目次
<レノックス・ガストー症候群>はどんな病気?
<レノックス・ガストー症候群>(英:Lennox–Gastaut syndrome, LGS)は、
小児期に発症する重症のてんかん症候群で、
👉 複数の発作型・特徴的な脳波・知的/発達の障害を三本柱とする疾患です。
- この病気を特徴づける「3つの柱」
- 発症年齢
- 原因
- 経過の特徴
- 他の小児てんかんとの違い
- まとめ
- 📊 頻度の目安(疫学データ)
- 🇯🇵 日本ではどれくらい?
- なぜ人数の幅が大きいのか
- まとめ
- 原因の全体像(要点)
- ① 脳の構造的・後天的障害(最も多い)
- ② 乳児期てんかんからの移行
- ③ 遺伝的要因(近年とくに重要)
- ④ 原因不明(特発例)
- ⑤ なぜ同じ原因でもLGSになる人とならない人がいるのか
- まとめ
- 基本的な考え方
- ① 多くのケース:遺伝しない(最も一般的)
- ② 一部のケース:遺伝子異常が原因となる
- ③ 「遺伝子異常がある」=「必ず遺伝する」ではない
- ④ 兄弟・将来の子どもへの影響は?
- ⑤ 遺伝子検査・遺伝カウンセリングは必要?
- まとめ
- 経過の全体像(要点)
- ① 発症前〜発症初期(乳幼児期~3–5歳)
- ② 小児期(学童期前後)
- ③ 思春期
- ④ 成人期以降
- 予後(見通し)
- 他の小児てんかんとの比較
- まとめ
- 治療の基本方針(要点)
- ① 薬物療法(治療の中心)
- ② 食事療法(重要な非薬物治療)
- ③ デバイス治療
- ④ 外科的治療(適応が限られる)
- ⑤ 生活・発達支援(治療の一部)
- まとめ
- ① 発作を起こしにくくする生活管理(最重要)
- ② 転倒・外傷を防ぐ安全対策(非常に重要)
- ③ 学校・園・施設での配慮(必須)
- ④ 発達・心理面への支援
- ⑤ 思春期・成人期の注意点
- ⑥ 緊急時への備え
- まとめ(チェックリスト)
この病気を特徴づける「3つの柱」
① 複数の発作型が混在
以下の発作が同一患者さんに併存することが多いです。
- 強直発作(体が急に硬直する)
- 脱力発作(転倒発作)(力が抜けて突然倒れる)
- 非定型欠神発作(反応が鈍く、長めに続く)
- ミオクロニー発作
- 全身強直間代発作
👉 特に転倒を伴う発作が多く、外傷リスクが高い点が重要です。
② 特徴的な脳波所見
- 覚醒時脳波で
全般性の徐棘徐波(slow spike-and-wave)
(約1.5~2.5Hz)が持続的に出現 - 睡眠中には
全般性の速波(paroxysmal fast activity)
👉 この脳波パターンは、診断の決め手となります。
③ 知的障害・発達障害を伴う
- 多くの患者さんで
- 知的発達の遅れ
- 学習障害
- 注意・行動の問題
がみられます
- 発作頻度が高いほど、発達への影響が大きくなりやすいとされています
発症年齢
- 3~5歳頃に発症することが多い
- それ以前に
- 乳児てんかん性スパズム
- 重症乳児てんかん
などを経験している場合もあります
原因
● 多様(単一原因ではありません)
- 症候性(原因が分かる)
- 脳奇形
- 低酸素性虚血性脳症
- 脳炎・外傷
- 遺伝子異常(例:SCN1A など)
- 原因不明(特発性)
👉 約70~80%で何らかの基礎脳障害や遺伝的背景が関与するとされます。
経過の特徴
- 慢性かつ治療抵抗性になりやすい
- 多くの患者さんで
- 発作が長期に持続
- 抗てんかん薬の多剤併用が必要
- 成人期まで持ち越す例が多い
他の小児てんかんとの違い
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん | 比較的予後良好例あり |
| レノックス・ガストー症候群 | 重症・治療抵抗性が多い |
| 小児欠神てんかん | 予後良好 |
まとめ
- <レノックス・ガストー症候群>は
小児期発症の重症てんかん症候群 - 複数の発作型・特徴的脳波・知的障害が三本柱
- 治療抵抗性になりやすく、長期管理が必要
- 発作対策と同時に
安全対策・発達支援・生活支援が不可欠
<レノックス・ガストー症候群>の人はどれくらい?
