アジソン病

五臓六腑 アジソン病 サルコイドーシス 特発性門脈圧亢進症 バッド・キアリ症候群 指定難病
五臓六腑 アジソン病 サルコイドーシス バッド・キアリ症候群 特発性門脈圧亢進症

目次

<アジソン病>はどんな病気?

  1. 🔹 定義
  2. 🔹 主な原因
  3. 🔹 症状
    1. コルチゾール不足
    2. アルドステロン不足
    3. ACTH過剰(二次的な影響)
  4. 🔹 経過と合併症
  5. 🔹 診断
  6. 🔹 まとめ
  7. 🔹 世界での頻度
  8. 🔹 日本での頻度
  9. 🔹 増加傾向の背景
  10. ✅ まとめ
  11. 🔹 アジソン病の基本
  12. 🔹 主な原因
    1. 1. 自己免疫性副腎炎(先進国で最多)
    2. 2. 感染症(世界的には依然として重要)
    3. 3. 腫瘍や浸潤性疾患
    4. 4. 出血・梗塞
    5. 5. 遺伝性疾患・先天異常
    6. 6. 医原性(治療による)
  13. 🔹 原因の地域差
  14. ✅ まとめ
  15. 🔹 基本的な考え方
  16. 🔹 遺伝性が関与する場合
    1. 1. 自己免疫性アジソン病
    2. 2. 多腺性自己免疫症候群(APS)の一部としてのアジソン病
    3. 3. 遺伝性疾患による副腎障害
  17. 🔹 遺伝しない場合
  18. ✅ まとめ
  19. 🔹 発症の仕方
  20. 🔹 放置した場合
  21. 🔹 治療後の経過
  22. 🔹 長期的な合併症
  23. 🔹 予後
  24. ✅ まとめ
  25. 🔹 基本原則
  26. 🔹 1. 薬物療法(ホルモン補充)
    1. ① グルココルチコイド補充(コルチゾール不足の補充)
    2. ② ミネラロコルチコイド補充(アルドステロン不足の補充)
    3. ③ その他(必要に応じて)
  27. 🔹 2. ストレス時対応(シックデイ・ルール)
  28. 🔹 3. 副腎クリーゼ予防
  29. 🔹 4. 合併症への対応
  30. 🔹 新しい治療の展望
  31. ✅ まとめ
  32. 🔹 1. 薬の服用管理
  33. 🔹 2. ストレス時の対応(シックデイ・ルール)
  34. 🔹 3. 副腎クリーゼ予防
  35. 🔹 4. 栄養・生活習慣
  36. 🔹 5. 定期フォローアップ
  37. 🔹 6. 安全対策
  38. ✅ まとめ

🔹 定義

  • 副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)が慢性的に不足する病気
  • 副腎そのものが障害されて起こる「原発性副腎皮質機能低下症」の代表。
  • 19世紀にイギリスの医師 Thomas Addison が報告したことからこの名前がついています。

🔹 主な原因

  • 先進国では 自己免疫性副腎炎(自己免疫疾患による副腎破壊) が最も多い。
  • 世界的には 結核による副腎破壊 が依然として重要な原因。
  • そのほか、腫瘍の転移・出血・感染(真菌、HIVなど)・遺伝性疾患でも起こる。

🔹 症状

副腎ホルモンが不足することで以下の症状が出ます:

コルチゾール不足

  • 倦怠感、体重減少、低血糖
  • 抑うつ気分、集中力低下

アルドステロン不足

  • 低血圧、脱水
  • 低ナトリウム血症、高カリウム血症

ACTH過剰(二次的な影響)

  • 皮膚や粘膜が黒くなる(色素沈着:特徴的症状)

🔹 経過と合併症

  • ゆっくり進行するが、感染やストレスで急激に悪化すると 副腎クリーゼ(急性副腎不全) を起こす。
  • 副腎クリーゼはショック、意識障害、電解質異常を伴い、命に関わる緊急状態

🔹 診断

  • 血液検査でコルチゾール低値・ACTH高値。
  • ACTH刺激試験でコルチゾール反応が不十分。
  • 自己抗体(副腎皮質抗体、21-ヒドロキシラーゼ抗体)の測定。
  • CTやMRIで副腎の形態評価。

🔹 まとめ

<アジソン病>は、

  • 副腎皮質の障害によりホルモンが作れなくなり、慢性的に副腎不全となる病気
  • 自己免疫や結核が主な原因。
  • 倦怠感、低血圧、体重減少、色素沈着が特徴的。
  • 適切に治療しないと 副腎クリーゼを起こして命に関わります。

<アジソン病>の人はどれくらい?

