再発性多発軟骨炎(RP)

指定難病
細胞 細胞間基質 肺胞 自己免疫性疾患 自己免疫性 核 ゴルジ体 水泡 水 細胞間隙

目次

<再発性多発軟骨炎>はどんな病気?

<再発性多発軟骨炎(さいはつせいたはつなんこつえん、Relapsing Polychondritis:RP)>は、自分の免疫が軟骨を異物とみなして攻撃してしまう自己免疫性疾患です。


◆ 再発性多発軟骨炎とは?

  • 体内のさまざまな軟骨(耳、鼻、気道、関節など)や軟骨に関連する組織に繰り返し炎症を起こす病気。
  • 炎症を繰り返すうちに軟骨が破壊され、変形や機能障害を残すことがあります。
  • 珍しい病気(希少疾患)で、男女差はあまりなく、40〜60歳代での発症が多いとされています。

◆ 主な症状

再発のたびに炎症が出る部位が変わることもあります。代表的なのは次のような症状です:

部位症状
耳介が赤く腫れて痛む(耳たぶは軟骨がないため通常無症状)
鼻の腫れや痛み、進行すると**鞍鼻(鼻がつぶれた形)**になる
呼吸器(気管・喉頭)軟骨の炎症・変形により気道狭窄・呼吸困難になることも
関節関節炎(多発性で非破壊性)
結膜炎、ブドウ膜炎、強膜炎など視力障害を起こすことがある
心血管大動脈炎、大動脈弁閉鎖不全、血管炎など重篤な合併症につながることがある
その他難聴、めまい、全身倦怠感、発熱

◆ 原因

  • 正確な原因は不明ですが、
    • 自己免疫反応(II型コラーゲンやマトリケルリンなど軟骨成分への自己抗体)
    • 遺伝的素因(HLA関連)
    • 環境因子
      が関与すると考えられています。

◆ 診断

  • 確定診断のための特異的な検査はないため、臨床症状と経過から診断します。
  • McAdam診断基準やDamianiの改訂基準が用いられることが多いです。
  • 血液検査:炎症反応(CRP, ESR)上昇、自己抗体は一般的ではない。
  • 画像検査:CT/MRIで気道病変や血管病変を確認。
  • 必要に応じて軟骨生検で炎症像を確認。

◆ 治療

治療の基本は免疫抑制療法です。症状の重症度に応じて薬剤を組み合わせます。

  1. 軽症(耳・鼻・関節のみ)
    • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
    • コルヒチンやダプソンを用いることも
  2. 中等症〜重症(気道・心血管・眼の病変あり)
    • 副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン)
    • 免疫抑制薬(メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリンなど)
  3. 難治例
    • 生物学的製剤(抗TNF-α抗体、トシリズマブ、アバタセプトなど)が有効なケースあり

◆ 経過・予後

  • 病気の進行は人によって大きく異なります。
  • 軽症で長く安定している人もいれば、呼吸器や心血管の合併症で生命に影響する場合もあります。
  • 特に気道病変と心血管病変は予後を左右する重要な因子です。

✅ まとめ

  • 再発性多発軟骨炎は、自己免疫により軟骨が炎症・破壊される希少疾患。
  • 主症状は 耳・鼻・関節・気道・眼・心血管
  • 治療はステロイドと免疫抑制薬が中心で、難治例では生物学的製剤も使われます。
  • 経過は多様で、呼吸器や心血管の障害があると重症化しやすい。

<再発性多発軟骨炎>の人はどれくらい?

<再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)>は、耳や鼻、気道、関節などの軟骨組織に繰り返し炎症が起こる稀少疾患です。

有病率・患者数

  • 非常に稀な病気で、世界的にも正確な患者数は把握されていません。
  • 欧米の報告では、有病率は人口100万人あたり3.5〜4.5人程度とされています。
  • 日本では患者数の大規模統計は乏しいですが、厚生労働省の「指定難病(306)」に含まれています。推定患者数は数百〜千人程度と考えられています。

好発年齢・性別

  • 発症年齢は 30〜60歳代が多い
  • 男女比はほぼ同じか、やや女性が多いという報告があります。

👉まとめると、「再発性多発軟骨炎」は人口100万人に数人しかいない極めて稀な病気で、日本でも非常に少数の患者さんしかいない難病です。

<再発性多発軟骨炎>の原因は?