<レノックス・ガストー症候群>(Lennox–Gastaut syndrome:LGS)は、
てんかんの中でも比較的まれですが、重症例として重要な位置づけのてんかん症候群です。
📊 頻度の目安(疫学データ)
■ てんかん全体の中で
- てんかん患者全体の約1~4%
- **小児てんかんでは約3~10%**を占めると報告されています
👉 「数は多くないが、小児の重症てんかんでは代表的な疾患」です。
■ 一般人口あたりの頻度
- 推定有病率:
人口10万人あたり 約1~3人 - 年間発症率:
10万人あたり 約0.1~0.3人
とされ、**希少疾患(指定難病相当の頻度)**に分類されます。
🇯🇵 日本ではどれくらい?
日本では全国的な患者登録はありませんが、推計としては以下が用いられます。
- 日本のてんかん患者数:約 100万人前後
- その 1~4% がLGSと仮定すると、
👉 約1万人~4万人程度
が<レノックス・ガストー症候群>である可能性があります。
※ 実際には
- 他の重症てんかん症候群として診断されている例
- 乳児期発症てんかんから移行した例
も含まれるため、正確な人数の把握は困難です。
なぜ人数の幅が大きいのか
- 診断が経過とともに確定する
- 乳児期は別のてんかんとして始まり
- 数年後にLGSの特徴がそろうケースが多い
- 原因が多様
- 脳障害由来
- 遺伝子異常
- 原因不明
が混在します。
- 成人まで持ち越される
- 小児期発症ですが、成人患者さんも多数存在します。
まとめ
- <レノックス・ガストー症候群>は
てんかん全体の1~4% - 小児てんかんでは
3~10%と比較的高い割合 - 一般人口では
10万人に1~3人程度 - 日本では
1~4万人規模と推定 - 数は少ないが
医療・福祉的負担の大きい重要な疾患
<レノックス・ガストー症候群>の原因は?
<レノックス・ガストー症候群>(Lennox–Gastaut syndrome:LGS)**は、
単一の原因で起こる病気ではありません。
現在の医学では、**さまざまな脳の障害や遺伝的背景を共通の終点として発症する「症候群」**と考えられています。
原因の全体像(要点)
- 約70~80%で何らかの原因が特定できる
- 脳の広範な機能異常が共通基盤
- 後天的原因+先天的(遺伝・発達)原因の両方が関与
- 残り 20~30%は原因不明(特発例)
① 脳の構造的・後天的障害(最も多い)
● 周産期・乳児期の脳障害
- 低酸素性虚血性脳症(出生時仮死など)
- 早産に伴う脳障害
- 重症新生児仮死
● 脳の先天奇形
- 皮質形成異常(多小脳回、滑脳症 など)
- 脳梁欠損
- 半球形成異常
● 脳炎・感染症
- ウイルス性脳炎
- 細菌性髄膜炎
● 頭部外傷
- 乳幼児期の重症頭部外傷
👉 これらは脳全体に広くダメージを与えやすく、
LGSの特徴である全般性発作・重度脳波異常につながります。
② 乳児期てんかんからの移行
- 乳児てんかん性スパズム(ウエスト症候群)
- 重症乳児てんかん
これらの約20~40%が、
数年後にレノックス・ガストー症候群へ移行すると報告されています。
👉 「病型の進化(epileptic encephalopathyの連続性)」が重要な概念です。
③ 遺伝的要因(近年とくに重要)
● 単一遺伝子異常が原因となる例
以下のような遺伝子が報告されています。
- SCN1A
- SCN2A
- STXBP1
- CDKL5
- CHD2
- KCNQ2 など
👉 これらは
脳の電気信号の制御に関わる遺伝子で、
変異により広範なてんかん活動が生じます。
※ ただし、
「LGS=遺伝病」ではありません。
遺伝子異常が原因となるのは一部の症例です。
④ 原因不明(特発例)
- 画像検査・遺伝子検査を行っても
明確な原因が見つからない例が約20~30%あります。 - しかし近年は、
- 遺伝子解析の進歩
- 高解像度MRI
により、「原因不明」が減少傾向にあります。
⑤ なぜ同じ原因でもLGSになる人とならない人がいるのか
これは現在も研究途上ですが、
- 脳障害の広がり
- 障害を受けた発達時期
- 遺伝的な「発作を起こしやすさ」
- 乳児期の発作コントロール状況
などが組み合わさり、
👉 重症の全般性てんかん像(LGS)に至るかどうかが決まる
と考えられています。
まとめ
- <レノックス・ガストー症候群>は
多因子性のてんかん症候群 - 主な原因は
- 乳幼児期の脳障害
- 脳奇形
- 乳児期てんかんからの移行
- 一部の遺伝子異常
- 約70~80%で原因が推定可能
- 原因不明例も一定数存在するが、
診断技術の進歩で減少傾向
<レノックス・ガストー症候群>は遺伝する?