🔹 世界での頻度

  • 先進国での有病率は
    人口 10万人あたり10〜20人程度(=0.01〜0.02%)。
  • 年間発症率は
    100万人あたり約4〜6人 と推定されています。
  • 男女比は女性にやや多く、発症年齢は30〜50歳台に多いですが、全年齢で起こり得ます。

🔹 日本での頻度

  • 日本は欧米に比べるとまれですが、推定で 数千人規模 とされています。
  • 正確な全国統計は限られており、希少疾患(指定難病:No.122 アジソン病) に分類されています。
  • 原因は欧米同様に 自己免疫性副腎炎が最多。結核による副腎破壊は減少しましたが、依然として一定数あります。

🔹 増加傾向の背景

  • 自己免疫性疾患の増加や、診断技術の向上(ホルモン検査・自己抗体検査)により、診断される患者数は増えてきています。
  • 一方で、初期は非特異的な症状(疲れやすい、食欲不振など)が多いため、診断が遅れるケースも少なくありません。

✅ まとめ

  • <アジソン病>は 10万人に10〜20人程度と非常にまれ。
  • 日本の患者数は 数千人レベルで、難病指定されている。
  • 欧米・日本ともに 自己免疫性副腎炎が最多の原因

<アジソン病>の原因は?

🔹 アジソン病の基本

  • アジソン病は「副腎そのものの障害で、副腎皮質ホルモン(コルチゾール・アルドステロン)が作れなくなる病気」。
  • そのため原因は「副腎皮質を破壊・障害する要因」に分けられます。

🔹 主な原因

1. 自己免疫性副腎炎(先進国で最多)

  • 免疫が誤って副腎皮質を攻撃 → 副腎が萎縮し機能低下。
  • 特徴:21-ヒドロキシラーゼ抗体が陽性。
  • 単独で起こることもあるが、他の自己免疫疾患と合併することがある。
    • 自己免疫性甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病)
    • 1型糖尿病
    • 悪性貧血、白斑など
      ➡️ 多腺性自己免疫症候群(APS) の一部として現れることがある。

2. 感染症(世界的には依然として重要)

  • 結核(TB):歴史的にアジソン病の最多原因。副腎に結核が広がり破壊する。
  • 真菌感染(ヒストプラズマ、クリプトコッカスなど)。
  • HIV関連の副腎障害もあり。

3. 腫瘍や浸潤性疾患

  • 転移性副腎腫瘍(肺がん、乳がんなどから)。
  • 白血病やリンパ腫。
  • サルコイドーシス、アミロイドーシス、ヘモクロマトーシスによる浸潤。

4. 出血・梗塞

  • 副腎出血(敗血症性ショックに合併する Waterhouse-Friderichsen 症候群など)。
  • 抗凝固療法中や外傷による出血。

5. 遺伝性疾患・先天異常

  • 先天性副腎低形成症(NR0B1遺伝子異常など)。
  • 副腎白質ジストロフィー(X連鎖遺伝)。

6. 医原性(治療による)

  • 両側副腎摘出術後。
  • 長期ステロイド内服中止後の「二次性副腎不全」と混同されることもある。

🔹 原因の地域差

  • 先進国 → 自己免疫が最多。
  • 発展途上国 → 結核が依然として重要。

✅ まとめ

<アジソン病>の原因は、

  • 先進国では自己免疫性副腎炎が最多
  • 世界的には結核などの感染症も重要
  • そのほか、腫瘍、出血、遺伝性疾患、手術などでも起こる。

<アジソン病>は遺伝する?