<再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)>の原因は、現時点では完全には解明されていませんが、主に以下のように考えられています。


原因の考え方

1. 自己免疫異常の関与

  • RPは自己免疫性疾患の一種とみなされています。
  • 患者さんの血清や軟骨組織から、Ⅱ型コラーゲンやマトリックスタンパク質(マトリリン-1など)に対する自己抗体が検出されることがあります。
  • この自己抗体や自己反応性T細胞が、耳や鼻、気道、関節などの軟骨を攻撃することで炎症が繰り返されると考えられています。

2. 遺伝的素因

  • 多くは散発的に発症しますが、一部の研究では**HLA遺伝子型(例:HLA-DR4など)**との関連が示唆されています。
  • 遺伝的な体質が免疫異常を起こしやすくしている可能性があります。

3. 他疾患との関連

  • RP患者の約30%は他の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、血管炎など)を合併するとされています。
  • さらに、骨髄異形成症候群や白血病などの血液疾患を伴うケースもあります。

まとめ

  • 再発性多発軟骨炎の原因は 自己免疫異常による軟骨の炎症と考えられている。
  • 特定の自己抗体(Ⅱ型コラーゲン抗体など)やHLA遺伝子が関与している可能性がある。
  • 遺伝病ではなく、多くは後天的に発症する。

<再発性多発軟骨炎>は遺伝する?

<再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)>は、基本的に遺伝しない病気と考えられています。


遺伝との関係

  • 家族性発症は極めて稀で、大多数は散発例(家族歴なし)です。
  • 遺伝子そのものが原因となる「遺伝病」ではありません。
  • ただし、一部の患者さんで**HLA遺伝子(例:HLA-DR4など)**との関連が報告されており、「発症しやすい体質」を持つ人がいる可能性は指摘されています。

まとめ

  • 再発性多発軟骨炎は 遺伝性疾患ではない
  • まれに遺伝的素因(HLA型など)が関与して「なりやすい体質」があるかもしれない。
  • したがって、親から子へ高率に受け継がれるような病気ではない。

<再発性多発軟骨炎>の経過は?

<再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis:RP)>の経過は、病名のとおり「再発と寛解を繰り返す」のが特徴です。進行の仕方や重症度は人によって大きく異なります。


経過の特徴

  1. 初期症状
    • 多くは耳介の軟骨炎(赤く腫れて痛む)や鼻の軟骨炎から始まります。
    • 関節痛や発熱など非特異的な症状のみで始まる場合もあります。
  2. 再発と寛解
    • 炎症は数週間~数か月で自然に軽快することがありますが、再び他の部位で炎症が起こることが多いです。
    • 典型的には「耳」「鼻」「関節」「眼」「気道軟骨」「心血管系」に次々と波及します。
  3. 進行期
    • 炎症を繰り返すうちに、鼻の鞍鼻(鞍状変形)耳の変形(カリフラワー耳)声帯や気道の狭窄など不可逆的な変化が生じます。
    • 重症例では気道閉塞や大動脈瘤・弁膜症により命に関わることがあります。
  4. 長期予後
    • 病勢は緩徐なこともあれば急速に進行する場合もあり、個人差が大きいです。
    • 免疫抑制薬や生物学的製剤の導入により、以前に比べて生命予後は改善しています。
    • ただし、呼吸器系や心血管系の合併症が予後に強く影響します。

まとめ

  • 再発性多発軟骨炎は 寛解と再燃を繰り返す慢性炎症性疾患
  • 経過中に軟骨や弾性組織が破壊・変形していく。
  • 生命予後を左右するのは気道・心血管の障害
  • 治療により症状をコントロールできる例も増えている。

<再発性多発軟骨炎>の治療法は?