👉 「多くの場合は遺伝しません」
👉 ただし 「一部の患者さんでは遺伝子異常が原因となることがあります」
というのが、現在の医学的な整理です。
基本的な考え方
**<レノックス・ガストー症候群>(Lennox–Gastaut syndrome:LGS)**は、
**単一の遺伝病ではなく、さまざまな原因が集まって成立する「症候群」**です。
そのため、
- 親から子へ必ず伝わる病気ではありません
- 多くの患者さんでは、遺伝しない原因(脳障害など)が関与しています
① 多くのケース:遺伝しない(最も一般的)
LGS患者さんの**約70~80%**では、
- 乳幼児期の脳障害
- 脳奇形
- 脳炎・低酸素障害
- 乳児てんかんからの移行
といった後天的・非遺伝的な要因が原因です。
👉 この場合、
兄弟や将来の子どもに同じ病気が遺伝する可能性は非常に低い
と考えられます。
② 一部のケース:遺伝子異常が原因となる
近年の研究で、LGSの一部では
特定の遺伝子変異が原因となることが分かってきました。
関連が報告されている主な遺伝子
- SCN1A
- SCN2A
- STXBP1
- CDKL5
- CHD2
- KCNQ2 など
これらは、
- 脳の電気活動
- 神経細胞間の情報伝達
に関わる遺伝子です。
ただし重要な点として、
- 多くは新生突然変異(de novo)
- 両親は遺伝子変異を持っていない
というケースが大半です。
👉 この場合も、
家族内で繰り返し起こる可能性は低いとされています。
③ 「遺伝子異常がある」=「必ず遺伝する」ではない
- 遺伝子異常が原因であっても、
- 常染色体優性・劣性といった
単純な遺伝形式をとらないことが多い
- 常染色体優性・劣性といった
- 「LGSそのもの」が遺伝する、というより
「重症てんかんになりうる体質」が偶発的に生じる
という理解が近いです。
④ 兄弟・将来の子どもへの影響は?
■ 兄弟へのリスク
- LGSを発症する確率は
一般人口とほぼ同程度、またはわずかに高い程度 - 明確な遺伝性疾患とは異なり、
高い再発率は報告されていません
■ 患者さん本人が将来、子どもをもつ場合
- 原因が脳障害由来の場合:
👉 遺伝リスクはほぼありません - 遺伝子異常が同定されている場合:
👉 遺伝形式によりリスクは異なるため、
個別評価(遺伝カウンセリング)が推奨されます
⑤ 遺伝子検査・遺伝カウンセリングは必要?
- 全員に必須ではありません
- ただし、以下の場合は検討されます。
- 明らかな脳障害がない
- 乳児期早期から重症てんかん
- 家族内に他の重症てんかん患者さんがいる
- 将来の妊娠・出産を考えている
まとめ
- <レノックス・ガストー症候群>は
原則として遺伝病ではない - 多くは
非遺伝性の脳障害が原因 - 一部で
**遺伝子異常(多くは新生突然変異)**が関与 - 家族内で繰り返すリスクは
全体として低い - 不安がある場合は
遺伝カウンセリングで個別評価が可能
<レノックス・ガストー症候群>の経過は?
