影響:❌ なし
<眼皮膚白皮症>の日常生活の注意点
<眼皮膚白皮症>の方が日常生活で特に注意すべき点は、大きく
① 紫外線対策/② 目の保護と見え方の工夫/③ 生活・社会面の配慮
の3本柱に整理できます。
1. 紫外線対策(最重要)
眼皮膚白皮症では、皮膚のメラニンが少ないため、紫外線ダメージを強く受けやすい状態です。


4
日常での具体策
- 日焼け止め:SPF30以上・PA+++以上を使用
- 外出30分前に塗布
- 汗をかいたら塗り直し
- 帽子:つばの広いもの
- 衣服:長袖・UVカット素材
- 日傘・サングラスの併用
- **紫外線が強い時間帯(10〜14時)**の長時間外出を避ける
定期チェック
- 皮膚科での定期診察(年1回以上)
- しみ・赤い斑点・治りにくい傷は早めに受診
👉 紫外線対策は「美容」ではなく、医療的に必須の予防です。
2. 目の保護・見え方への配慮
まぶしさ(羞明)対策
- 遮光眼鏡・色付きレンズ
- 偏光サングラス
- 室内でも照明の直射を避ける
視力低下への工夫
- 文字は拡大表示(スマホ・PC・タブレット)
- 電子書籍・音声読み上げの活用
- 紙媒体はコントラストの強い印刷を選ぶ
眼科フォロー
- 定期的な眼科受診
- 視力・斜視・眼振の経過確認
3. 学校・職場での注意点(合理的配慮)
学校
- 前方席の配慮
- 拡大教材・タブレット使用
- 黒板の板書を写真で共有
職場
- 画面サイズ・文字サイズの調整
- 明るすぎない照明
- 屋外業務での紫外線対策配慮
👉 視覚障害は「努力不足」ではなく、環境調整で大きく改善できる制限です。
4. 生活全般での注意
- 運転:視力基準を満たすか眼科で確認(必要に応じて条件付き)
- スポーツ:屋外では紫外線対策を徹底
- メンタル面:
- 外見や見え方の違いによるストレスを感じやすい
- 必要に応じてカウンセリングや当事者コミュニティの活用
5. 日常生活の注意点まとめ(要点)
- 紫外線対策:必須・生涯継続
- 眼のケア:遮光+視覚補助
- 定期受診:眼科・皮膚科
- 学校・職場:合理的配慮でQOL向上
- 寿命・体力:一般と同等