現時点では根治療法はなく、症状のコントロールと臓器障害の予防が中心になります。


🔹 基本的な治療方針

  1. 炎症の抑制
    • 自己免疫反応による軟骨や結合組織への攻撃を抑える。
  2. 臓器障害の予防
    • 呼吸器(気管・気管支)、心臓、大血管などの障害は致命的になり得るため、早期に治療開始。
  3. 症状や重症度に応じた段階的治療

🔹 主な治療法

1. 副腎皮質ステロイド

  • プレドニゾロンが中心。
  • 軟骨炎症や全身症状に有効。
  • 軽症例では低用量、中等症〜重症例では中等量〜大量を使用し、症状に応じて漸減。

2. 免疫抑制薬

ステロイドでコントロール困難、あるいはステロイドの副作用が問題となる場合に併用。

  • メトトレキサート
  • アザチオプリン
  • シクロホスファミド
  • シクロスポリン
    など。

3. 生物学的製剤(近年の選択肢)

難治例に使用が検討される。

  • TNFα阻害薬(インフリキシマブなど)
  • トシリズマブ(IL-6受容体阻害薬)
  • アバタセプト(T細胞共刺激阻害薬)
  • リツキシマブ(抗CD20抗体)
    → 少数例の報告だが有効例あり。

4. 対症療法・支持療法

  • 気道狭窄 → ステント留置、気管切開。
  • 眼病変 → 点眼薬や局所治療。
  • 難聴・耳介変形 → 補聴器や形成外科的対応。

🔹 治療の実際

  • 軽症(耳介軟骨炎や関節炎のみ) → NSAIDs、低用量ステロイド。
  • 中等症(眼病変、鼻軟骨炎、皮疹) → ステロイド中等量、免疫抑制薬併用。
  • 重症(気道狭窄、大血管炎、心臓弁障害) → ステロイド大量投与+免疫抑制薬、生物学的製剤の導入。

✅ まとめると、再発性多発軟骨炎は ステロイドを基盤に、免疫抑制薬や生物学的製剤を組み合わせて治療する病気 です。重症例では早期介入が生命予後を大きく左右します。

<再発性多発軟骨炎>の日常生活の注意点

<再発性多発軟骨炎(Relapsing polychondritis:RP)>は、軟骨組織やその周囲の結合組織に炎症を繰り返し起こす自己免疫性の稀少疾患です。症状の変動が大きく、経過も長期にわたるため、日常生活での工夫や注意が重要です。以下にまとめます。


日常生活の注意点

1. 身体の保護と関節・耳・鼻のケア

  • 外傷予防:耳や鼻の軟骨は炎症で脆弱になっているため、打撲や強い圧迫を避ける。
  • 補助具の活用:関節炎や変形がある場合は、杖や装具で負担を減らす。
  • 声帯や気道の管理:喉に炎症があると呼吸困難や声枯れのリスクがあるため、声の酷使や喉の刺激(喫煙、乾燥)は避ける。

2. 感染予防と体調管理

  • 免疫抑制薬やステロイド使用中は感染リスクが高まるため、
    • 人混みや風邪流行期でのマスク着用
    • 手洗い・うがいの徹底
    • ワクチン接種(インフルエンザ、肺炎球菌など、主治医と相談)
  • 疲労の蓄積回避:過労やストレスは炎症の再燃リスクを高める可能性がある。

3. 呼吸器・循環器の注意

  • 気道狭窄や心血管合併症(大動脈瘤など)が起こることがあるため、
    • 息切れや咳が続く、胸痛や動悸がある場合は早めに受診。
    • 定期的に呼吸機能検査や心エコーなどを行う。

4. 栄養と生活習慣

  • 骨粗鬆症対策:ステロイド長期使用により骨密度が低下するため、カルシウム・ビタミンD摂取、適度な運動を心がける。
  • 抗炎症を意識した食事:野菜・魚・オリーブオイルなどを含むバランスのよい食事。
  • 禁煙・節酒:気道や心血管への負担を減らす。

5. 心理的サポート

  • 慢性疾患に伴う不安や抑うつに対して、患者会やカウンセリングの活用も有効。

✅まとめると、
再発性多発軟骨炎の日常生活では「外傷・感染予防」「気道や心血管の合併症チェック」「骨や関節の保護」「生活習慣改善」が重要です。

<再発性多発軟骨炎>の最新情報

ICI(PD-1阻害)投与後にRPが誘発された症例報告(2025)

ICI使用歴がある患者で新たな耳・鼻・気道症状が出たらRPを疑う(2025)

タイトルとURLをコピーしました