**<レノックス・ガストー症候群>(Lennox–Gastaut syndrome:LGS)**は、
小児期に発症し、長期にわたって持続しやすい重症てんかん症候群です。
多くの場合、発作・発達・生活機能の3点が年齢とともに変化していきます。
経過の全体像(要点)
- 慢性経過をとりやすく、治療抵抗性が多い
- 発作型は年齢とともに変化する
- 知的・発達・行動面の課題が長期に続くことが多い
- 成人期まで医療・生活支援が必要になる例が多い
① 発症前〜発症初期(乳幼児期~3–5歳)
背景
- 乳児期に
- 乳児てんかん性スパズム(ウエスト症候群)
- 重症乳児てんかん
を経験していることがあります。
発症
- 3~5歳頃にLGSの特徴がそろい始めます。
- 発作は多彩で、
- 強直発作
- 脱力(転倒)発作
- 非定型欠神発作
が目立ちます。
👉 転倒発作が多く、外傷リスクが高い時期です。
② 小児期(学童期前後)
発作の推移
- 発作は頻回かつ多種類になりやすく、
- 複数の抗てんかん薬の併用
- ケトン食療法
が必要になることが多いです。
- 完全な発作消失は少数にとどまります。
発達・行動
- 多くの患者さんで
- 知的発達の遅れ
- 学習障害
- 注意・行動の問題
が明らかになります。
- 発作頻度が高いほど、発達への影響が強くなりやすいとされています。
③ 思春期
発作型の変化
- 脱力発作・非定型欠神発作は減少することがあります。
- 一方で、
- 強直発作(特に睡眠中)
- 全身強直間代発作
が残存または目立つことがあります。
生活面
- 自立に向けた支援が重要になりますが、
学習・行動・安全面の配慮が引き続き必要です。
④ 成人期以降
発作
- 多くの方で
- 何らかの発作が持続
- 抗てんかん薬の継続
が必要です。
- 一部では発作頻度が軽減し、安定することもあります。
生活・社会参加
- 知的・発達障害の程度により、
- 一般就労が可能な方
- 就労支援・福祉的支援が必要な方
に分かれます。
- 生涯にわたる医療・福祉連携が重要です。
予後(見通し)
- 治療抵抗性が多い
- 完全寛解は少数(約5~10%程度)
- ただし、
- 発作頻度の低下
- 生活の安定
は多くの方で目指せます。
予後に影響する因子
- 原因(重い脳障害・遺伝子異常がある場合は不利)
- 発症年齢が早いほど不利
- 発作頻度・重積の有無
- 早期からの包括的治療・支援の有無
他の小児てんかんとの比較
- ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん:
👉 成長とともに改善する例が比較的多い - レノックス・ガストー症候群:
👉 長期にわたる管理が必要なことが多い
まとめ
- <レノックス・ガストー症候群>は
小児期発症で慢性経過をとる重症てんかん症候群 - 発作型は年齢とともに変化するが、発作自体は持続しやすい
- 知的・行動・生活面への影響が長期に及ぶ
- 早期からの
薬物・食事療法+発達・生活支援の併用
が、生活の質を左右します。
<レノックス・ガストー症候群>の治療法は?