🔹 基本的な考え方

  • アジソン病そのものは 多くの場合、後天的に発症する病気 で、直接的に「親から子へ遺伝する病気」ではありません。
  • ただし、遺伝的素因(体質)や遺伝病の一部として発症することがあるため、遺伝との関わりはゼロではありません。

🔹 遺伝性が関与する場合

1. 自己免疫性アジソン病

  • 最も多いタイプ。
  • 自己免疫疾患が起こりやすい 遺伝的体質(HLA遺伝子型など) が関与。
  • 家族内で 1型糖尿病・橋本病・バセドウ病など他の自己免疫疾患を持つ人がいる場合がある。
  • ただし、直接的に必ず遺伝するわけではなく、「なりやすい体質」が家族で共有されやすい。

2. 多腺性自己免疫症候群(APS)の一部としてのアジソン病

  • APS-1(常染色体劣性遺伝、AIRE遺伝子変異)
    • 小児〜若年で発症。アジソン病、皮膚カンジダ症、上皮小体機能低下症を合併。
  • APS-2(HLA関連、遺伝的素因)
    • 成人に多く、アジソン病+甲状腺疾患+1型糖尿病など。

3. 遺伝性疾患による副腎障害

  • 副腎白質ジストロフィー(X連鎖劣性):神経症状と副腎不全を合併。
  • 先天性副腎低形成症(NR0B1遺伝子異常、X連鎖):乳児期から副腎不全。

🔹 遺伝しない場合

  • 感染症(結核、真菌、HIVなど)
  • 腫瘍の転移や浸潤
  • 副腎出血・手術後
    ➡️ これらは遺伝とは無関係に発症。

✅ まとめ

  • <アジソン病>は 基本的には遺伝しない後天性の病気
  • ただし、**自己免疫疾患のなりやすさ(HLA体質)**や、APS・副腎白質ジストロフィー・副腎低形成症などの遺伝病に合併する場合は「遺伝的背景あり」。

<アジソン病>の経過は?

🔹 発症の仕方

  • 多くはゆっくり進行性。初期は「疲れやすい」「食欲がない」など非特異的症状。
  • 数か月~数年かけて、体重減少・低血圧・皮膚色素沈着などが徐々に目立ってくる。
  • 感染や手術・強いストレスをきっかけに**副腎クリーゼ(急性副腎不全)**を起こして診断されることも多い。

🔹 放置した場合

  • コルチゾール不足 → 低血糖・全身倦怠感・意識障害。
  • アルドステロン不足 → 低ナトリウム血症・高カリウム血症・脱水・低血圧。
  • 最終的にショックに至り、致死的

🔹 治療後の経過

  • 適切にホルモン補充(ヒドロコルチゾン+フルドロコルチゾン)を行えば、
    • 体調は安定し、社会生活や就労も可能。
    • ただし一生涯にわたり内服が必要。
  • 感染・外傷・手術など「ストレス時」には補充量を増やす必要がある。

🔹 長期的な合併症

  • 自己免疫性アジソン病の場合、**他の自己免疫疾患(甲状腺疾患・1型糖尿病など)**を合併することがある。
  • 過剰なステロイド補充 → 体重増加・骨粗鬆症・代謝異常のリスク。
  • 不十分な補充 → 慢性的な疲労感・低血圧・副腎クリーゼのリスク。

🔹 予後

  • 適切な管理で生命予後は良好
  • ただし副腎クリーゼによる突然死のリスクは完全には消えないため、患者・家族・周囲の理解が必要。
  • 医療アラート(副腎不全カードやブレスレット)を携帯していれば緊急時の救命率が上がる。

✅ まとめ

  • <アジソン病>は進行性に副腎皮質ホルモンが不足する病気
  • 放置すれば致死的だが、適切な補充療法で通常生活が可能
  • 一生涯の治療継続と、**副腎クリーゼの予防(ストレス時対応・緊急注射薬)**が経過管理の最大のポイント。

<アジソン病>の治療法は?

🔹 基本原則

  • 副腎皮質が障害されているため 根治は困難
  • したがって、治療は 不足しているホルモンを一生涯補充すること が中心です。
  • 「通常の補充療法」+「ストレス時対応」+「副腎クリーゼ予防」が三本柱。

🔹 1. 薬物療法(ホルモン補充)

① グルココルチコイド補充(コルチゾール不足の補充)

  • ヒドロコルチゾン(コートリル®) が第一選択。
    • 生理的分泌に近づけるため、通常1日2〜3回に分けて投与。
  • 代替として プレドニゾロン、デキサメタゾン を使う場合もある。

② ミネラロコルチコイド補充(アルドステロン不足の補充)