**<レノックス・ガストー症候群>(Lennox–Gastaut syndrome:LGS)**は、
治療抵抗性になりやすい重症てんかん症候群のため、
👉 薬物療法を軸に、食事療法・デバイス治療・外科的治療を組み合わせた多面的治療が行われます。
治療の基本方針(要点)
- 完全な発作消失は少数
- 目標は
- 転倒を伴う発作(脱力・強直)の減少
- 重積・外傷の予防
- 生活の安定とQOL向上
- 早期からの併用療法が一般的です。
① 薬物療法(治療の中心)
第一選択・基盤薬
- バルプロ酸
多彩な発作型に幅広く有効で、基盤薬として用いられることが多いです。
併用で有効性が示されている薬
- ラモトリギン
非定型欠神・脱力発作に有効。バルプロ酸との併用で効果増強が期待されます。 - クロバザム
強直・脱力発作の減少に有効。眠気などに注意。 - ルフィナミド
脱力発作(転倒)を減らす目的で使用されます。 - トピラマート
併用薬として選択されます。 - カンナビジオール
ドロップアタックの減少が報告され、近年重要な選択肢です。 - フェンフルラミン
一部症例で有効性が示されています(適応・副作用に注意)。
※ 多剤併用が一般的で、効果と副作用のバランスを見ながら調整します。
原則避けたい薬
- カルバマゼピン
- フェニトイン
→ 発作悪化の報告があり、通常は避けます。
② 食事療法(重要な非薬物治療)
ケトン食療法
- 薬剤抵抗性LGSで有効性が高い
- 発作頻度を30~50%以上減少させる例が報告
- 専門施設での厳密管理が必要ですが、早期導入が有益な場合があります。
③ デバイス治療
迷走神経刺激療法(VNS)
- 薬剤抵抗性例で検討
- 発作頻度の中等度減少、重積の抑制が期待されます
- 脳切除が難しい全般性てんかんで有用な選択肢です。
④ 外科的治療(適応が限られる)
- 脳切除術:
明確な局在病変がある一部症例のみ。 - 脳梁離断術:
転倒発作(ドロップアタック)の減少目的で行われることがあります。
⑤ 生活・発達支援(治療の一部)
- ヘルメットなど外傷予防
- 療育・特別支援教育
- 行動・心理支援
→ 医療と福祉の連携が不可欠です。
まとめ
- LGS治療は
多剤併用+食事療法+デバイス/外科の組み合わせ - 転倒発作の抑制が最重要目標
- 完治よりも長期安定とQOL向上を目指します
- 早期・包括的治療が予後に影響します
<レノックス・ガストー症候群>の日常生活の注意点
**<レノックス・ガストー症候群>(LGS)**では、
発作の予防・転倒などの事故防止・発達と生活の質(QOL)を守る配慮を、日常生活の中で同時に行うことが重要です。
① 発作を起こしにくくする生活管理(最重要)
- 規則正しい睡眠
睡眠不足や就寝時刻の乱れは発作を増やします。毎日同じ時間に就寝・起床する習慣を整えてください。 - 体調不良の早期対応
発熱・感染症・強い疲労は発作悪化の原因になります。無理をせず、早めに休養と受診を検討してください。 - 確実な服薬管理
飲み忘れは発作増悪の大きな要因です。自己判断での中断・減量は避け、変更は必ず主治医と相談してください。 - 誘因の把握
光刺激、過換気、精神的ストレスなど、個々の誘因を把握し回避します。
② 転倒・外傷を防ぐ安全対策(非常に重要)
LGSでは脱力発作・強直発作による突然の転倒が起こり得ます。
- ヘルメット(保護帽)の使用
転倒発作がある場合は有効です。 - 住環境の調整
家具の角を保護、滑り止め、硬い床での対策を行ってください。 - 水・高所での見守り
入浴・水遊び・階段・遊具は必ず見守りを。単独入浴は避けてください。
③ 学校・園・施設での配慮(必須)
- 発作の正しい理解を共有
「怠け」「わざと」ではなく、病気による一過性の発作であることを周囲に伝えます。 - 活動の調整
走る・登るなど転倒リスクの高い活動は、発作状況に応じて調整します。 - 学習・生活の合理的配慮
注意・集中が続きにくいことがあります。短時間学習、繰り返し説明、プリント併用などが有効です。
④ 発達・心理面への支援
- 知的・発達の遅れや行動面の課題を伴うことがあります。
早期療育・特別支援教育・心理支援の併用が大切です。 - 叱責よりも成功体験を積み重ねる関わりを心がけてください。
⑤ 思春期・成人期の注意点
- 発作が続く場合が多く、生活管理(睡眠・服薬・安全対策)の継続が必要です。
- 自転車・運転・就労は、法令と主治医の判断に従って段階的に検討します。
- 長期的な医療・福祉・教育の連携が重要です。
⑥ 緊急時への備え
- 発作時対応マニュアル(救急要請の目安、使用中の頓用薬)を家族・学校・施設で共有してください。
- 発作日誌をつけ、頻度や誘因、薬の影響を把握すると治療調整に役立ちます。
まとめ(チェックリスト)
- 規則正しい睡眠・確実な服薬
- 転倒対策(ヘルメット・住環境調整)
- 学校・施設との情報共有と合理的配慮
- 早期からの発達・心理支援
- 緊急時対応の共有と記録