  • フルドロコルチゾン(フロリネフ®) を少量投与。
  • 血圧や血中ナトリウム・カリウムのバランスを維持。

③ その他(必要に応じて)

  • 男性で副腎アンドロゲン不足による筋力低下が目立つ場合:**DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)**を補充することもある(日本では一般的ではない)。

🔹 2. ストレス時対応(シックデイ・ルール)

  • 発熱・感染・手術・外傷など体にストレスがかかるときは、ステロイドの増量が必須
  • 経口が困難な場合は、ヒドロコルチゾンの注射を使用。
  • 患者や家族は「副腎不全時の緊急対応マニュアル(シックデイルール)」を理解しておく。

🔹 3. 副腎クリーゼ予防

  • 緊急時自己注射用ヒドロコルチゾンを携帯。
  • 学校・職場・周囲に「副腎不全で命に関わる」ことを伝える。
  • **医療アラート(カード・ブレスレット)**の装着も有効。

🔹 4. 合併症への対応

  • 自己免疫性アジソン病では、他の自己免疫疾患(甲状腺疾患、1型糖尿病など)の管理も重要。
  • 長期ステロイド補充による骨粗鬆症・肥満・糖尿病リスクにも注意。

🔹 新しい治療の展望

  • 徐放性ヒドロコルチゾン製剤(1日1回投与で日内リズムに近づける) が臨床応用されつつある。
  • 人工副腎・遺伝子治療は研究段階。

✅ まとめ

  • <アジソン病>の治療は 生涯にわたるホルモン補充療法
    1. ヒドロコルチゾン(コルチゾール補充)
    2. フルドロコルチゾン(アルドステロン補充)
    3. ストレス時の増量(シックデイルール)
  • 副腎クリーゼ予防と合併症管理が長期的に重要。

<アジソン病>の日常生活の注意点

🔹 1. 薬の服用管理

  • グルココルチコイド(ヒドロコルチゾン)とミネラロコルチコイド(フルドロコルチゾン)を毎日きちんと服用する。
  • 服薬忘れは命に関わる副腎クリーゼにつながるため、アラーム・ピルケースなどで徹底管理。
  • 自己判断で中断・減量は絶対にしない。

🔹 2. ストレス時の対応(シックデイ・ルール)

  • 発熱・感染・手術・外傷など体にストレスがかかるときは ステロイドを増量
  • 経口が難しい場合には ヒドロコルチゾン注射を使用。
  • 家族や周囲にも「体調が悪くなったときの対応」を共有しておくことが重要。

🔹 3. 副腎クリーゼ予防

  • 嘔吐・下痢・強い疲労・低血圧などが出たらすぐ医療機関へ。
  • 緊急用注射薬(ヒドロコルチゾン)を携帯し、家族も使い方を習得しておく。
  • 学校・職場には病気について伝え、救急時に対応してもらえる体制を整える。

🔹 4. 栄養・生活習慣

  • バランスの良い食事と十分な水分摂取を心がける。
  • 過度な塩分制限は避ける(アルドステロン不足で塩が必要なため)。
  • 適度な運動は可能だが、疲労・脱水に注意

🔹 5. 定期フォローアップ

  • 定期的に血液検査・ホルモン値チェックを行い、補充量を調整。
  • 長期ステロイド補充による 骨粗鬆症・糖尿病・高血圧 のリスクをチェック。
  • 自己免疫性アジソン病では、甲状腺疾患・1型糖尿病など他の自己免疫病の合併にも注意。

🔹 6. 安全対策

  • 医療アラートカードやブレスレットを常に携帯。
  • 海外旅行や長期外出では薬を余分に持参。
  • 救急外来にかかったときにすぐ説明できるよう、病名や服薬内容を記したメモを持ち歩く。

✅ まとめ

<アジソン病>の日常生活で大切なのは:

  1. 薬を正しく毎日服用すること
  2. ストレス時にステロイドを増量すること
  3. 副腎クリーゼを予防するために緊急注射薬を常備すること
  4. 定期的な検診で合併症を早期発見・管理すること
  5. 医療アラートを携帯し、周囲に病気を理解してもらうこと

<アジソン病>の最新情報

アジソン病患者での副腎クリーゼ発作率。15年の追跡。(2025)

改良型コルチゾール補充薬(modified-release hydrocortisone)(2025)

タイトルとURLをコピーしました